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60円でシェアする幸せ

今日はここ最近知ったアプリを紹介したいと思う。

シェア・ザ・ミール/Share The Mealといって、国連WFPで運営する60円で飢餓に苦しむ子供たちに食事を提供できるアプリだ。

※国連WFP(国際連合世界食糧計画/United Nations World Food Programme)とは、飢餓の無い世界を目指して活動している世界最大の人道支援機関。

WFP日本事務所公式サイト http://ja.wfp.org

関連記事によると、世界のスマートフォンユーザーの数は飢餓に苦しむ世界の子供たちの数の20倍に上るという。2015年6月から実験的にドイツ・オーストリア・スイスの三ヶ国で先行公開されたが、その結果期間中に12万人のスマホユーザーが利用し、アフリカ南部の国ソレトの子供たちへ170万食を届けることが出来た。

これからは個人が「所有」する時代から、「共有」する時代となる。

昔、安藤忠雄氏のセミナーへ参加した時にこのような言葉を聞いた事をふと思い出した。

60円で飢餓に苦しむ子供に一日分の食事を提供できるとしたら何を迷う事があるのだろう。それも、スマートフォン数回のタップ操作のみで。

プロセス

寄付はとても簡単な操作で出来る。

アプリをインストールした後、起動したら画面中央に「食事をシェア」という黄色いボタンが表示される。丸いボタンをタップすると、一食分(60円)、一週間分(420円)、一ヶ月分(1,800円)等、金額と提供できる食事の数を6通りの方法で選択できるようになっている。

寄付額を選択したら、次にクレジットカード情報の入力画面が表示されるが、カードもカメラで読み取ることが出来るので煩わしさを感じない(ちなみに私はためしにデビットカードで決済してみたが普通に使えた)。決済を終えると、どの国のどんな環境にいる子供に寄付がされたのかが表示される。

今後は、管理コストが支援に影響しないような形でもっと直接的なフィードバックが出来るよう検討中とのこと。

ストーリーテリングと情報の視覚化

このアプリの最大の強みはメッセージ性にある。

「たった60円で、子供一人に一日分相当の食事と栄養を届けることが出来る。」

このメッセージの持つ力は想像以上に強い。

利用者は最初に表示される画面で、現在どこの国のためにお金を集めているのかを確認できるのだが、note作成中の現在(17.04.12)はイスラム過激派組織ボコ・ハラムによる襲撃の影響を受けたカメルーンの4~13歳の子供たちの給食費用として募金活動がされている。

今まで数多くの募金関連の広告を目にしてきたが、それらとこのアプリの大きな違いは単純に寄付者の同情心を煽るものではなく、どこに、どんな目的で誰のためにいくら必要なのかという情報が明確化されている点である。実際、上記のカメルーンへの募金は画面下にあるグラフにて現在78%まで達成したということを含め、これまでの活動報告などが随時更新される仕組みとなっている。

また、グループ機能もあり、所属したいグループに参加してメンバーと一緒に募金をしたり、自分でグループを作り募金を募る事も出来る。映画「Eat Play Love(邦題:食べて、祈って、恋をして)」で、主人公リズが自身の誕生日にプレゼントの代わりにタイで出会った親子のために募金して欲しいと頼む場面を思い出す。

飢餓だけでなく大気汚染や紛争など、現在世界が抱えている社会問題は数多くあるが、それらを自分の問題のように感じている人はどれくらいいるだろうか?恐らくほとんどの人は「ニュースで各国の代表がなにやら会議をしていた、まあ偉い人たちが議論する問題だろう」くらいの認識だろうと予想する。だがもし、個人レベルで少しでも解決に協力出来るとしたら、やりたいと思う人もきっといるはずなのだ。

国連WFPのアーサリン・カズン事務局長はこう述べる。

世界のどこでも、人と人は、食事をシェア(分かち合う)というシンプルな行為を通じてつながっています。このアプリではデジタルな方法で食事をシェアできます。『飢餓ゼロ世代』、すなわち飢餓の無い世界を実現する次世代の人たちが、飢餓に終止符を打つために具体的にできることなのです。

私の認識では、お腹が空いて泣いている子供にパンを分けて与えてくれるのは、いつだってアンパンマンみたいなヒーローの役目だった。飢餓の子供たちを救うなんて、とても大げさに聞こえる。だが、手元のスマホで一分もあれば誰もがそれを出来てしまう時代になった。

たぶん命を救うなんて大それた話では無く、60円で誰かと分かち合う一回の食事。
しかし、その小さな繋がりに救われる命もきっとあると、希望を持つのも悪くない。

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