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【最近読んだ本】2024年:②

 面白いと感じた要素や、一部の表現や、お話の構成については書いているので、多少のネタバレも嫌で、作品を予備知識無しで読みたいという方は、見ない事をお勧めします。 読んだ後の方や、多少の展開バレは気にしないし、『他者の感想はあくまで他者のモノ』と割り切れる方でしたらどうぞ。

◆漫画◆

『片田舎のおっさん、剣聖になる』④巻

『片田舎のおっさん、剣聖になる』④巻 
原作:佐賀崎しげる・鍋島テツヒロ 漫画:乍籐和樹
田舎道場の天才剣士が、弟子達によって表舞台に連れ出され、様々な人に影響を与えながらその剣名を広めて行く物語の④巻。

宵闇との事件も決着。
様々な魔法の応酬は、アクションとして派手で面白く、魔法の本質を語る部分も楽しみながら理解出来る。
運命的な強者との出会いが、次なる物語の伏線となる。
騎士団の活躍と新たな組織の登場。
各キャラの個性や心情を奇麗で丁寧に描写しながら、物語の規模が大きくなって行く予感を与え、ワクワクさせる。

各登場人物の心情描写が丁寧で、それを入り口に作品の世界に引き込まれる。
敵・味方双方に立場と思いが有り、それらの動きが物語となる。
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『映像研には手を出すな』⑤巻

『映像研には手を出すな』⑤巻 大童澄瞳
アニメ制作を志す女子高生3人組を中心に、創作の喜びや楽しみ、それらに関わる人々や社会との関係を描く作品の⑤巻。
時計塔の崩壊から、再建→上映会へと話がりが広がり、宣伝と未来への投資としてのアニ研とのコラボや駆け引きも面白い。
失われた物を切なく思う気持ち。
文化的な様々な物が時代に埋もれ消えて行く悲しさ。
アニメで失われた物を再現する価値から、マネタイズでの実際の再建への流れも楽しい。

音響を使った演出のアレコレ。
共同制作における分担や、センス、裁量、責任の重さとバランス。
モノ創りをする上での様々な要素が解り易く、面白く描かれる。

一生懸命に好きな事を追い、動く者達の周りには、更に人が集まり大きな輪となり力にもなる。
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『辺境の老騎士』⑩巻

『辺境の老騎士』⑩巻 原作:支援:BIS 漫画:菊石森生
バルドの鳥料理にまつわる過去のお話しや、日々進歩しているドリアテッサの修行。
緩やかに見えて着実に時は進む。
己の老いを知り、人生の選択の数々を振り返りながら、自信を持って前を向く。
人民の騎士たる人生は、常に力強く、優しさに溢れている。

旅立ちと当時に新しく登場する伯爵アーフラバーンは、波乱の予感を読み手に抱かせる素晴らしいキャラ。
一コマで持って行く感じが良い。
ワクワクして次の巻が待ち遠しい。
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『MSV-R ジョニーライデンの帰還』㉕巻

『MSV-R ジョニーライデンの帰還』㉕巻  Ark Performance
赤い彗星とキマイラの戦いが激化する中、
ミナレットの探索は進み、中枢管理システムのエキドナは静かに情報を収集する。
ヤザンの本気がシャーを捉え、幻獣達の牙が突き立つ時、ヒュー大佐の執念が形となって動き出す。
お話も最終版となり、嘗て無い激しいMS戦とミナレットに隠された真実。

個人的にはヤザンの活躍が好き。
最終巻に向けて、更なる展開を見せる辺りは、最後までワクワクさせてくれる名作。
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◆小説・エッセイ・その他◆

『太平洋食堂』

『太平洋食堂』 柳広司
留学経験も有り、広い視野や見識を持ち、常に貧しい人達を助けようとした、医師であり文筆家の大石誠之助の物語。
変わり行く世の中で、人と人の平等で幸せな生き方や関わり方を常に模索していた誠之助は、様々な哲学者や文人との関わりを広げて行くが、その行動が政府から『主義者』の疑いを掛けられ、謂れの無い迫害受けて行き……

人間関係の大切さや難しさ、思想や哲学が世に必要な理由、優しさの本当の意味や、言論の自由が保たれる必要性や尊さを教えてくれる作品。
『無能な指揮官は、ただの人殺しである』という言葉が有るが、無知で差別的な権力者も同じである。
過去に起きた事を描いた作品だが、現代の日本の事をアレコレと考えさせられる作品だった。
『言葉』の使い方や、他者への『思いやり』の形を今一度、丁寧に考え直していく必要性を強く感じる。
万人の幸せは存在しないかもしれないが、争わずに距離を置きながら、共に未来を目指す事は可能であると、再認識した。
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『雲霧仁左衛門』前・後編

『雲霧仁左衛門』前・後編 池波正太郎
盗人の掟を遵守し、花のお江戸で一人も殺さず、一万両の大金を盗み出す、
神出鬼没・変幻自在の大怪盗団『雲霧仁左衛門』一味と、
それを追う『火付け盗賊改方』の駆け引きを描く時代活劇。

電話も無い時代に、多くの部下を手足の様に動かす手法や、互いの心理の裏の裏迄もを読み合う攻防。
江戸時代の文化の中に生きる、盗人と役人を躍動感たっぷりに魅せてくれる。
達人や玄人達の命懸けの駆け引きは、読む者の意識を江戸の闇の中に誘い込み、人間どうしの情と葛藤が濃厚なドラマとなって心を揺さぶる。
江戸盗賊物の名作。

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