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女性の闘争本能となわばり

女は男よりなわばり意識が強い

長年の経験による実感です。女性はなわばりをめぐって、ときには過剰とも思える反応を示すことがあります。

実例1:ある料理教室の先生


エスニック料理を教えているのだが、同じような人がいると必ず行って、示威行動をする。
「私は大使館のイベントにも出ている教室には新幹線に乗って来る人もいる。」など、聞かれもしない話をわざわざしに行く。
「この辺りでは私以外に教えている人はいないはずたけど」と、同業者のリサーチに余念がない。

実例2:知り合いの喫茶店の奥さんの話


子連れで離婚して実家に帰ったばかりの女の子をアルバイトに雇った。
しばらくして慣れてくると、何もかも自分で仕切りたがり、喫茶店の台所には「入るな」。クーラーには「さわるな」とはり紙をした。
実家では実母が自分の子供の世話から台所まで仕切っていたため、この子は家庭で台所の権利がなかったらしく、職場での「なわばり」に非常に固執していた。

なぜなわばりに個室するのか?


男の場合も商売などでは(開業獣医師も同じ)、なわばりがかなりシビアに主張されます。それは餌を取る場所の奪い合いだからです。

しかし、女性の場合、それが餌取りに直接関係しなくても、なわばりに非常にこだわるのはなぜでしょう?
特に例2の場合、こういう行動でクビになる可能性もある訳です。
でもなわばりに固執してしまうのです。

卵を守ったり、子供を育てたりする「巣」がメスにとって大切だから、なわばりによりこだわる、という説明はできなくもありません。
あるテリトリーを保守することは、女の「巣を守る」という本能に根ざしているのでしょう。

ペンギンのdrk氏にも闘争が

女性あるいはメスのなわばり意識は上下関係に勝る


さらに、そこでは、自分のなわばりに近づく者が、自分より上位(力、能力、年齢、経験において)であっても、闘争が起こります。「なわばりを侵害される」という不快さが、「この人は上位なのであらそわないでおこうという意識にが先行するように思われます。

男性の場合、こういった衝突が起こった場合、まず「能力の評価」が判断基準となり、「闘う」「尻尾を振る」「腹を見せてころがる」などのプロセスを経て、一応勢力は均衡し、落ち着きを見せるように思われます。

女性の場合、このアクションがなかなか起こらないので、なわばりという平面で、両者はにらみあったままです。
そして、なお厄介なことに(経験のある方が多いと思うのですが)、女は実力で相手が上と判っても、なかなか「尻尾を振る」「腹を見せてころがる」などの行動を取らない場合が多いのです。
明らかに実力の差があっても「でもあの人気に入らない」などの訳の分からない理屈で自分の負けを認めようとしません。

それで事態は一層泥沼に入ってゆくように思われます。
昨今、性獣医師の数も増え、パートに出る女性の数も増えています。そこで管理職かりなわばりの切り分けをしていれば問題ありませんが、それができない上司がいると、職場はカオスとなっていきます。

女性読者の何割かはそういう職場をご覧になっているはずです。
女が男より闘争的でない、ということも、実は疑わしいものです。

メス犬は死ぬまで戦う

犬のしつけセミナーを受講したことが何度かあります。前回のセミナーで、講師のテリー・ライアン先生が面白いことをおっしゃっていました。

「闘犬は多くの国で禁止されていますが、もしあなたが闘犬にどうしても勝ちたかったら、どうすればいいと思いますか?」

答えは「雌犬を使う」なのだそうです。

雄犬同士の喧嘩は「俺がこの喧嘩をいただく」という性質のものだが、雌犬同士の喧嘩は「この世界をいただく」という性質になるのだそうです。

女性同士の争いの熾烈さを経験している方は、「なるほど」と思われることでしょう。前のなわばりの章でも述べたように、男の場合、ある喧嘩に勝てばそれで一応の力関係が安定するのに対し、女の場合はそれだけで安定が起こらないのでしょう。

そこで無限に闘争が続くという訳です。賭ける側にすれば、敗北を認めないで闘い続ける犬はありがたいです。

このように考えると、男性の場合は、社会の中の自分の位置がアイデンティティの源であり、女性は自分の占めるスペースが源なのです。動物学的に言えば、男はサル山で何番目というランクが決まれば安心し、女は他のメスが来なくてゆっくり子供が育てられる場所があれば安心するのでしょう。

上下関係より占有できる面積の広さ。それはすなわちどんぐりを拾ったり、果物をとったりできる場所の広がりです。これはメスのどこか営巣本能につながっているようで、興味深い傾向です。(続編に続く)
続編です。https://note.com/juuishi_nitanai/n/n046a26edcc7b 

似内惠(獣医師・似内産業動物診療所院長))
(この原稿の著作権は筆者に帰属します。無断転載を禁じます。)


似内のプロフィール
https://editor.note.com/notes/n1278cf05c52d/edit/
オールアバウト「動物病院」コラム



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