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【映画のお話】茹であがった「ロブスター」

みなさん、結婚してますか?
私はできないのでしていません。

もう良い歳なんですが、他人事の様にのらりくらりと意識しないで生きていたらこんな映画に出会いました。

「ロブスター」2015年制作

簡単に説明すると独身者は妙なホテルに軟禁されて45日以内にパートナーを見つけなければ動物に変えられてしまいますよ、と言う、ファンタジー&クレイジーな設定です。

そんな日本の少子化社会対策も真っ青なこの映画の主人公デヴィッドを演じるのはコリン・ファレル。

自分の中のコリン像は「フォーン・ブース」でずっと公衆電話のボックスに入ってたイメージですが、今度はホテルに入ることになった様子です。

主人公のデヴィッドは妻となんやかんや上手くいかなくなり、前述の通りにホテルに収容されるデヴィッド。
衣服を脱がされて中年太りした肉体美のお披露目や、もしもパートナーが見つからなかった時になりたい動物をホテルの人に伝えたり、粛々と手続きは進んでいきます。
また、このホテルにデヴィッドは一匹の犬を連れて行きますが、この犬はもともとデヴィッドの【兄】だった事が本人から語られます。

ちなみに、デヴィッドはもしも動物に変えられるならロブスターになりたいと言い、その理由を「寿命が長いから」と言うようなやたら生きる事に対して意識した返答をします。
犬のように愛玩扱いされるよりも寿命が長い動物を選ぶデヴィッドですが、彼なりのジョークだったのでしょうか。

そうしているうちにデヴィッドはホテルのルールを覚え、友人を作り、日々を過ごす事になるのですが、冴えないデヴィッドの友達ですから、やはり出来た友人もそこそこに冴えない二人で、一人は活舌が悪いロバート、一人は脚が悪いジョンと言う、冴えないトリオが結成されてしまいます。

そんな冴えないトリオの一人、ジョンがホテル内の女性にアプローチをしかけ、早々に冴えないトリオに亀裂が発生。
更に言うとこのジョン、鼻血が出やすい女性にアプローチを行うため、わざと鼻血を出して自分も鼻血が出やすいのだと共感を装いアプローチをしかけたのです。
どんなナンパ師も真似できない鼻血アプローチを受けた女性は快諾、二人はパートナーとして、まずは同棲生活をホテルの敷地内で行う事となります。

一時期的な感情の揺れ動きでは無い事を示すためのお試し同棲制度を始めた元友達を羨ましく思ったのか、主人公のデヴィッドは、ホテルで一番誰も近づきたくない薄情な女性にアプローチをしかけます。

軟禁されているホテルには、45日以上経ったとしても、ホテル周辺の森にいる独身の脱走者を狩れば期間が延長されると言う特殊ルールがあるのですが、この狩りを嬉々として楽しんでいるこの薄情な女性にデヴィッドはまさかのアプローチをかけていきます。
正に草食系が肉食系に挑む構図、無謀です。

デヴィッドは必至で相手に共感されるように、非情に徹し、普段とは違う自分を演じていきますが、そんなデヴィッドの嘘は一緒にホテルに連れてきた【兄】を薄情な女性に殺害された事ですぐにバレてしまいます。

嘘でパートナーと結ばれる事は重大なルール違反なので、薄情な女はデヴィッドの不正をホテル側に告発しようとしますが、逆にデヴィッドは麻酔銃で薄情な女を気絶させ、動物に変身させる手術室に連れ込み、【兄】の復讐を果たします。

このままホテルに居れるはずも無いデヴィッドはホテルを抜け出し、森の独身の脱走者に身を寄せる事になるのですが、脱走者達はレジスタンスを名乗り、そこでも秩序を守るため恋愛禁止等の厳格なルールが設定され、お互いを監視・管理しあっている状態でした。

ここから先のストーリーはよくある展開、終わり方なので割愛しますが、結果的にデヴィッドはレジスタンス内にいる、ある女性を好きになり、のぼせあがって秩序・風紀を乱し、あげくにはレジスタンスからも脱走をすると言う欲望まっしぐらムーブを起こしこの映画は終わります。

最後までどうしてこんな世界になったか、バックグラウンド的な物は断片も無いくらい説明されません。
なので、リアリティがある必要も無く、考察する必要も無く、観ていてとても脳が疲れない作品でしたが、極限の状態で共感を得るために人が行う愚行を見る事によって、我が身を振り返るきっかけになる作品かも知れません。

実生活でも、のぼせあがる事なく、茹であがる事なく、冷静に暮らしたい物です。

このレビューが誰かの映画ライフを良き物にしてくれますように。

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