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大好きな映画「エターナル・サンシャイン」

※ネタバレ注意です。


大好きな映画がある。

「エターナル・サンシャイン(原題:Eternal Sunshine of the Spotless Mind)」だ。ジム・キャリーとケイト・ウィンスレット主演の恋愛映画。ファンタジーやSFの要素もあり、「ありえないだろ!」っていう展開しかない。笑

しかし、誰しもきっと経験のある「失恋」を題材にしていて、特に過去の恋愛に痛い思い出のある人にとっては本当に心に刺さる映画。

好きな映画を5本選べと言われたら絶対に入れる。恋愛映画ではベストだと思ってる。


消されていく記憶と思い出

超名作(だと思ってる)なので細かいあらすじはあらすじサイトなどを御覧いただきたい。
簡単にいうと、ケンカ別れしたカップルが、ヤケクソでそれぞれ「記憶を消せる病院」でお互いの記憶を消す、というお話。ありえないでしょ?笑

この映画は、ジョエル(ジム・キャリー)視点で、クレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)の記憶が消されていきながらストーリーが進んでいく。キモは、彼が記憶を消されていく過程で見せる「後悔」。

ケンカ別れとはいえ、長い時を過ごした元恋人。数々の思い出があるわけで。出会った頃の印象、付き合い始めの多幸感、彼女が見せた涙、同棲中の痴話喧嘩、次第に感じる価値観の違い・・・

記憶が消されていく順番が、最近から昔にさかのぼっていく、というのがまた憎い。

すれ違いも、価値観の違いも、クソ腹が立つことも、つい言いすぎてしまうこともあった。正反対の性格の2人。気が合うはずがなかった。さんざんだった、辛い別れ際の記憶。

だけど、だんだんと蘇ってくる楽しかった思い出、一緒に行った場所、彼女の笑顔。思い返してみると、こんなにも愛し、愛されていた。ということを、記憶をたどりながらジョエルは思い出していく。
「やっぱりキャンセルだ!消さないでくれ!」と脳内でもがきながらも、なお消されていく記憶たち。

…辛い(咽び泣き)

ジョエルは脳内で記憶を消されていく過程で、一番最後に「クレメンタインと初めて出会った瞬間」を回顧する。初めて会ったのはニューヨーク州の「モントーク」という海街。そして2人は「モントークの浜辺でまた会おう」と約束する。

「さようなら」も「愛してる」ナシに別れた2人。最後にジョエルの脳内で、「さようなら」「愛してる」と言って別れを告げる(記憶が完全に消される)。


2回目の出会い

そんな感じで記憶を消されてしまった2人なんだけど、ここからがまたファンタジー。偶然運命の再会を果たしてしまうんだよね。
場所は、以前2人が初めて出会った「モントーク」。

記憶がなくなっても、2人とも潜在意識でモントークを探し、同じ日・同じ時に「初めて会う」。あのときのように、また惹かれ合ってしまう。価値観も生き方もまるで違う2人なのに、だからこそお互いを補完するかのように求めてしまう。

涙。

忘却と許し、そして学び

いろいろあって2人は、以前恋人だったということ、並大抵ではない別れ方をしたことを知るが、ここで映画タイトルが活きてくる。
映画中で触れられる、アレクサンダー・ポープの詩。
「The world forgetting, by the world forgot(忘れられた世界によって、世界は忘れていく)」「Eternal Sunshine of the spotless mind(かげりのない心の、永遠の陽光)」

人間とは忘却をする生き物。最悪なことがあっても、それを忘れ、だからこそ許し、そして学ぶことができる。再び幸せを噛みしめることができる。

なので、映画の終わり方がサラッとしていてなんともあっさりしている。少しまた険悪になり、言い合う2人。
「きっと私の悪い所を見つけて、あなたのことも退屈に思えてきて、窮屈な思いをするわ。前回もそうだったんだから」
「オーケー(それでもいいよ)。」
そして泣きながらも、また昔のように笑い合う2人。

・・・この「オーケー」の含蓄がすごすぎる。むしろこれがテーマ。最高すぎる終わり方。

ちなみに主題歌はBeckの「Everybody gotta learn sometimes」。これもテーマとリンクしてる。「誰もがいつかは学ぶんだ」ーーこの「オーケー」が「許しと学び」だよね。
エンドロールのBeckが本当に刺さるから聞いてほしい。

この映画の監督は、2人のその後の行く末は観客の解釈に任せるとしている。また同じようにケンカ別れするかもしれない。けど、この「忘却と許し、そして学び」を思うと、お互いのイヤな部分や違いも、認めあい学びあいながら、幸せが続いていくんじゃないかなぁ。


映画本編の1/10も大事なこと言えてない気がするけど笑、サイドストーリーや魅せ方、グラフィック、音楽も学ぶことの多い本当に素晴らしい映画。脚本は初見ではやや難解なので、2回見ることをオススメする。

自分のバイブル的な映画でもある「エターナル・サンシャイン」。
恋愛につらい思いをしている/した方、失いたくない愛する人がいる方、観てください。

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