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Real English! 〜リアル体験から学ぶ英語〜 vol.1

カナダでフリーランスマーケターしてます KEI (@kishikawa1126) です。

北米で大人気のアイスホッケーリーグ、NHL。
わたしの住むトロントにもホームチームである Toronto Maple Leafs があるので、今年も大いに盛り上がっています。

そんなNHLの放送で先週末、人種差別的発言が飛び出し、SNSは大炎上。
挙げ句の果てには、発言者が解任されるという結末にて幕引きになりました。

わたしもリアルタイムで放送を見ていたのですが、英語力の問題でSNSで炎上し始めるまで事の重大さに気付かなかったので(恥ずかしい..)、今回はその部分を英語教材として取り上げたいと思います。

■ まずは事の発端を簡単に

カナダでのホッケー放送を担う Sports.net に20年以上解説者としてお茶の間では知らない人はいないほどの人物、それが Don Cherry 氏です。

↓この写真の左側の人。

毎週奇抜なスーツを来て登場するので、嫌でも覚えます。

で、このDon氏ですが、11月9日(土)の放送で人種差別的発言をし、20年以上ものレポーターとしてのキャリアを失ってしまいました。

まずはこちらのニュースをご覧ください。

簡単に経緯をお話すると、、、

カナダでは、11月11日は「Remembarance Day(戦没者追悼記念日/休戦記念日)」で、第一次世界大戦以降の戦争で亡くなった軍人、退役軍人らを追悼する日です。
第一次世界大戦の停戦協定に署名がされたのが11月11日の午前5時、そして休戦協定がその6時間後の午前11時に発効されたことを受け、11月11日午前11時には、モール内などで1〜2分の黙祷が行われることがあります。

この Remembarance Day のシンボルが「赤いポピー」です。
この時期にカナダに来たことがある方なら見たことがあるんではないでしょうか?

↓こんな感じの胸につけるバッジ(日本の赤い羽根募金のような)

募金額に決まりはありません。
この募金は、退役軍人の経済援助に当てられたり、医療機器や研究等の資金として使われるそうです。

この募金について土曜日の放送でDon氏がこのようにコメントしたんですね。

You people love, that come here -- whatever-- you love our way of life, you love our milk and honey, at least you can pay a couple bucks for a poppy or something like that.
These guys paid for your way of life that you enjoy in Canada, these guys paid the biggest price.

※和訳内容については後述します。

これが発端になり、SNSでは大炎上。
ツイッターでは #FireDonCherry というハッシュタグが大荒れする事態となりました。

そして放送した Sports.net はすぐに公式コメントを展開。

先日のNBAでの対応といい、本当に迅速な対応力はさすがです。

その後、11日(月)には正式にDon氏の解任が決まりました。

■ Don氏の発言の問題とは?

海外在住8年目のわたしですが、まだまだネイティブのもつニュアンスのレベルまでは達していません。

そんなわたしがこのニュースを見て、初見でわかったのはこの2つ。

1)最近ではポピーを付けている人(募金している人)が少ない
2)移民は数ドル(数百円)を募金してポピーを付けるべきだ

確かに的は外していないんですが、わたし自身が永住権をとった「移民」であるにも関わらず、そこまでイラッとしなかったんですね。

「まぁ、税金も払ってるしとやかく言われる筋合いはないとは言え、移民として安心して暮らせているのは感謝しないとだもんね〜」くらいの感覚。

むしろうちの旦那(生粋のカナディアン)が放送中に隣で大激怒。
テレビに向かって「この人種差別者め!!!!」と怒鳴ってました(汗)

なので、ほとぼりが冷めてから旦那に英語のニュアンスを細かく聞いてみたところ、やはり汲みきれていなかった部分がありました。

You people love, that come here -- whatever-- you love our way of life, you love our milk and honey, at least you can pay a couple bucks for a poppy or something like that.
These guys paid for your way of life that you enjoy in Canada, these guys paid the biggest price.

こちらがDon氏の発言です。
注目して欲しいのは太字の部分。

"You people" という表現は、英語ではネガティブなニュアンスで、「自分たち」と「君たち」(なんなら「お前ら」くらいの勢い)と線引きをして差別する意味で使われることが多いそうです。

そして次に、その後の発言の中に「our(我々の)」という単語が繰り返し使われていますよね。

『移民は "俺ら" の国に来て、 "俺ら" の生活を楽しんでいるんだから、移民は募金してポピーを付けるべきだ!』と移民だけを標的に発言しています。

なので、発言の問題は「俺ら白人、カナダ人」と「お前ら、移民」とで差別した上に、移民だけを槍玉に挙げたことです。

"us(我々)" と "them(彼ら)" と区別するこの手法(?)は、アメリカ大統領のトランプ氏もよく使うのですが、「我々はあいつらとは違う」などと比較に使われることが多く、どうしてもネガティブな分断・分裂を生むのです。

■ まとめ|使え方次第でまったく違う結末になる

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今回の論点をまとめます。

▼覚えておきたい英語の使い方
1)"You people" という表現は、英語ではネガティブなニュアンス。
「自分たち」と「君たち」(なんなら「お前ら」くらいの勢い)と線引きをして差別する意味で使われることが多いので使う場面に気をつける。

2)"us(我々)" と "them(彼ら)" と区別することは、「我々はあいつらとは違う」などと比較に使われることが多く、どうしてもネガティブな分断・分裂を生むので、使う場面に気をつける。

第二言語としての英語なので、カナダやオーストラリアでは、ある程度は「間違えもあるよね」とおおらかに受け取ってくれることもあります。

ただ、人によっては言葉の言い回しや表現のニュアンスで相手を怒らせてしまったり、不本意な伝わり方をしてしまうこともあります。

今回わたしは「移民」という立場で侮辱されているのに気付かなかったという逆パターンもありえます。

こういった細かいニュアンスは座学で学ぶには限界があって、日常生活の中で体験を通じてしか学べないことも多いです。

今後も何か気づきがあれば記事にまとめていきたいと思います。

今回の内容がどなたかの「気づき」になれば嬉しいです!

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■ 最後に

こんな感じのオピニオン記事を含め、日々をネタに、トロントからまったりブログを書いていますので、良ければぜひ遊びに来てください。

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