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【最近読んだ本】2024年:③

 面白いと感じた要素や、一部の表現や、お話の構成については書いているので、多少のネタバレも嫌で、作品を予備知識無しで読みたいという方は、見ない事をお勧めします。
 読んだ後の方や、多少の展開バレは気にしないし、『他者の感想はあくまで他者のモノ』と割り切れる方でしたらどうぞ。

◆漫画◆

『ダンジョン飯』⑪

『ダンジョン飯』⑪巻 九井諒子
ライオスとドラゴン達の死闘。
カナリアの合流は事態を更に混迷へと進んで行く。
シスルの狂気が頂点に達し、金獅子が悪魔の本性を現す時、マルシルやライオスの持つ願望や欲望が、世界を変革へと導く。
物語が大きく動き、クライマックスに向けて加速して行く感覚がワクワクさせる。

この世界感でしか起こり得ない、真理や感情が物語の鍵として機能する事によって、数ある剣と魔法のファンタジーの中でも、この作品を唯一無二のモノにしている。
よくあるファンタジーのアルアルを散りばめながらも、独創的な世界観が物語を重厚な物にしている。
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『OBSOLETE ハナブサレポート』

『OBSOLETE ハナブサレポート』 漫画:増田由大 
原作:EXO-PEDDLERS 原案:虚淵玄
異星人が人類にもたらした未知の技術『エクゾフレーム』により変容していく世界を、ジャーナリストのハナブサの視点から描いていく作品。
強化外骨格系のお話は幾つも有るが、製造元が異星人で、そのベースのユニットが誰でも石灰石1000㎏で一つ手に入るという設定は秀逸である。
経済格差がもたらす様々な問題やイデオロギーのコントロール等の描写が、世界の産業や軍事の変容に重厚なリアリティを与えている。

アニメ『OBSOLETE』の公式コミカライズ。
重厚な世界観をジャーナリストの視点を使う事で、解り易く、感情移入もし易い作品に仕上げている。
アニメを見ている人も、コミックからアニメを見る人も両方が楽しめる様な作品。
『物』を『兵器』するのは人間であり、世界を変革するのも人間である。
たとえその変革が、誰かの意図的なものであっても、世界は回り続ける。
容赦のない徹底したリアリズムの中に、人々の感情とドラマが垣間見える名作。
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『BADON』①巻

『BADON』①巻 オノ・ナツメ
犯罪を犯し、刑務所で出会った4人の男達が、真っ当な生活を送るべく、大都市バードンで【高級煙草屋】を開業する物語。
彼らが背負ってきた様々な過去が、時に心を、時に社会的な地位に影を落とすが、それらと向き合い、理想の未来へと進む。

ACCA13区監察課と同じ、独特の世界観で展開される人間ドラマ。
個性的な4人の男達に訳アリの少女も加わり、奇妙な共同生活は周りや、彼らの過去の関係者にも影響を与えて行く。

過去の過ちと向き合いながらも、前を向いて生きて行る男達の、不器用だが芯の通った大人のやり取りが素敵な作品。
一見、ニヒリストの様な面を見せながら、その実は己の理想や未来の希望を必死に模索している姿が良い。
ガキの頃に憧れた、大人の男の立ち居振る舞いや所作、セリフのやり取りは何度読んでも格好いい。
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『MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』㉖巻

『MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』㉖巻 Ark Performance
ミナレットの発動の発動を阻止するべく、死闘を繰り広げるキマイラ。
過去の数々の因縁と、後悔、未来への希望が交錯し、ジョニー・ライデンが戦場に帰還する。
人々の想いが未来への道標となるか?
怒涛の展開となる最終巻。

アニメのZZガンダムとニューガンダムの間のお話だが、一年戦争から0083、Zガンダム等の宇宙世紀の戦争をMSを中心に、軍事的戦略や兵器運用、それらの局面における兵士や指揮官達のドラマも含めて、解り易く感動的に魅せてくれる名作シリーズ。
『ギレン暗殺計画』(全4巻)や『光芒のア・バオア・クー』とのリンクも有り、合わせて読むと宇宙世紀に生きる兵士や戦士達の生き様と、軍事の在り様が解かる。

ガンダム関係のコミカライズでは、Ark Performanceの作品はリアリティとドラマのバランスが絶妙で素晴らしい。
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『片田舎のおっさん、剣聖になる』⑤巻

『片田舎のおっさん、剣聖になる』⑤巻 
原作:佐賀崎しげる・鍋島テツヒロ 漫画:乍籐和樹
田舎道場の天才剣士が、弟子達によって表舞台に連れ出され、様々な人に影響を与えながらその剣名を広めて行く物語の⑤巻。

敵のアジトへ潜入し、スフェン教会騎士団との遭遇戦。
奇跡を行使する三人の剣士を圧倒するベリルの前に、あの男が現れる…

今回も剣劇シーン盛りだくさんで魅せてくれる。
絶対的な決意と容赦の無さは、どこまでも深い慈愛と過去の過ちが生み出す力なのか?
世界の裏で暗躍する組織を、剣一振りで捻じ伏せに行く主人公の姿に、ワクワクが止まらない。
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◆小説・エッセイ・その他◆

『混沌の夜明け』全④巻

『混沌の夜明け』全④巻 清松みゆき
 アレクラストの遥か西方にある[混沌の地(ケイオスランド)]の探索の王命を受けたベルダインの騎士プライヤ・ウルグとその仲間達の壮絶な冒険の物語。
 使命に燃える騎士や司祭、金になると踏んで集まった船乗り達、新天地開拓の為に連行される犯罪者達。
 スタートから問題ばかりの一向に、次々と苦難が降り掛かる。
 裏切り・内乱・自然の驚異・未知のモンスター・未開の地に住む原住民族との掛け引き等々。
戦の女神や魔神ジャカオの力等も登場し、新しいソードワールドの世界が広がって行く物語。

 ソードワールドRPG完全版が発売していた当時、別のシステムをメインで遊んでいた、その頃のリプレイや小説をあまりチェックしていませんでした。
今更ながらに当時買うだけ買って、読んでいなかった物や、新たに探して購入したモノを読んでいます。
一部の物は電子書籍で復刻していますが、やはり紙の書籍が好きなので、出来るだけ探すようにしています。
本屋さんや古本屋さんでは、予想外の本との出会いも有るので、物理書籍の魅力は大きいですね。
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『混沌の大地』全④巻※未完

『混沌の大地』全④巻※未完 清松みゆき
 前作で混沌の地への開拓団を率いた副隊長の息子である、プライヤ・エイクソンは士族長の継承と父の失踪の謎を追って旅立つ。
 同じ頃、アレクラストから混沌の地に降り立った冒険者達も士族や混沌との争いに関わり初め、やがて彼らの運命は重なり合い、混沌の一大勢力である大王ヴァーゲルの討伐へと進んで行く。
 生まれた場所が生み出す価値観の違いや、未来へ向けた[混沌の地]の有り方を模索しながら、様々な立場の登場人物達の思惑が絡み合って行く。

 惜しむらくは、後一冊という所でこのシリーズが未完である事と【混沌の地】のワールドガイドが出版されなかった事である。
 作者は存命だが、商品価値の観点から続編が書かれる事は無いと思われる。
 作品には人気と同時に、次節と言うモノが有り、これを逃すと素晴らしい作品でも続編が出ないので、リアルタイムでの応援は必要不可欠に思う。

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