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カナダのマギル大学に編入した方法

高校卒業後、私はアメリカのオレゴン大学というところでComputer Science (CS)を勉強する進路を選びました。オレゴン大学に入学しそれなりに学生生活は楽しかったです。綺麗な校舎、フットボールのチーム、そしてアメリカの学園都市での生活は都内の高校を出た自分には何もかも新しく面白かったのを覚えています。そんな楽しい大学生活も1学期を終えた頃にひと段落し、やはり高校時代にホームステイしたモントリオールが忘れられないことがきっかけでカナダのマギル大学のCS学科への編入を目指すことにしました。そこで得られた経験や知識をシェアしようと思います。

マギル大学

まずこのマギル大学の概要なのですが、カナダで1821年に創設された古い大学で、幅広い学部があり、特に物理学部、化学部、医学部と法学部はカナダ国内で評価が高いとされています。大学はカナダのモントリオールというケベック州最大の都市に位置していて、フランス語と英語が入り混じる他の北米の大学とは一風変わった学生生活が送れたと思っています。

機械学習とマギル大学

ちなみにですが、マギル大学のあるモントリオールというところは最近流行りの機械学習の拠点として近年注目を浴びています。Google ResearchやFacebook AI Research (FAIR)もモントリオールにあり、カナダ、特にモントリオール、トロント、バンクーバーはこういった機械学習の面では研究しやすい環境があるのかもしれません。かくいう私の学部時代の研究テーマも機械学習とテンソルに関するもので、マギル大学のCSの教授陣は本当に世界クラスの非常に素晴らしい先生が揃っているので、これから機械学習や統計学、もちろんComputer Scienceを学びたい人にとっては非常にいい大学だと私は思います。

学生生活とおすすめのお店

モントリオールの夏は非常に快適ですが、冬はそれが一変します。−10度なんてザラ、下手をすれば-25度にもなる過酷な環境です。そんな中でもクラスに一人は短パンで講義を受ける学生さんがいたことを覚えています。一部カナダ人の体感温度はどうなってるんだ…そんな環境に何年も過ごすと精神力が鍛えられます。まずは夏から始めるのがいいかもしれません。

モントリオールといえばフランス語圏です。そして何よりもご飯が美味しい場所だと僕は思います。有名なお店はSchwartz's(シュワルツ)やらFairmount Bagel、Au pied de Cochonなどありますが、ここで僕が推したいのは Boucherie dans la Coteです。直訳すると海辺のお肉屋さんですが、ここは本当に知る人ぞ知る超ローカルなおしゃれなサンドイッチショップ兼お肉屋です。ここのサンドイッチは地元の食材を作り立てで出してくれて値段も比較的高くはありません。オーナーシェフもとても気さくて良い方なのでモントリオールに行くさいはぜひ訪れてみてください。Google Mapsのリンクを貼っておきます。

編入に必要な書類

さて、話が少しそれました。本題に行くとマギル大学のCS学科に編入するために必要なのは以下の項目です:

  1. TOEFLの成績(iBT 90点以上 各セクション21点以上)

  2. 大学のGPA (3.0以上が好ましい)

  3. 必須の修了済みクラス (大学で今までとったクラス)

  4. Personal Statement (大学で何がしたいのか)

さらに自分は送りませんでしたが今ではRelevant Experience (最近何をしたのか、課外活動) と Analysis or a Social Problem (社会問題を選んで考察する)のレポートも必要になるようです。Link

これらの必要項目について一つずつ僕のケースを解説しようと思います。

TOEFL (90点以上かつ各セクション21点以上)

私は実はオレゴン大学の1年生と2年生の両方、合計2回マギル大学に編入(Transfer)のApplicationを出していて、1年目はReject(不合格)となっています。それはなぜかというとTOEFLの点数が1点足りなかったからです。マギル大学の理学部の足切りはiBT 90点以上かつ各セクション21点以上です。その時の自分のTOEFLの点数は92点だったのですが、惜しくもSpeakingで20点しか取れず、合計点では足切りの90点を超えていたのですが、各セクションごとの21点の足切りに引っかかってしまい不合格となりました。この時の悔しさは今でも忘れられません。

2年目は無事に100点を取り各セクションの足切りもクリアーしたので無事に合格できました。ちなみに教育学部と経営学部は100点が必要です。足切りの点数はこの大学のウェブサイトに掲載されています。

大学のGPA (3.0以上が好ましい)

GPAとはアメリカ、カナダで多くの大学が採用する成績の付け方です。基本的には5個の成績があり、良いほうからA(4.0) B(3.0) C(2.0) D(1.0) F(0.0)となります。これを修了済みクラスの単位数と掛け算して合計したものを取得単位で割ったものがGPAです。簡単にいうと自分の成績の平均点です。

私の1年目のGPAは4.00でしたが悲しいことにTOEFLの足切りで落とされています。2年目は3.75で少し下がりましたが合格できました。マギル大学に編入した友達の話を聞くとどうも3.5はみんな超えているようでした。これが3.0未満となると特別になぜ成績が3.0未満なのかというレポートを出願するときに書かなくてはいけないようです。

必須の修了済みクラス

編入に出願するにあたり、その編入したい学部の1年目の必須の授業をあらかじめ今いる大学でとっておかなければいけません。これは出願する学部ごとに違うのですが、僕がFaculty of Science(理学部)のCS学科に出願したときは

  • 微分1学期

  • 積分1学期

  • 2学期分の実験付きの物理、生物、化学のクラス

が必要でした。要はこのクラスをちゃんと履修して修了していることが必須となります。自分はオレゴン大学にいたときは同じ名前のコースがあったので1年目にこれを全てとりました。このリンクを参考にして、自分がどの学部に編入したいのかを決めたらそのクラスを出願までにしっかりと履修できるように初年度は計画した記憶があります。

Personal Statement

この項目が自分にとっては鬼門でした。東京の非インターナショナルスクールを卒業した僕はこのPersonal Statement(大学に入って何がしたいのか)を書いたことがオレゴン大学の出願のときにしかなく、今回はなぜComputer Scienceを勉強したいのかに加えて、なぜマギル大学に編入したいのかを書く必要がありました。

僕は結局シンプルに高校時代の夏休みにモントリオールに一ヶ月行って英語を勉強しこのモントリオールという街が好きになったこと、高校の頃からプログラミングとインターネットに興味があり自分でコーディングの勉強を課外活動でやったこと、海外の大学に行くにはどうしたらいいのか情報もないまま自分でインターネットや電話で調べたことなど、自分のこの情熱をそのままPersonal Statmentに書いた記憶があります。この項目はやはり個人の裁量が大きく、自分がなぜ留学したいのか、そのきっかけや自分の決意の固さをはっきりと強い情熱を持って書きました。

提出期限

2022年現在、1月15日がその年の編入の出願の提出期限になっています。これはあくまでも今年出願するよという意思表明であり、上記の資料は4月30日までに遅れば問題ないようです。ただこの提出期限はカナダ以外の大学から、また数個の学部以外への申請に限るので、もしカナダの大学から編入を目指されているのであればこのリンクが参考になるかもしれません。

編入後の単位の変換

編入前の大学の単位が全て無駄になることはありません。編入後、まず私がしたことは各学部のアドバイザーに会ってオレゴン大学でとった単位の変換の相談でした。各学部にはその変換をみるアドバイザーが自分がオレゴン大学でとったクラスを見て、マギル大学のどのクラスに相当するのかを決めてマギル大学の単位に変換してくれます。私の頃はメールがきてそれに従ってやりました。前の大学で履修したクラスに相当する全ての学部のアドバイザーに会ってお墨をいただかないといけないので、このプロセスは地味に大変でした。編入する方はあらかじめ理解しておくといいかもしれません。


以上が自分がアメリカのオレゴン大学からカナダのマギル大学へ編入したプロセスです。思い返せば全く情報のないところから自分で情報を調べて出願したのはいい思い出になっていると思います。マギル大学に限らずカナダの大学に編入したい方の参考になると嬉しいです。

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