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パレスチナの中のマイノリティ支援~遊牧民ベドウィンとのチームワーク~

【パレスチナ事業30周年 ウェブ記事・第五弾】

 JVC会報誌「Trial&Error(通称TE)」で振りかえる「JVCパレスチナ事業の30年」。その第五弾となる今回は、1995~1997年にかけて実施した「視覚障がい福祉事業」についてお届けしたいと思います。

1995年から、JVCでは植林事業と並行して、ヨルダン川西岸地区(以下、西岸)で現地NGOのパレスチナ医療救済委員会連合(UPMRC)をパートナーに、医療機器の供与、学校での健康診断やワクチン接種を含む巡回診療などの医療支援活動を始めました。
そして、西岸の現地NGO「発声・病理学センター」と連携し、補聴器修理工房の設置や「パレスチナ式手話の教材ビデオの作成」などの聴覚障がい者福祉事業も開始しました。

1992年のオスロ合意以降、長年にわたる「パレスチナ問題」の解決に向けて国際社会は「和平への投資」ということで、パレスチナ暫定自治政府(当時)に対してたくさんの援助が集まりました。

そのような状況のなか、JVCはより支援が必要とされるマイノリティの中で、障がい者への支援を始めることにしました。
耳型製作機材、補聴器の修理機器、脳波を調べる聴覚検査機器などハードの提供を行うとともに、聴覚障がい者のための手話教育に寄与するための「ビデオ教材」の制作にとりかかります。

この教材制作のユニークなところは、パレスチナの中でもマイノリティであるベドウィンの人が関わっていること。ビデオ制作過程では、撮影場所の西岸北部の聾唖学校のある街が戦車で包囲され入ることができなくなる、ヨルダンから招聘した手話通訳専門家のビザが発給されない、治安状況による相次ぐ撮影中断などの困難がありながら、1997年にビデオが完成し、西岸およびガザの聾唖学校などに寄贈されました。

シリーズでは『Trial&Error(JVC会報誌)で振り返るパレスチナ事業30年の歩み』として、当時の事業や状況を紹介した会報誌の一部を掲載しています。
1995~1997年にかけて作成された「聴覚障がい者への手話教材ビデオ」の制作に関わったベドウィンの村出身のアッダーニアさんへのインタビューを、ぜひご覧ください。写真をクリックすると記事が拡大されます。 



( 1997年11月 発行のTrial &Error No. 175 より抜粋)

JVCのパレスチナ事業では、現地に暮らす人びとの意思を応援する形での支援を行なっています。また、パレスチナの問題を日本社会にも伝えることで、一人ひとりが取り組むための橋渡し役を担うことも試みています。 サポートしていただいた分は全額、JVCのパレスチナ事業に寄付いたします。