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サービスを生んで、サービスを無くすということ

体験特化型ふるさと納税サービス さといこ

2019年9月に世の中に生み出した自分たちのサービスを、2021年9月に世の中から無くすことになりました。

まず初めに、この2年間で本当にたくさんの方々にお会いして、本当にたくさんのお力をいただいたこと。本当に感謝しています。
一番悔しいのは、皆さんからの期待に答えられなかったこと。

市場環境の悪化、世の中のトレンド、経営者としての力量の無さなど、言い訳をしだすとキリがないけれど、一つの節目としてサービスがどうできてどうなくなったのかの軌跡をここに記します。

サービスを生んで、作って、伸ばして、転換して、離れて、そして無くすまでのちょうど3年間の物語です。

注)書いてみたらとっても長いので、気になるアジェンダから読んでください。。

サービスを生む|2018/9~2019/3

広告代理店に新卒入社しマーケティングセクションで消費財ブランドのブランド戦略立案や商品設計、また証券会社のデジタルマーケティング領域などの業務を行なっていた2年目の夏。

ひょんなことから博報堂グループの新規事業プログラム「AD+VENTURE」に参加することになったのが2018年9月。そこからこの物語がスタートした。

体験型返礼品に特化したふるさと納税プラットフォーム運営事業。

そんなコンセプトだけが決まっている中で、行政との契約や商流整理、パートナーとの営業代行の契約やなんやらかんやらを詰めていき、約150ページの事業計画概要と5年分の数値計画を書いた。

事業計画書とかはいつかしがらみが無くなったら公開してみたいな。
地方創生だけでなく全てのビジネスを考える人に書き方として参考になると思う。せっかくなので実際の目次だけ公開。この辺に興味があればお問合せください。

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この辺の着想から事業化決定まではこちらのノートを参照。

3年の前の話だけど、全ての原点。0から初めて事業を考えて計画を立てて抜け漏れをなくして解像度を上げる。そんな毎日だったことをよく覚えている。

サービスを作る|2019/4~2019/9

いよいよ会社設立準備と並行して、サービス開発のフェーズに。
行なったことの一部を棚卸しする。

<会社設立関連フローの一部> ←約4ヶ月
・会社名&ロゴの決定
・旅行業免許の内容把握・確認
・会社登記(5月20日)
・日本旅行業協会(JATA)への加入(6月頭)
・東京都へ第2種旅行業免許の申請(7月頭)
・旅行業免許の取得(8月末)
・商標登録
・各種メールやサーバー設定など一般的設立事務系

会社設立は詳細割愛しますが、一番辛かったのは「ふるさと納税×旅行」というスキームが世の中になかったこと。
ふるさと納税は総務省管轄で地方税法、旅行業は観光庁管轄で旅行業法と2つの法律の間を縫わねばならないのがこの新しいビジネスモデル。
本邦初公開のふるさと納税の商流はこちら。(諸々違いはある中の一例)

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寄付金は全て自治体に入り、サイトとして手数料を請求する仕組み。その先に地域事業者がいて、お肉やお米を販売してお金を稼いでいるのだ。

我々のネックは、事業者=旅行業社(旅行代理店、宿泊業、旅客業)の可能性があったこと。

このふるさと納税の商流でも、体験提供が旅行業にあたる場合は旅行業法も合わせて遵守する義務があるのでサイトを作る前にJATAさんに博報堂の法務メンバーと通い詰め、なんとかお許しをいただいた。ここが一番土台で一番難しかったのかもしれない。

この商流が確認できたら、会社登記→JATA登録→東京都旅行業登録の流れで約3ヶ月かけて第2種旅行業免許を取得した、土台が長かった。。
旅行業の取得には行政書士の金澤先生にアブノーマルな申請において多大なるご支援をいただいた。

そんなことをしながら平行で動いていたサービス開発のフロー概要はこちら。

<サービス開発フローの一部> ←約6ヶ月
・サービス名&コンセプト開発
・システム要件定義
・UIUX開発
・詳細デザイン制作
・開発スケジュール策定
・予算管理
・デバック
・テスト環境での最終確認
・ローンチ

まずしんどかったのは決済。これはGMOペイメントゲートウェイの土井さんが本当に親身になってくださった。
通常のECモールは支払われた金額から手数料を引いて売り手に支払いをする。ただ今回は税金のため、寄付額が100%で自治体に入らないと法律違反。このちょっとのオペレーションの調整を大手の中でもやってくださった土井さんには本当に感謝している。

そんなこのフェーズは思えば2つの大きな反省点がある。

①社内にエンジニアが0人という事態の早急な改善が必要だった
WEBサービスを作る会社としてはありえない。。実はアイデア期間から伴奏してくれたCTOが会社登記前に色々あって離脱せざる負えない環境に、、助けられなかった自分を悔やむが、今思えばこれがかなりのネック。。
それでも引き続き開発に関わっていただいたMADさんには頭が上がらない。

スモールスタートでまず公開、そして改善を回すべきだった
エンジニアが中にいないが故に、経営サイドの理想と開発の現実をブリッジすることが難しい状態に。なんとか自分が翻訳して間に入るものの、やはりスピード感が遅くなった。また十分な検証もできずに完成度を高めていたこの時間は今思うと無駄。アジャイル的にローンチしてユーザーの動きを見て改善してのサイクルを回す重要性を感じた。
Action>Loud、というのがここから小口の座右の銘に。

そんなこんなしていたら、さといこができました。

これだけでは端折れないくらいの多くのストーリーとご協力をいただいた皆さんがいますが、その話はまた今度。。記念すべきローンチのリリースを。

サービスを伸ばす|2019/10~2020/2

さて、いよいよローンチしてからは、サイトの改善含めていくつかの方向でタスクが分かれていきました。
大きく分けるとこの3方向かな。

①サイト改善活動
②マーケティング活動
③広報PR活動

①サイト改善活動
日々UXを考えて、少しでもサイトを使いやすくかつ、寄付の数を多くできるかを追求するメインの活動。
ユーザー向けの予約導線のシャープ化・マイページの機能拡充や、事業者&自治体向けの管理画面の改修などなど、毎日アップデートが生まれていく。
本当はミニマムローンチをしてそこからこの検証フェーズでサイトを改善すれば良かったのだが、前述の通りすでに組み上げているので、ここでまた作り直す部分もあったり、ともったいないことをしたなと反省。。

②マーケティング活動
サイトのブランディングまではまだ行かないものの、少しでも寄付額を増やすために刈り取り含めた広告活動を行なった。まずはごく少額でターゲットの反応率や訴求メッセージを検証。その後12月の受容期に合わせて少し資金を投下してある程度のリターンを獲得できた。
ここでの反省は、マーケティングコストをケチりすぎたこと。我々のように新市場を作っていくビジネスの場合は、ある程度の確証があればローンチ時に市場を一気に取るプロモーションを行う方が浸透しやすい。特にふるさと納税のような左脳的な市場では、直感的にわかりやすい大規模なものが必要だったなと思う。
今思うと、あの12月にドカンとコストをかけていたらマーケットリーダーになれていた可能性はあったかな、と。難しい判断だけどね。

③広報PR活動
広告などのプロモーションには資金をかけられないので、自社SNS運用とプレスリリースによるPRの2軸に注力。
SNSはTw担当のしんのすけ氏とInstagram担当の旅子氏の2人(この2人はほぼ創業メンバー)のおかげで、リーチがかなり取れていたと思う。毎日続けることの大変さと尊さを教えてくれて本当にありがとう。
プレスリリースは下記のようにサービスのアップデート中心にたくさん出した。全てクリッカブルにしたのでご覧ください。

2019年10月31日
(株)昭文社と業務提携契約を締結し、体験特化型ふるさと納税サイト「さといこ」に関する協業を開始
パートナーの昭文社さんがいなかったらさといこはきっと生まれていなかった。この協業が全ての始まり。大日方さんと宇津井さんを中心とした皆さんに改めて御礼申し上げます。

2019年11月07日
長野県御代田町と「さといこ」を活用した包括連携協定を締結
 初めて地元長野と連携した事業。御代田町長の小園さんの決断力と推進力にて連携ができ、各種領域で前向きな取り組みができた。

2019年11月12日
埼玉県主催の「地域振興検討会議」で講師を務めます
埼玉県庁さんからお声がけいただいた県内自治体向けのセミナー&ワークショップを実施。お声がけいただいた金子さん、ありがとうございました。

2019年11月21日
業界初の 『体験返礼品提供事業者になる』 機能を「さといこ」上に実装し、地域を応援したい事業者の募集を開始
今までは自治体の認定がないと返礼品提供者になれなかったこの業界で、初めて自分から登録ができるCMS化を行なった。

2019年12月10日
約70%の未経験者が今後のカギを握る”ふるさと納税”、彼らが新たに求めるものは「体験型」や「災害寄附」など
調査リリースも初めて書いたなぁ、自分のスキルがこんなところで生きるんだと気づかせてもらった思い出のリリース。

2020年02月04日
ROOTsは、地方創生の第一人者が集う「さといこフォーラム」を2月25日(火)に開催します
そして、1年間のつながりを形にすべくセミナー系イベントを企画、結局はコロナで実施できず。。

この時はメンバーが最大20人くらいまで増えて、一番ROOTs社が賑わっていた時期。でちゃいけない人いたら教えてね!載ってない人はごめん。。

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一期一会のメンバーたちは本当に全員ROOTsを作ってくれた宝物でした。ベンチャーにとって採用がこんなにも大変でリスクで、でもこんなにも重要で尊いものだと教えてもらった。

同時に、メンバーへのリスペクトや情報の透明性は、自分は持ち続ける経営者にならないと、と思い始めた時期でもありました。

サービスを転換する|2020/3~2020/9

そして始まったコロナ禍。最初に出た影響はこんな感じ。

<主なコロナによる最初の影響>
・前述のさといこフォーラムの中止
・体験受付の中止(旅行禁止&行政の誘客自粛)
・新しい自治体営業ができない
・商品登録が進まない などなど

サービスローンチから半年弱での試練でしたが、前を向いてなんとかこの状況を打破するために本当に色々な施策に奔走しました。
その一部をせっかくなのでご紹介、参考になる人がいればぜひ使ってやってほしい。

さといこのサービスを絡めながらコロナ対応に奔走した施策をリリースの順番にご紹介!

2020年4月9日
「さといこ」は、オンラインで全国の地域体験ができる、ふるさと納税の体験返礼品『おうち体験』の寄附受付を開始します

コロナになりすぐに、オンラインの返礼品を自治体と一緒に制作・寄付受付。当時総務省の規定にはオンライン返礼品の記載はなかったが、後に我々がキッカケとなって鬼才を作った記録的な施策。初めてのNHK露出もこれで果たしたな。
気になる方は、こちら体験ストーリーの記事をどうぞ!山形県庄内町役場の皆さん、佐藤佐治右衛門 佐藤代表、庄内町地域おこし協力隊 國本さん、本当にありがとうございました!

2020年5月20日
「さといこ」を運営するROOTsは、30日連続の地方創生オンラインセミナー『ふるさと未来会議』を開催します

2月に企画したフォーラムの実施ができないので、オンラインセミナーを企画。小口の「ベンチャーが話題になるには汗かくしかないのでは?」という一言で30夜連続に(小口は15夜担当、もうこんなに出来ない)なった。
本当に豪華な面々と対談ができて本当によかった。登壇していただいたの皆様へのリスペクト含み一例を。

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YouTubeでは全てのアーカイブがまだ残ると思うので、ご興味ある方は早めにご覧ください。

企画から実施までワガママを手伝ってくれた牧野さん、毎晩コメントくれた片出さん、運営チームの井河&大野を中心に当時インターンのみんな、本当にありがとう。

2020年6月29日
ROOTsが運営する体験型ふるさと納税サービス「さといこ」、宿泊施設向けのサイトコントローラー『TL-リンカーン』と連携

これはサービス開発側。宿泊施設は各種OTAサイトなど多面的な販売をするので、在庫を一元管理するサイトコントローラーを導入している。それをふるさと納税で初めて導入した。つまり、リアルタイムでじゃらん等と在庫を連携して宿泊施設の予約をし、決済をふるさと納税で申し込めるようにした、のだ。個人的にコロナ対策クリティカルな施策で、貸切宿泊やマイクロツーリズムの宿需要を捉えることができた。事業者向けの反応も上々。
後悔としてはここのベネフィットをユーザー向けに伝える活動が弱かった(コストも出せなかった)のはもったいなかったな。
開発チームも変わり、横山先生筆頭にマリノの皆さんにもお世話になりました。

2020年7月15日 
ROOTsが運営する体験型ふるさと納税サービス「さといこ」は、更におでかけに使いやすいサイトへとリニューアルしました!

UIUXのアップデートとしてサイトデザインを一新。機能的にもよりお出かけ層のニーズを捉えるために”日程検索”や”旅先検索”といった通常のOTA的な検索を導入。最初にスモールスタートできていれば、トンマナ含めもっと精緻にアップデートできたのかな、とも思いつつ、デザインを変更。

2020年8月20日 
「さといこ」は、日本航空株式会社・株式会社ジャルパックと連携し、ふるさと納税返礼品として”JAL航空券+宿泊“の寄附受付を開始しました

さといこに関するリリースで最も大きかったニュースがこちら。ベンチャーである我々が日本航空とジャルパックの皆様と協業し、返礼品の開発ができたことは言葉にできないくらいありがたいことでした。

ご紹介いただいた立谷さん、JAL側で動いていただいた倉田さん、香村さんやジャルパック社の皆さん、本当にありがとうございました。

2020年9月10日
「さといこ」は、ふるさと納税業界で初めてGoToトラベル事業に参画し、日付指定予約ができる宿泊返礼品の寄附受付を開始しました

私の26歳のバースデーに発表したのがこちら。ふるさと納税業界で唯一のGoToトラベル参画サイトとして寄付受付をしました。
設立時同様、JATA・法務・総務省の3箇所を回りまくりなんとか座組みを整えてローンチ。期間中は何件も予約が入り、やはり複雑なものを整理してでも世に出す価値があった施策として自分の汗と共に思い出に残る取り組みです。

こんなように、コロナ禍でも変化を恐れずに多くの活動をスピーディーにできたことはとても良い経験。改めて関与いただいた皆さんに感謝の気持ちを伝えさせていただきます。

サービスから離れる|2020/10~2021/5

これまでのような色々な活動をしても、やはりコロナの影響は大きく、2020年は1年を通してさといこは売上数百万程度しか活動ができなかったのが実情です。

そんな時に新しいドメインとして目をつけたのが「自治体支援事業」、簡単にいうとプロポーザル等で行政からの業務いただくを取り様々な事業にコミットするという作戦。

自治体は当初予算という年間行う事業とそれぞれの予算を前年の夏くらいから制定しています。なので、今過ごしている年度で、①やるべき事業、②達成すべき目標、③使うべきお金が決まっている。
ただ、この全体像を描いて予算の最適配分を考えたり、実施施策の詳細を詰めたりできる人が行政には多くはない、300自治体をめぐって感じた所感です。

だったら自分がその役割を担えばいい!ということでプロポーザルに出始めたのがこのころ。さといこから一度離れるという判断をして、受託事業にフルコミットしました。

<プロポーザルによる受託事業一部抜粋>
山梨県

・グリーンゾーン認証首都圏PR / 広報事業
・二拠点居住・テストベッド誘致PR事業
・農畜水産物やまなしブランド制作事業
長野県
・信州リゾートテレワーク事務局&広報事業
島根県
・しまね県民向け定住意向醸成ドラマ制作事業

このほかにも、北海道、福島、富山、兵庫、長崎、沖縄などなど都道府県市区町村の粒度問わず期間中で30件くらいのプロポーザルに応募しました。

ROOTsは大きい会社ではないのでグループであるYOMIKOの中にある”ひとまちみらい研究センター”を始め、各種パートナー企業とタッグを組んで参加することが多いです。いつも皆さんありがとうございます、、!

この行政の事業って、答えはなく毎回オーダーメイドの新規事業をやっているのと一緒。自分のマーケティングスキルと事業立ち上げ経験を最大限活用しながら都度担当者と一緒に悩み、生み出しながら、地域に根付いて自走できる施策の仕組みを提供しています。

最初はプロポーザル中心だったけど、中央省庁の補助金を自治体と一緒に取りにいく活動をしていたり、繋がりの中で事業を受託した会社さんのお手伝いとして関わっていたりと、ほぼ全国47都道府県でそれぞれ何かしらに関わることができています。

サービスを無くす|2021/6~2021/9

やっと本題。
ここまで読んでいただいた皆さんはわかると思いますが、ROOTs社の事業は大きく2ドメイン。

1.  体験型ふるさと納税サービス”さといこ”の運営
2.  行政課題解決・事業実施支援

1.のさといこ事業はコロナの影響で大打撃の大赤字、ただ2.の受託事業は売上数億円レベルで受注をしており黒字の事業。
ではなんでさといこ並びにROOTs社はクローズすることになったのか。

大きく3つの理由があると自分で思っています。

・本業の”さといこ”の業績が悪いこと
本業はあくまでふるさと納税の会社。他の事業で黒字が出ていても、ふるさと納税のリソースを使わないのであれば、さといこの赤字を消すためにサービスをストップするのは至極当然。2サイドのプラットフォームで商品集め・ユーザー集め共にKPIに満たないという、経営者としての弱さが一番の原因です。
・博報堂DYグループの業績が芳しくないこと
同時に株主である博報堂グループ(YOMIKO)の業績が悪いことも一因。本業の立て直しが必要な中で、中長期を見据えたtoC事業は、広告代理店というtoB受託産業ど真ん中の環境で事業の理解を得ることは難しい、ということがよくわかりました。
・起業家教育制度の社内ベンチャーであること
良くも悪くもノーリスク起業で株は100%親会社が持っているので、最後は我々に決断の力が大きくないということもありました。長期的保有したまま休眠なども考えましたが、経費部分を考えた時にリアリティもなかった。その時に株主である会社としては経営者に戻る部署もあるし安全策を、という判断をされたのかなと感じています。


人のせいにするつもりは全くなく、むしろHDYの恵まれた制度を活用させていただいてとてもいい経験ができたな、その中で継続ができなかったのは市場環境もありつつ、結局最後は自分たちの力不足であったと本気で感じています。

クローズにおいては様々な方からご意見をいただき、「続けてほしい」とか「うちが立て直せないのか」なんて暖かい言葉をたくさんいただきました。

親会社とも協議しましたが、最終的には瑕疵担保などのリスク観点から譲渡や販売はせずに自社でサービスをクローズすることを決断しました。

この4ヶ月間、とても苦しかった。

自分たちで作ったサービス。
多くの人たちの汗が染みこんだサービス。
自分が人生を賭けて24時間考え続けたサービス。
そして多くのステークホルダーの皆さんに愛してもらったサービス。

そんなさといこを、2021年9月30日でクローズする、という決断をし本日皆様に発表させていただいたことをここにご報告いたします。

生んで無くして、残ったもの

長文になりましたが、これが僕の3年間です。
今後は「何してたの?」の問いにこれをお見せしようと思います。

まがいなりにもサービスを立ち上げて運営する、人を雇って仕事をするという起業家としての日々を体験して学んだことを総括として。

<マインド>
・共感されるミッション(≒課題解決)作り
→これがあると応援者が増える。まず上段に明確な設定を!
・メンバーへのリスペクト
 →リスペクト失うと人が離れる。反面教師、自分は常にリスペクトを!
・社内の透明性
 →信頼を作るために情報公開はマスト。隠される経験は二度と作らない!
・社外のギブ&テイク
 →損得勘定だけでない純粋な繋がり、下心でない徳を積むと返ってくる。

<開発>
・アジャイル的な開発手法
 →大枠で公開、そして精緻化。走りながら考えろ、机上の空論はダメ!
・エンジニアの内製化
 →コストは置いてもエンジニアで自社を知る人間を大切に。
・ペルソナの高解像度化
 →サービス起点でなくユーザー起点の価値作り。常にユーザー目線を。

<マーケティング>
・ペルソナに基づく端的なブランド作り
 →説明的なNG。直感で誰でも説明できる端的なブランドへ。
・コストの使い所で突っ込む勇気
 →日和は何も生まない。攻める勇気を持つ、もちろんその理由も同時に。
・市場創造ではマーケットリーダーを第一に取ること
 →市場を作るなら一気に市場の長に!勇気がないなら既存市場で勝負!

ここまで書いてきて、1日1日を思い出すとたくさんの人との関わりを思い出しました。
文中でもたくさんの方々にお礼を伝えておりますが、全て本心です。

自分だけでは何もできない。
相手と一緒だからこそ生まれるものがある。
本気でそう思えた3年間です。

全国の自治体の皆さん、話を聞いて共感していただきありがとうございました。皆さんからいただいた一言一言が今の自分を作っています。



全国の事業者の皆さん、体験提供という肝を担っていただきありがとうございました。皆さんのオペレーションのおかげでこのサービスを作ることができています。

さといこに興味を持ってくれた皆さん、知ろうとしてくれてありがとうございました。我々以外でも体験型返礼品は普及が拡大しています。好きな地域を見つけて、ぜひ足を運んでみてください。

ROOTsメンバー、本当にありがとう。
1つのサービスが生まれて死ぬまでを一緒に過ごしたメンバーが今のメンバーで本当に良かった。心意気を受け継いで次のステップでそれぞれ前を向きましょう。

そして最後に、ご迷惑をおかけした全てのみなさまへ。
至らぬ点が多々ございまして、大変申し訳ございませんでした。
引き続き、ご指導ご鞭撻の程を頂戴できますと幸いです。


今後のことはまた落ち着いたらご報告いたしますので、しばらくお待ちください。


最後まで読んでいただいた皆さんにもう一回。
本当にありがとうございました!

ふるさと納税はあくまで手段。
全国の地域の魅力が広く伝わって、ふるさと納税の地域を応援するという本質が広く理解されて、全国の地域に根を張るすべての人が輝ける。
そんな世界が訪れますように。


株式会社ROOTs
取締役COO
小口 潤



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