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寄付は一部の法人に集中するのか!?~認定NPO法人と公益財団について

~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

国内の寄付は、『寄付白書2017』のよると1兆円を優に超えていますが、それら寄付が具体的にどの法人にわたっているのかは、なかなか分かりにくいかと思います。
今回は、この寄付金額と寄付先との関係について、公開情報をもとに見てみます。

1.寄付金額と寄付先との関係(認定NPO法人)

まず参考となる公開情報として、『認定NPO法人データベース(https://data.congrant.jp/)』(コングラント株式会社)が具体的な金額情報まで閲覧できるため、認定NPO法人を中心に捉えようと思います。
今回、対象とする認定NPO法人は1,180団体として、まずは財源の比率を見ていきましょう。

210628_記事画像_図1

財源を「寄付・会費」「助成金・補助金」「事業収入」「その他」の4種類に分けて、金額の構成比を出してみました。その結果、「事業収益」が最も高く、次いで「寄付・会費」が多いことがわかります。

次に、「事業収益」と「寄付・会費」の法人構成比を見てみます。

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半数近くは1千万円以上の事業収益を保持しているものの、15%の団体は収益事業を行っていないことがわかります。
一方で、1千万円以上の寄付会費を得ている法人は2割程度で、1億円以上を得ている法人は34社と全体の3%ほどしかいませんでした。つまり、一部の団体が寄付会費を多く集めている可能性が考えられます。

そこで、「寄付・会費」の構成比を、法人数と金額の比率で見てみたのが、下図になります。

210628_記事画像_図3

法人数では0.3%にあたる3法人で、164億円という金額比で48.6%を占めています。さらに、2.5%の法人数で70.6%という金額比を、8.5%の法人数で83.4%という金額比を占めています。
つまり、NPO法人では、数%という一部の法人が多くの寄付を集めていることがわかります。

2.他の法人(公益財団)ではどうか

寄付・会費を集めている法人は、公益法人、社会福祉法人、日本赤十字、(ふるさと納税が話題の)自治体、学校法人、宗教法人、政治献金などがあります。今回はこのうち、公益法人について見てみようと思います、

公益法人は公益社団法人と公益財団法人とに分かれますが、今回参考とする『公益法人の概況及び公益認定等委員会の活動報告(内閣府)』では、社団・財団を含めた9,581法人を対象としています。

まず寄付金の収入状況を確認します。

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半数以上の公益法人が寄付を集めていることがわかります。

次に、この寄付を集めている4,880法人に絞って、収入規模別にまとめてみたのが下図になります。

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この表だけでは分かりにくいので、認定NPO法人の表と比較して見てみます。

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着目点は、公益法人と認定NPO法人の寄付額の中央値がほとんど同じでありながら、平均値は公益法人の方が2.6倍以上高いことです。これは、前述した通り認定NPO法人では一部に寄付が集中していましたが、公益法人も同様に一部の法人に集中している可能性が考えられます。さらに、認定NPO法人以上の偏重となっている可能性も有り得ます。

3.最後に

今回は公開データから、寄付金額が一部の寄付先に集中していること(可能性)を見てきました。ただ、一部に集まっていることは決して悪いことではありません。それは、寄付者の意向が反映している結果であり、また寄付先としても積極的なファンドレイジング活動の結果でもあるからです。こうした現状を知ることが大切だと私は思っています。

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