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習慣の話

よく考えてみるとそうだった。
私の習慣の中には、時に「私だけのものではないもの」が混ざっている。

カバンやポーチの中身を整理していた時、化粧品の中に混じってほぼ使われていない新品の目薬を見つけた。ふと、なんで入れていたんだっけ?と記憶のルーツを辿ると、面白い事に気付いた。

学生時代、当時付き合っていた人がドライアイで、デートの時によく目薬をさしていた。そのくせすぐに目薬を紛失してしまうから、代わりに私が目薬を持ち歩くようにしていて、いつの間にかそれが私の習慣になっていたのだ。代わりにその人は、外出先でよく靴擦れをおこす私のためにいつも財布に絆創膏を入れてくれていた。

考えてみれば本当にそう。
今では毎日欠かさずに飲んでいるコーヒーも、きっと単純にコーヒーが好きだから始まった習慣ではない。
いつかの誰かとの時間や記憶が影響していて、その結果コーヒーが好きになったのだ。

使う訳でもないのに、なんとなくいつも持ち歩いているもの。なんとなく写真を撮ってしまうもの。なんとなく食べているもの。

いつの間にか私の生活の中に溶け込んでしまった「あの時の誰か」との時間。
人との出会いというのは、もうその人と二度と会う事が無くても、確実に私の一部として層のように積み重なっていくものなのだなと思った。

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