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夏の「学び」@東エルサレム【後編】

こんにちは、エルサレム事務所の木村です。前回に引き続き、東エルサレムの女の子たちが夏休みに参加したさまざまな研修のレポートをお届けします。

JVCは現地NGO・シルワン・アットゥーリ女性センター(AWC)と連携し、青少年(女性)を対象とした、職業技術体験を行いました。若い女性たちに人気があり、将来性もある3つのコースを設定。女の子たちはそれぞれ15~40時間を費やして夏休みいっぱい新たなスキルの学びにチャレンジしました。

まずは、「グラフィックデザイン」

講師(右)に指導を受けながら文字のグラデーションに挑戦
コンピューターが得意な子が他の子に自主的に作業手順を教える場面も

コンピューターを触るのは初めてという子もいて、パソコンの操作から学びました。一方、学校の課外授業でコンピューターを扱ったことがある子は講師のパソコン操作を見ながら、さくさくと作業を進めていきます。私が研修を視察した日は「自分の名刺」をつくっていました。どんな写真にするか、フォントにするか、色味は、、、といったところで個性が出ていて興味深く感じました。

続いて、一番人気の「ネイル」

ジェルネイルに挑戦!
ネイルをする前に、まずは爪の甘皮のお手入れをしっかりと

こちらはとても賑やかな雰囲気。ネイルを塗るという実践の前に、爪の手入れの仕方を含めた衛生管理や正しい道具の使い方なども学んだり、適切な爪のお手入れについて意見交換をしたりしました。そしていざ実践の段階では、参加者がお互いの爪を塗りあい、出来具合について評価しあいました。

特に10代後半の女の子たちは「ネイルはしたことがあるけど自己流だった。正しいやり方を学べて嬉しいし、自信が持てた」と笑顔で話してくれました。

最後に、最も研修時間が長かった「フォトグラフィ(写真)」

顔のアングルや表情、光の当て方について説明する講師
早速、お互いの表情を撮影しあいながら学んだことを実践!

将来プロの写真家になりたいという女の子も多く参加していたこの研修。カメラの機能や撮影の基本(アングルの取り方など)を座学で学んだあとは実践の繰り返し。参加者がお互いを撮影したり、時には郊外に出て花や木などの自然を被写体にしたり、フラッシュの使い方を学ぶために夕方から夜にかけての撮影も行いました。

感動したのは女の子たちの吸収の速さで、撮影した写真を講師に見せて講師がコメントしたあと再度撮影した写真の出来栄えは驚くほどの変化でした。

あるところに松ぼっくりがありました(木村撮影)
そして、松ぼっくりに近づく女の子が、、、
そして撮れたのがこの写真(木村撮影と比べるとなんと芸術的な、、、)

またSNSやデジタルツールを駆使する現代っ子らしく、撮影した写真や動画をつなげてTik Tokにアップするなど学び→実践→フィードバックのサイクルを上手に繰り返しながら技術を磨いていました。

すべての研修(ネイル)が終わって誇らしげな女の子たち

ネイルの講師が修了式の日に女の子たちに向けて語った言葉が印象的でした。「今日で研修は終わりますが、ここからが始まりです。でもいつも思い出してください。新しいことを学んだ日のことを。継続して学び続け、実践し続けていくことが大切です」

女の子たちにとってこの研修は、「夏の楽しい思い出」ということだけではなく、学びの楽しさ、同じ研修を受けた仲間との切磋琢磨、将来について考えるという貴重な機会になったのではないでしょうか。

10月からは女性たち(大人)の職業技術訓練が本格的に始まります。こちらは生計向上のための小規模(ホームベース)のビジネス開始を見据えたものなので、より真剣な女性たちの姿が見られるのではと楽しみにしています。「学びの夏」から「学びの秋」へ、ということでそちらの様子もまた随時お届けする予定です。お楽しみに!

JVCのパレスチナ事業では、現地に暮らす人びとの意思を応援する形での支援を行なっています。また、パレスチナの問題を日本社会にも伝えることで、一人ひとりが取り組むための橋渡し役を担うことも試みています。 サポートしていただいた分は全額、JVCのパレスチナ事業に寄付いたします。