感情を理解する方法

人間の感情は複雑だと思っていないだろうか?

実際はそんなに複雑ではないのだ。確かに出力は複雑だ。喜怒哀楽やその組み合わせなどやその他いろいろがある。しかし入力は単純だろう。ここでいう入力とは光や音ということではない。光や音という基本的な物理情報を感情システムに取り込むところを入力と呼ぶことにして、そこに注目したい。

その入力とは、「マウントが取れる範囲に注目する意識」というものだ。

なにやら難しい概念を持ち出してきたなと思われたかもしれない。やけに言葉が長ったらしいからだ。しかし、この入力が理解できると感情を理解するのにかなり役立つだろうと確信している。

わかりやすい例でいえば、やたらと自慢ばかりしてきてウザイやつがいたとしよう。そいつはまさに、「マウントが取れる範囲に注目する意識」に支配されている。そしてそれをウザイを感じたあなたも「マウントが取れる範囲に注目する意識」に支配されている。

「マウントが取れる範囲に注目する意識」は誰にでもあるのでそれに支配されるのは当然だ。これは進化的には縄張り意識的なもので、生存には不可欠な形質であるのだろう。

重要なのは皆が「マウントが取れる範囲に注目する意識」を持っていることを理解すること、そして、争いを避けたいならば無駄に他人のマウントが取れる範囲に自分のマウントが取れる範囲を交わらせないことだ。

「俺すげー」「俺のほうがもっとすげー」という終わりなき争いは物語の中だけにしてもらいたいと思う。

物語の世界では、ストーリーを進ませるためにあえて、他人のマウントが取れる範囲に自分のマウントが取れる範囲を交わらせて、争いを起こして、勝者が正義のような形に収束する。

現実世界だと、マウントを完全に取られた側は、生きる意味を見失って絶望して自ら命を落とすかもしれない。その結果、愛する人を失って復讐心が芽生えた周囲が、本気で復讐してくることもあるだろう。いずれにせよ、悲惨だ。

仮に、物語の世界を参考にするなら、主人公の師匠系のキャラの振る舞いが実生活に役立つと思う。彼らは、他者の「マウントが取れる範囲に注目する意識」をしっかり考察して、無駄に立ち入らないようにしている。

他にも「マウントが取れる範囲に注目する意識」で感情が理解しやすい例を挙げてみよう。

束縛系彼女とかはどうだろう。彼女らも自分がコントロールできる範囲に彼氏を置いておきたいという意識に支配されている。彼氏が彼女のコントロールできる範囲を逸脱しようものならヒステリックを起こし、悲惨なことになるだろう。

あるいは、自粛警察とかはどうだろう。彼らは、自分たちはキチンとルールを守って自粛しているということで、その範疇では、確実にマウントがとれるし、そのルールの枠(マウントが取れる範囲)を逸脱するかどうかに意識が向かっているから、逸脱者あるいは逸脱スレスレの人に対しては非常に敏感だ。

さて、ここまで読んでいただければ、「マウントが取れる範囲に注目する意識」について、かなり理解が深まったのではないかと思う。

少し補足として、ニーチェの運命愛との関連性について述べたい。簡単に言ってしまえば、運命を愛せば幸せということだが、なぜそうなるのか?

運命に意識を向けることで、「マウントが取れる範囲に注目する意識」が壮大に変わるのだろう。つまり、通常、マウントが取れる範囲とは、身近な範囲を意識しがちだ。よく見るあいつよりも優れているかとか。しかし、身近な誰よりも劣っていたら前述のように、生きる意味を見失って絶望してしまう。

そこで、運命への意識が重要だ。運命を身近に感じることで、「私にもマウントを取れる可能性がある分野、範囲がある」と思えるだろう。すると、機能停止していた「マウントが取れる範囲に注目する意識」が復活して、絶望状態から脱することができる。

以上だ。もし、上記の文章で不明な点、質問したいことがあるなら教えてほしい。個人的には哲学的な会話が好きなので遠慮はしなくてもOKだ。

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