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転職してみて気づいたこと

ライフハック大全という本がある。この本は人生や仕事を変えるちょっとした習慣を紹介した本だ。本書の冒頭にこんな一節がある。

「人生を変えるなら、時間の使い方を極端にする」

僕がこの一節に出会ったのは、ほんの数週間前のことだったけど、無意味と知りつつも過去を眺めて、無為に過ごした5年の歳月を悔やんだりした。

考えてみれば5年というのは膨大な時間だ。新卒で前の会社に入社してからずっと同じ仕事をしてきた。人間関係に不満はなかったし、それなりに良いポジションも貰えた。年を重ねて仕事も効率的になり、社内政治も上手くなり、周りから一目置かれるようになった。

何で転職したのかを聞かれる度に、いろんな御託を並べてみた。結局は刺激と金が欲しかっただけなのに。少なくとも数週間前まではそう思っていた。新しい職場で働いてみて気づいた。欲しかったのはそのどちらでもない。欲しいんじゃなく、何かをつくり、それを誰かにあげたかったんだと。これってめちゃくちゃエゴだけど、それでいいんだ。

今の職場は実力があれば、年齢に関係なく責任のある立場を任される。懐を暖めたければ数字で証明すればいいし、いいアイディアがあるならどんどん発信していって、人を巻き込めばいい。それが事業になり、事業が大きくなれば子会社として独立していく。それぞれ自分の顧客、自分の事業を持っている訳だから、残業なんて概念がそもそも存在しない。好きに帰ればいいし、好きに残ればいい。自分がやったことがそのまま結果として跳ね返ってくるだけだから、そこにかけた時間は関係がない。時間ではなく成果が報酬に反映される。そんな文化を持った会社だからみんな仕事に対するモチベーションが物凄く高い。この環境に身を置いて初めてオーナシップを持つことが出来た気がした。だけど同時に自分がインセンティブで動く人間じゃないことを知った。

同僚はたくさんお金を稼ぐために頑張るのだという。否定するつもりは毛頭ない。何なら僕だってそのつもりで転職してきた訳なんだから。経験則から言うと金は人生において絶対的に必要だ。重要かどうかは別として。今まで考えたことが無かったけれど、どうしてたくさんお金が必要なのだろうか。前職では休日に平日のストレスを発散することが全てだった。金曜日の夜から繰り出して、評価の高いお店で食事をしたり、お酒を飲んでどんちゃん騒ぎをした。女の子にモテたかったから服や小物を買い漁ったりもした。あれはあれで楽しかったけど、人生がストレス発散のためっていうのは何だか虚しい。色んなものを消費し続けている間に全てが終わってしまうのは怖いことだと思った。

今こうやってとりとめのない文章を書いている時間はすごく楽しいし、普段の仕事で誰かの課題に対して自分なりに解決策を提示して数字を作っていくのも楽しい。それがさっき言った、何かをつくり、それを誰かにあげることなのか、まだ確信は持てないけれど。でも、とにかく「人生を変えるなら、時間の使い方を極端にする」って言葉にはっとさせられた。平日と休日なんて概念は無くして、自分のアイディアでどんどん色んなものをつくりたい。つくったものに自分の名前が刻まれている必要はなくて、つくったそのもので受け手の何かがポジティブなものになればいいんだ。それが仕事なのかプライベートなのかも関係ないはず。ストレスを溜めることに時間を使い、それを発散することに時間を使うことはやめようと思った。

平均的な時間の使い方からは平均的なものしか生まれないのだから。



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