小川クミ

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「悟空になったらいいんじゃないかな」

握りしめた100円玉と、ポケットにねじ込んた千円札を「落とさないようにしなさい」そう母から念を押されて見送られると、何度もポケットに手を突っ込んで、ちゃんとそこにあることを確かめる。 年に一度の夜の自由を手に入れた小学生の兄とわたしは、提灯と小さな裸電球がけぶるように誘い込む夏祭りの神社にかけ出した。 子どもの頃のお祭りの記憶である。 わたしは1回200円の金魚すくいが好きで、2回も3回もやった。 べつに何匹も金魚が欲しかったわけじゃなくて、ただ自分のお気に入りの金魚を見

    • 「フェードアウトなわたしが向きあえた たったひとつのこと」

      初めてnoteを書くので、まずはわたしの人生がいかにたくさんのフェードアウトのくりかえしでできていたかをお話ししたいと思います。 自分の自信のなさからくる自己防衛の、なさけなぁ~い、と~ってもカッコ悪いはなし。 4歳のとき、友達のおうちでおかあさんごっこをしていたわたし、初めましての子がそこに混ざっていて、その子が「お父さん役がいなきゃ、おかあさんごっこにならない」って言いだしたものだから、順番にお父さん役をすることになった。『わたしはいつもおねえさん役だったのに、無理、

    「悟空になったらいいんじゃないかな」

    • 「フェードアウトなわたしが向きあえた たったひとつのこと」