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【マンガ】わかり易さと勢いはどっちが大事か?

昔。マンガの編集時代。
ある漫画家さん家に行くと、
先にやっていた、
別の会社の編集さんとの
打ち合わせが長引いていたんです。
どうも言い合いになったらしい。

さて。先約が終わり、
私との打ち合わせに。
まだ、息が荒い漫画家さんに
さりげなく水を向けてみた。
「大変だったんですかあ?」
すると漫画家さんは、溜まっていた
感情を吐き出すように一気に
こういったんです。
「編集さんに、ネームを見せると
一言目から『わかりやすく』
『パッとわかるように』っていうけど
そりゃ、わかる、 
わかりやすさは大切。
でも、その通りに直してくと、
最初にあった勢いやビートが
絶対になくなるんだよ、大人しくなる」
「マンガって、荒削りの勢いや
ビートも大事じゃない?
分かりやすさと勢い、どっちが
大事なんだろう?
少なくとも俺の漫画は勢いが
大事なんじゃないか?って思うんだ…」

しばらく私は黙ってきいていた。
汗が止まらなかった。
私も、実はその時、漫画家から
見せていただいたネームが、
分かりにくい?かもなので、
何点か、修正をお願いしようと
していたところだった…。

その日は、修正のお願いは
一つか二つにとどめておいた。
漫画家さんのいう「荒削りな勢い」
という言葉にめちゃくちゃ
感じるところがあったから。

わかりやすさと勢い。
読む人にとってどっちが大事か?
これは今も私は定まっていない。
できれば、荒削りの勢いを残しつつ
工夫すべきは平易さも目指し…
なんて、両方は欲張りかな?

確かに、勢いに惹かれてる読者は
ちょっとわかりにくかろうと、
自分からどんどん分かろうと
作品に食いついてくれる?
かもしれない…。
自分が子供時代、漫画には
そうだった気がするから。

もちろん、ビートも勢いも
最初からない文章や漫画で
わかりにくいなら、それは
単なるダメな文章やマンガだ。

勢いの大事さ。
それは一度、修正していくと
確かにどんどん消えていく。
それに気づかず、
分かり易さをお願いしてばかりで
書き直してくれた漫画家さんには、
悪いことをしていたなあ。汗。

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