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立ち食い蕎麦で見た、2杯のお水?

夕方、病院の診察も終わり、
小腹が空いたので、
駅前の立ち食い蕎麦店を
目指してました。

蕎麦店に近づくと、
男性の老人が一人、
入り口前に立っています。

え?今日はお客さん並んでるの?
ツユが旨くて人気だな、と思ってたら、
老人は自信なげに店に入ります。

私も後から店に入り、
天そばの食券を買いました。

ただ、老人はまだ
カウンターには近づいて行かない。
ハテナ?
店の中の若いスタッフも、
たぶん中国の留学生ですが、
老人の意思を汲めず、
わからないで困ってる。

水をください、と
ようやく聞き取れました。
は???喉が乾いてるらしい。

蕎麦やうどんではなく、
1杯の水が欲しいんです。
きれいな青いセーターを着て、
丁寧な言葉を使いました。
ただ、ちょっと声が枯れていて
聞き取りにくかったんです。

私は、この人はきっと病気か何かで
水分補給を大事にしてる人なのだな、
と受け止め、老人のとなりで、
蕎麦をすすり始めました。

私も鈍感すぎですね。
もう勘のいい方なら
話が見えてるかもしれません。

飲み終わった老人は、
さらにもう一杯、お水を
実に控えめな態度で、
何度もお辞儀するようにして
店の人に所望しました。

留学生と思しきスタッフも
なんの疑いもなく、真摯な顔で
2杯めのお水を注いで上げている。

何度もお礼を言いながら、
老人はごくごく水を飲んだ。
それで、サイフから20円を差出し、
渡そうとしました。  

店の若いスタッフは困ります。
そしたら古参のおばさんが、
いやいや、お金はいいから、
と何度もジェスチャーします。

しばらくして、老人の男は
静かに店を去っていきました。

え?え?そばは食べないんだ?
と、ここで鈍感な私も
やっと気づきました。

彼はお水だけが欲しくて
蕎麦店に来た人だったんです。

老人が出て行ったあと、
一番古参のスタッフが
説明するところでは、
あの人は毎日今くらいの時間に
やってくるらしい。
毎回、2杯飲んで、
20円払おうとするんだけど、
いやいや大丈夫、と
お店は受け取らないらしい。

もしかしたら、いつか
あの人が、お客さんとして、
蕎麦を食べに来るかもしれない
じゃないか?
たぶんないだろうけどさ、
お水一杯だし、飲ませたげよう、
どうせ、もう新宿の駅前周辺では、
お水だけくれる店もないんだよ。

お水を汲んだ若いスタッフは
いたく感心して、
日本は優しい国ですね、
とニッコリ笑いながら次の蕎麦を
作っていました。

確かに、老人には
2021年の新宿は暮らしにくい
街かもしれない。

ペットボトルのお水くらい
買えそうなみなりでしたが、
色々事情もあるんでしょうか。

ふと、ええカッコしいの私は
ならば、500円か千円、
店の人にバチーンと渡して、
あの老人が来た時は
好きなだけ水を飲ませて
あげてくださいと申し出よう!
と、財布を開けました。

ただ、財布には5000円札しか
ありませんでした…。
うーん、さすがに
5000円はちょっと…出せません。

器が狭いなあ、私は…。
汗。

今日はお水がえらく
立派に見えました。

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