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実はお坊さんが1番大切にしていたこと

 私がお坊さんとしてお寺の事を手伝うようになって言われた言葉に、
「坊さんは1掃除、2勤行(お経を読む)、3学問」
と、言われてきました。まずは、掃除をしなさいと。

 お坊さんは資格が必要です。資格がないとお坊さんにはなれません。
私の宗派(浄土宗)では、伝宗伝戒道場というのが総本山知恩院というお寺で12月4日~12月25日の3週間の間、泊り込みで修業をして、最終日に免許皆伝と、お坊さんとしての資格を得ます(もちろん、様々な課程をこなさないと、3週間の修行には参加できません。)。
その3週間の道場でも、起床後は、毎日まずは掃除です。

掃除だけで悟りの境地へ

  お釈迦様というお坊さんには、沢山の弟子がおられ、その1人に周利槃特(しゅりはんどく)という方がおられました。この方は、掃除だけをお行い続け、ついに悟りを開いたというお弟子です。


 周利槃特は、兄と一緒にお釈迦様の弟子となりました。
兄は成績優秀。なのに、弟の周利槃特は物覚え悪く(自分の名前すら忘れてしまうほどだったとか)弟子として、周りについていくことが出来なかった。その姿を見たお釈迦様が、「“塵を払え、垢を払え”とお唱えながら掃除をしなさい」と、周利槃特に掃除することを命じたそうです。
 周利槃特は、来る日も来る日も“塵を払え、垢を払え”と、何とか覚えながら称え、掃除を続けました。しかし、どれだけ掃除をしても次の日には落ち葉や埃がたまっています。毎日同じことの繰り返し。周りの弟子たちも同じことばかりしている周利槃特を馬鹿にします。それでも周利槃特は、“塵を払え、垢を払え”と掃除を続けます。
そんなある日、「毎日掃除をしていてもキリがない。でも、自分には難しいお経を理解することも、覚えることすらも出来ない。だから掃除をするしかない・・・でも、いっこうに綺麗になる日が来ない。」その葛藤の日々が続いたある日「綺麗にならないこのゴミと、自分の心は同じではないか?」という思いに至ったのです。自分は頭が悪いと見下げては、自分で自分を悩ましているのではないか?と。まず掃除すべきは自分の心ではないのか、と。
 それから様々な気付きを得て、周利槃特はついに悟りの境地へと達した、と言われています。

お坊さんにとっての一番が、なぜ掃除なのか

 掃除をすれば悟ることが出来る・・・までいかなくても、掃除には良いことがたくさんあります。
この間読んだメンタリストDaigoさんの本に、掃除のメリットが書かれてありました。とても分かりやすく、納得と行動ができる内容でしたので、参考に少しご紹介させていただきます。詳しくは、メンタリストDaigoさん著書『片付けの心理法則(学研プラス)』Amazonをご覧ください。おすすめです!

掃除(片づけ)のメリットとして、

☆集中できる☆
勉強しようと机に向かい、回りに物が散らかっていると気が散ってしまい集中しにくくなります。
《散らかっていると、心が乱れます》


☆気づきがある☆
床にゴミが落ちていたり、汚れているのをほったらかしにしていると、ゴミや汚れが気にならなくなってしまいます。
《ほったらかしは、無関心を育てます》


☆時間の増える☆
洗濯した服はどうしてますか?取り込んだままそこから着る服を探してないでしょうか?例えば、服を畳んでタンスになおしておくと、洗濯物の中から着たい服を探す時間は必要ありません。畳む時間より断然、服の山から探すより時間がかかります。
《だらしなさは時間の浪費とお友達》


☆感謝の日々が過ごせる☆
床などその辺に物をほったらかしにしていると、物を大切に出来なくなります。ちゃんと片付けをすると、大切にしようという心が出てきます。
《ほったらかしは、感謝の心も失います》


☆考える力がつく☆
物をどこに片付けるのか。どの順番で掃除をするか。片付けをしていると自然と何処に置こうか、この順番で掃除をしよう、と考えるようになります。
《ほったらかしは、まあいいか、と消極的になります》

 いかがでしょうか、簡単に掃除のメリットを上げてみました。
掃除が私の生活に、たくさんの良い影響を与えてくれそうですね。掃除で気づかせてくれることも多そうです。

ミミズの進化はミニマリスト?

  いきなり話は変わりますが、ミミズがよく道路で干からびているのを見かけませんか?
なぜ、よくミミズは干からびてしまうのか・・・
ミミズって皮膚で呼吸をするそうなんです。で、雨が降ると土の中のミミズは呼吸が出来なくなり溺れてしまうので土から出てくる。で、土が乾ききる前に土の中に戻らないと、土が固くなり戻れなくなる。で、戻ろうとするけど、戻れずミミズが道路で干からびてしまうのだそうです。
もう少し、帰る土の近くに居れなかったのかなぁと、思う気もしますが。こんなミミズですが、英語でearth-wormと言うそうですね。地球の虫。あのミミズが、そんなたいそうな名前だとは知らなかったのですが、ミミズは大地の土を整える大きな役割を担っているそうです。ミミズの排泄物は植物たちの栄養となり(畑などに撒く肥料に似た栄養があるそうです)、土地に潜った時のミミズの通り道が空気や水の通り道となって土の中に空気や水が行き渡るそうです。ミミズが土を耕し肥料を与えているのと同じ役割を担っている。ただウネウネしているだけでは無かったのです。しかも、昔は足のようなものがあったそうで、現在のミミズは進化をしてあの姿、足も手も目も無い姿になったそうです。無くしていくという進化・・・これってミニマリストの考え方に近い気がしません?

まとめ

 仏教は基本的に自己と向き合う教えです。その中で掃除というのは大きな役割を果たしているのです。
ミニマリストや断捨離が流行るほど、私たちの身の回りには物があふれているのでしょう。いかに物を減らすかということが、心にある貪る心をも減らすことにも繋がってきているのだと思います。掃除は行えば結果がすぐに目で見て確認でき、スッキリした気持にもさせてくれるツールなのでしょう。

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