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We love COFFEE !!

こんにちは(*'▽')

コーヒー飲みます、日常的に。でも、生産農家やそこに暮らす人たちのことまで思い浮かべることは少ないかもしれません。赤いコーヒーの実を手で収穫、発酵、9種類(9段階)もの精製、乾燥、運搬……良くない状態の豆を取り除く、焙煎、ミルで挽いて、ドリップorエスプレッソマシーンetc. …なんとたくさんの人の手を経て目の前で楽しむ一杯のコーヒーとなっていることか…!!


コンビニコーヒーの功罪とは?

堀口 今、コーヒーの産業構造そのものがさまざまな問題を抱えています。たとえばさび病や気候変動による生産減や、農園の宅地化や人件費の問題。そして消費量の伸びに生産量が追いついていないこと。栽培しやすく収穫量の多いロブスタ種やカモチールを作れば生産量は増えるけど、コーヒーがまずくなってしまう。ロブスタ種は僕がこの仕事を始めたときは30%程度だったんですが、今は40~42%にもなっています。そんなさまざまな問題がある中で、コーヒー産業のサステナビリティのために、僕らがどうあるべきかを考えないといけません。いちばんの問題は、消費国がディスカウントマーケットになっていることです。

丸山 そうですね。最も高価なスペシャルティコーヒーと最も安いコマーシャルコーヒーの価格差は、おそらく日本がいちばん大きいでしょう。

堀口 スペシャルティとコマーシャルがバランス良く共存していくのが理想なんですけどね。適正な品質に対して適正な価格でマーケットが動くことが大事です。コーヒーの質は消費国のマーケット次第だから、消費国がディスカウントしか求めないのであればいいものは作れません。たとえば安価なコンビニやファーストフードのコーヒー。あれでおいしいという人もいるし、それはそれでいいんだけれど、すべてがそのクオリティになってしまうと、結局「コーヒーはまずい」ということになってコーヒー離れが進み、コーヒー産業は衰退するでしょう。だから産業構造全体を俯瞰して見ることが必要なんだけど、利益追求型の企業はそうじゃないじゃないですか。これが問題ですよね。

丸山 私はコンビニコーヒーが出てきたときは、ある意味良いことだなと思っていたんです。コンビニコーヒーでも、飲み比べるとそれぞれ味が違うということを知ってもらえるのはいいなと。でもその後なんだかよくわからない競争になって。

堀口 そこから卒業してさらにおいしいコーヒーへ、となってくれればいいんだけど、あまりそういう人がいないですよね。そこで完結してしまって。

丸山 消費者がいいものは価格が張るということを理解していて、安いものも買うけど、いいものがほしいときにはちゃんとお金を出すというふうになっていればいいんですけど、そうはなってないですよね。コンビニコーヒーの品質も明らかに最初より落ちたように感じます。

堀口 100円という売値が決まっているから、やはりどこかにしわ寄せが来ますよね。

今後のスペシャルティの存続のために

丸山 安いコーヒーが増えるということは、生産地へのペイバックが少なくなるという意味でも問題です。

堀口 一方、スペシャルティコーヒーは生産者サイドのほうが利益が上がっていて、ぼくらコーヒー販売者は粗利が減っているんですよね(笑)。

丸山 そうですね。自分で生豆を買ってない人には意外と知られてないけど。よく「儲かっていいね」なんて言われるけど、結構大変です(笑)。

堀口 スペシャルティは構造的に高値安定なのでね。いいものは奪い合いになって価格がどんどん上がるし。

丸山 小規模農家が通常通り農協に納めて得られる金額と、堀口さんやうちのようなタイプのロースターが買うときの差額はかなり大きいので、今付き合っているスペシャルティコーヒーの農家が今後も生産を続けていくことは可能だと思うんです。ただ今後どのくらいスペシャルティの需要が伸びていくかが問題ですね。

堀口 日本のスペシャルティのマーケットの伸びも鈍化していますね。価格のせいもあるかもしれない。コンビニでは100円でコーヒーが飲めるけど、うちの豆を買って自分でいれても1杯100円では飲めませんから。結局、良いものがわかる人の層を増やすしかないんですよね。その方法としてはセミナーなどいろいろな方法があるとは思うんですが。

丸山 私が注目しているのはコーヒーとは異なるクラスターの人たちです。中国茶やワインを飲んでいる人、あるいはチーズが好きな人など、良いものの味がわかる人たち。その中にコーヒーは苦手だと思い込んでいる人もたくさんいると思うんですが、良いコーヒーを飲む体験によって、「チーズと同じだ!」と面白がってくださるんですよね。そういう層を発掘できるようなお店とのコラボやセミナーは実施しています。

堀口 今、味がわかる人は減ってきているので、良いコーヒーを理解できる人がこれから減っていきそうなことも問題ですね。そのために食育が大事なんです。子どもの頃から出汁の味に親しんでないと、大人になってからではわからないと言われています。だから食品業界がいちばんやらないといけないのが食育でしょう。いくら良いスペシャルティがあっても、味がわかってもらえないのでは売れようがないですから。

堀口俊英(堀口珈琲・創業者)& 丸山健太郎(丸山珈琲・代表取締役)

『Coffee Complete』(枻出版社、2017年)「僕たちのコーヒー談義」より


「A Film About Coffee」(ブランドン・ローパー監督、2014年)というドキュメンタリー映画では、永続的にその地域のコーヒー豆を買い取る約束をしたうえで品質向上についての現地と買い手の試行錯誤をする例や、コーヒー豆の精製などに必要な水を生産農家さんたちが確保できるよう水道を引いたら、周りの住人も水を汲みにわざわざ湖まで行かなくてよくなり喜ばれたという例も紹介されていました。

ドキュメンタリーの初めに、「一杯7ドルの高価なコーヒーを専門店でみかけますが、時間や労力を考えると安すぎる値段です」とナレーションされます。えぇ!一杯800円くらいのコーヒー、わたしには手が出ないよ!と思いましたが、見終わるころには納得がいきます。

大坊珈琲店(2013年に閉店)の大坊さんのコーヒーを淹れる一連の所作は、茶道のお茶を点てるときの静謐な雰囲気に似ているものがあり、思わずほうっとため息がもれます。その他のコーヒー店の人たちもそれぞれの哲学をお持ちで、無性にコーヒー飲みたくなります…(*´Д`)

美味しいコーヒーをいただくには、それなりの対価を払う必要があるんだなぁと思います。その価値があるとわかったうえで!

Have a good coffee break ☆

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