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ブロンディールの「いけず」な愉しみ方

ブロンディールは「いけず」である。
思ったようにいかない、という意味で。
ブロンディスト(=ブロンディール大好き星人のことを指す)は、そのいけずなブロンディールを愛し、いけずだからこその愉しみを見出し、通い続ける。

では名パティスリーブロンディールのどこがイケズなのか、ご紹介したい。

「いけず」なブロンディール攻略法

1、情報発信をしない

SNS全盛時代において店舗運営戦略マーケティングの一つとして当たり前のように行われている「鮮度ある情報発信」、シェフ自ら行ったりお店のスタッフが積極的に都度情報発信を行っている世の中にあって、情報発信をしない。唯一あるのが、ホームページのインフォメーションページのみという潔さ。
しかし、そのページでさえ情報は必要にして最小限。いや、むしろ情報源としては足りない。
圧倒的に足りない。(決して責めているわけでない、むしろ生温かく見守っている)
内容のおおよそは定休日のお知らせなのだが、月初めに更新されている事は少なく、月半ばあたりに差し掛かり更新されたり、もしくは月の3分の1を過ぎたあたりには諦める事にしている。
と言っても、基本的に定休日は毎週水曜日のみで、余程の突発的な事が起こらない限り安定の水曜日休みなのである意味分かりやすい、他のWebサイトなどから定休日を知りさえすれば困る事はないという結論にしている。
その他には年に数回、季節商品のお知らせが届く(ことがある)。
モンブランセゾニエール(和栗を使用したモンブラン)、ノエル(クリスマスケーキ)、など年に数回、あとは夏のアシェットデセール、など要所要所では発信が行われるのだが、基本的に発信がないものだと思って頂けると気持ちがラクになるという効果がある。

2、新作が出たと思ったらそんなに経たずしてなくなる

パティスリーを訪れるものにとって嬉しいのが「nouveau」のタグがついているガトーに出会うこと、ここでもイケズぶりが発揮されている。ここで油断してはならない。季節の移り変わりによるnouveauと藤原シェフの移り気によるnouveau、これを見極める必要があるのだ。「移り気nouveau」には基本的にはnouveauタグが付いていない。しかしタグが付いていたとしても油断はならない。
例えば、タルトレットオシトロン。初夏〜真夏にかけて食べたくなる、あのキュンとした酸味が爽やかで嬉しい持ち味のガトーである。春が終わりいよいよ一年ぶりの再会と喜んでいたのも束の間、1ヶ月も経たないうちにお別れが来た。(すでに居なくなっていた)
藤原シェフによるイケズなショーケースのメンバー構成により、一喜一憂することはあったとしても決してマイナスには捉えない。何故なら、出逢ったときに食べておく・通い続ける。イケズさえも愉しむという、ブロンディールを嗜む三原則に基づいて行動しているからだ。是非その時々の『出逢い』を大切にして頂きたい。

3、神出鬼没に躍らされてはならない

神出鬼没とは読んでその字の如く、突然現れたと思ったらもう次はいない、という自由気ままな遭遇率の極めて低い菓子との偶然の出逢いのことを指す。
例えばポロネーズ。彼女に会えたならラッキーだ。
そしてもし会えたなら、必ずGETするべき遭遇難易度S級の貴婦人。(ポロネーズとはポーランド風の意味、ポーランド人の肌の白さを表したメレンゲに覆われた古典菓子)
そもそもフランス菓子好きの人間からすれば古典菓子に類するものには目がない。ブロンディールはクラシックに重きを置きつつも、藤原シェフ独自のセンスでオリジナリティを感じる唯一無二の味わい(=美学)を表現している。
こと古典菓子においては、そんな藤原シェフは成り立ちや意味合いを尊重し、これぞフランス菓子という格好良さを魅せてくれる。となれば偶然にもそれに出会った時のトキメキをお分かり頂けるだろうか?興奮してショーケースに食い入るように見てしまうあの興奮を…!
それはつまり、他の人が「神出鬼没に会った!」という情報を目にした時に、動揺を隠せないことを意味する。
居ても立ってもいられなくなり、今すぐにブロンディールに飛んでゆきたい、今だったらまだ間に合うか?いやさすがに無理だろう?そもそも仕事が…という具合である。大人なので、次の休みで行くという常識の中で対応することにはなるのだが、神出鬼没は神出鬼没、自分が訪れた時に居るとは全く限らないである。
いや、むしろほぼ居ない。
情報化社会において、すぐに目に入ってくる情報に決して躍らされてはならない。ブロンディールは日々の暮らしの中でそれぞれのペースに合わせて愉しめばいいのだ。その日その時間に出会えた菓子を愉しむ、どの菓子を選んでもそれぞれに藤原シェフのエッセンスが注がれており、つまりどの菓子も素晴らしくブロンディールしているという事なのだから。
もしポロネーズのような神出鬼没ガトーに会えたらラッキー、くらいのリラックスした心持ちで愉しめば良いのだ。

4、まとめ
 いけずを愉しむ=ブレない姿勢をそのまま受け入れること

今の世の中、何でもかんでも情報が出回り過ぎている。もちろん、便利なことは嬉しい。
ただ、それだけに時に情報に踊らされてはいないだろうか?
ブロンディールの終始一貫したブレない姿勢は、情報発信を最小限に留める事にまで及んでいる。
不便利とはまさにこの事で、でもだからこそ店舗へと足を運び、その日出会うものを愉しむという喜びもある。お店が情報発信しないので、ファンが自然とその役割を果たす流れも最近では見受けられる。
素敵なものはやっぱり共有したい。いけずな出来事も共有したい。
一見、時代に削ぐわないようないけずな姿勢は、世間の流れに左右されずマイペースに、ただおいしいと思える菓子作りへと活きている。

そんな気がしてまた足繁く通ってしまうのである。


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