見出し画像

大東流の三大技法(続)14

大東流三大技法でいう合気柔術とは江戸柳生系合気柔術のことで、柔術を簡易化した合気柔術とは系統が違います。例え、見た目は同じような技であっても、そのコンセプトや位置づけが違うのです。そんなことに、こだわる必要はないのでは?と思う方も多いでしょう。確かに、その技だけを稽古するには必要ないかも知れません。また、その技の分析や応用展開も自力でできると言う方なら、もはや習う必要もないでしょう。しかしながら、多くの修行者にとっては、明確な枠組みを示され、その理論を理解することで、納得し稽古の励みになる、と思っています。そしてその先、既存の枠を超えた応用展開が自在になせるようになることが目標でしょう。

江戸柳生系合気柔術の教授代理の資格を得た植芝盛平は、武田惣角から指導対象者を限定されていたにもかかわらず、東京でこの技法を中心に教え始めます。植芝からすると、自在な動きが可能で応用展開が判りやすい江戸柳生系合気柔術の方が柔術を簡易化した合気柔術より面白いと思ったのでしょう。ただ、これは柔術テクニックをマスターしている植芝だからこそ言えることであって、柔術テクニックを知らない者からすると入身転身といった動きに惑わされ、技の本質の部分がわかりにくいのです。そして、そこに奥深さという逃げ道や好き勝手な解釈が生まれる余地が生じるのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?