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気密測定はなぜ必要か?

1.気密とは

住宅の温熱環境の表す指標には、国等が定めたものとして、断熱性能を示すUA値や日射性能ηA値(断熱性+日射遮蔽)そして建物隙間の大きさを示す気密性能C値があります。
気密性能を良くする必要はなぜあるのか?
◆冬の不快な隙間風をなくして暖かく快適になる
虫等の侵入を防ぎ衛生的である
24時間計画換気をスムーズに行なえる(※)
壁内結露のリスクが減る
(※)24時間換気は国がシックハウス対策として義務化している居室の計画換気のことで、密閉時2時間で部屋の空気が外気と1回入れ替わるように機械で換気してください、という法律です。

2.気密測定とは

気密測定

気密測定は流量センサーの付いた排気ファンを建物内に設置し、建物の窓等を完全に閉めて密閉状態とし空気を強制的に排出しながら屋外と屋内の圧力差を計測することにより求められます。
(写真は私が定期的に校正しながら16年使っているコーナー札幌のKNSー5000Cでの測定風景です。)

3.気密測定はなぜ必要か?

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気密測定は、断熱性能UA値のように計算によって求まるものではなく、1棟ごとに計測しないと本当の数値はわかりません
実績のある住宅会社が全く同じデザインの建物を建てたとしても、建築現場にはいろいろな人が携わります。電気工事業者や設備業者は外壁面に穴をあけて配管配線を通します。
その周囲の気密処理はきちんとされているはず・・・なのですが、人間なので「うっかり」もありますよね。
気密測定はその「うっかり」を見つけるために必要なのです。

4.C値はいくらならいいの?

3地域以南は C値=5以下という基準ですが、これはちょっと現実的ではありません。(悪すぎて測定不能となります)
私見ですが、1.0以下なら問題ないレベルと考えます。私の会社では全棟測定しており、これまで16年で100棟以上計測していますが、0.1~0.8の範囲です。最近ではほとんど0.5以下です。でも1.0以下なら合格としています。理由は
建物が小さいほど、形状が複雑なほど、窓が多いほど数値は悪くなる傾向があるからです

5.測定するタイミングは?

断熱気密工事が完了し、内装工事に入る前 と 完成時 がいいです。
内装工事前なら漏気箇所が見つかっても是正が容易だからです。
ちなみに私の会社は内装工事前の1回です。それまでに配線や配管の蹴りだし工事を完了し、気密測定以降は外壁に穴をあける作業が無いからです。

6.新築後に気をつけること

エアコンのスリーブです。エアコンのダクトの周囲のパテや発泡ウレタンでの気密処理を忘れないようにしないと、建物は24時間換気などで負圧状態なので音が鳴ったりすることもあります。
空調業者さんにはスリーブの気密処理をお願いしましょう。
ポイントとして外装材の内側には通気層があるのでその内側(断熱気密ライン)で気密処理してくれることをお願いしてください。

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