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齋藤潤くんから目が離せない

映像作品を見ていると、脳裏に焼きついて離れないシーンに出会うことがある。そういうシーンに出会いたいから映像作品を見ているところがあるし、懸命に作り上げられた作品をそうやって愛でられることに幸せを感じる。

私にとってそういうシーンの代表なのは、『おっさんずラブ』6話。最後の泣きながら春田に別れを告げるシーンで、私は林遣都さんにハマった。お芝居の熱を浴びると、そのままその俳優さんの虜になってしまう。他の作品では、どんなお芝居しているんだろうと気になって仕方なくなってしまうのだ。

そんな風にもっとお芝居を見せてくれと願ってしまう俳優さんに久しぶりに出会ってしまった。その名も齋藤潤くん。きっかけは映画『カラオケ行こ!』の最後の「紅」歌唱シーンだった。

ボーイソプラノの最後を感じさせるリアルな声の掠れ、ところどころうわずって外れる音程。学ランの襟を掴みながら、必死に声を絞り出し、「歌う」ではなく叫ぶように声を捧げる歌唱シーンには、どうしたって心が奪われてしまう。映画を見終わってすぐにあのシーンもう一回観たい。何度でも観たい。と思ってしまった。

このシーンを抜きにしても、映画『カラオケ行こ!』で齋藤潤くんが見せるお芝居は本当に素晴らしい。変声期という壁にぶつかり、逃げたいと思っていることがわかるセリフ回し、思春期の中学生特有のあまり笑顔を見せない生意気さ、でもどこか神聖な居住まい。狂児との会話のなかで心情に変化が起きたことがわかる表情(このシーン!)

言葉で心情を語らないし、喜怒哀楽が激しいわけではないのに、何を抱えていてどんな変化が彼の内面に起きているかがわかる表現は、上手い!と言わざるを得ない。

こんなに違和感なく岡聡実になれるということは、もしや本人も似たような人間なのではないか。でも、そうではなさそうというのが、いろいろな動画を見て知ることができた。え、潤くんすごいニコニコしてる……。緊張しつつも、楽しそうでかわいいんですが…。

岡聡実の状態だとあんなに影のある雰囲気を出せるのに、本人はめちゃくちゃ陽の気に溢れた子じゃないか。役に入ったら、本人とは別の空気をまとえるということは本当にお芝居が上手いということなんだろう……。

よし、他の出演作を見よう。ということでwikiで検索。確認してみると、意外と見ていたドラマに出演していたことに気づいた。

改めて出演作を確認するなかで印象に残ったのが、『トリリオンゲーム』1話で主人公・ハルの高校生時代を演じる姿。もう一人の主人公・ガクがヤンキーに襲われているところを助け、スッと表情を無くしたあとに笑顔でヤンキーを殴り返すシーンに心を掴まれてしまった。この一瞬の表情の変化には、場の空気を一変させてしまう威力があった。

その後、ガクが防犯カメラのデータを消すのを、ハルが笑顔で見守るシーンに移る。その笑顔が大人になったハルと重なるのだが、顔の造形が違うはずの潤くんの笑顔から目黒蓮くんの笑顔に違和感なく繋がるのだ。どんなに短いシーンだとしてもその役の人間性を理解しているからこそ、大人役の俳優のお芝居とも馴染むのだろう。

『トリリオンゲーム』以外に、『仮想儀礼』や『生理のおじさんとその娘』なども見た。どの作品でも、潤くんが役を通して発する感情が、その場の空気を作りあげていた。空気をガラリと変えるほど強い道標になる表現に、目が離せなくなってしまう。

まだ16歳。これから先いろんな人や作品と出会ってもっと磨かれていくんだろうな。これからが楽しみすぎる。

9日の映画『カラオケ行こ!』の舞台挨拶のチケットがとれた。はじめて潤くんに会える。3月10日からは、Netflixで『正欲』の配信も始まる。また彼を通して、忘れられないシーンに出会えるのを楽しみにしたい。


ドラマ用サブスク代にします!