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エンジニア教育の心構え

新人教育の副作用

前職では、新人エンジニアが多く在籍する会社にいた。

その数100名以上。

IT未経験者の彼らがエンジニアとして独り立ちするにはどういった教育をすべきか、とか、どういった社内コンテンツを発信するべきか、とか、勉強会をどう形式化するか、とか、そんなことばかりを考えて過ごしていた。

結果は、いまいち。結局のところ、こうすれば彼らの自発的な学びの姿勢を確立できる、と言う方策を生み出すことはできず、大した成果を出すことはできなかった。

会社を辞めるのと前後して、YouTubeを始めた。

15年以上もエンジニアをやっているのだから、社内だけではなく、日本に多くいるであろうITエンジニアを目指す人に対して、何か伝えられることがあると信じて、細々ではあるが、コンテンツ制作を続けている。

対象はエンジニア初級者、新社会人向けとしているのだが、完全注力しない方がいいなと思いつつ作っている。再生数も登録者数も徐々に増えており、何やら申し訳ない限りだが、GoogleやYouTubeで検索した時に「長年やってる人の感覚を聞いてみたい」といった需要にヒットすれば幸いである。


もちろん一つ一つのコンテンツをしっかり仕上げることが大前提だが、クリエイターとしての時間の大半を新人教育だけに向けてしまうと、本当にやりたいことがブレてしまう。

本当にやりたいことが、教育なのであれば話は別だが、私は自身の事業を軌道に乗せることが第一なので、比率を下げなければならない。

なんてことを考えながらも、今日はエンジニア新人教育の考えを整理してみる。

活動のレイヤー合わせる

なまじ15年もエンジニアをやっているとそれなりに高度な技術範囲を担当することになり、立場としても他社のPMや部長クラスとの折衝をしつつチームのマネジメントをすることになる。

所謂プレイングマネージャと呼ばれるスタイルに落ち着き、マネジメント業務と現場での設計構築作業を並行しつつ進捗を出していく、と言う仕事の仕方だ。

広大で複雑、多様なハードウェア、ミドルウェアを含むシステム構成の中で、インフラエンジニアとして障害解析などを行うことも多々あった。会社在籍時の終盤は、火消し役として立ち回ることがほとんどで、何かトラブルがあれば対策に勤しむ日々だった。

あまりそれが嫌いというわけでもなく、問題を解決させることが性に合っているので、それはそれで充実していたし、かなりの経験値を得たので満足している。

ただ、自社を振り返ってみると、新人たち100名が待ち構えており、彼らの多くは、「どうやって勉強したらいいかわからない」とか、「やりたいことが見つからない」とか一歩踏み出したものの、広大な草原の中で進む方角が定まらないといった様子だ。

一人一人、膝を突き合わせて、彼らの原体験をヒアリングし、進むべき方向性を、納得させるという行為はかなりしんどいもの。

自身の普段の仕事とのギャップが大きすぎて、切り替えが難しいと感じていた。

新人がレイヤー1層目にいるとして、自分は5層目ぐらいにいるので、積み重ねた2〜5層をめくって、1層目の人に挨拶をしなければならないところからになる。

教育とは目線を合わせることが重要だ。1層目に自分も降り立ち、同じ気持ちで、同じようにわからないことに共感し、過去を思い出し、接しないことには信頼関係は生まれない。

上から目線の人に教わっても、内容が入ってこない。

活動の軸を合わせる

尚且つ、彼らは同様の相談を非エンジニアにもしてしまっているので、想像で回答されて混乱していることがほとんどだ。

彼らにしてみれば、活動の軸が違う、例えばセールスの人間に相談したところで、どういった技術習得の道があるかそこからイメージすることは困難だ。多くの場合、抽象的な表現に終始するので、目的が明確化されない。

活動の軸が違う人からのアドバイスは概ね以下の通りだ。

・資格を取ろう
・毎日勉強しよう
・現場で経験を積もう

大抵このような内容だ。

結局その先に何があるのか、なぜそれが最適解なのか、自分の中のエンジニアになりたいという情熱がそれを心から受け入れるのか、納得することはない。

その証拠に、それを始めたところで途中で挫折するものがほとんどだったからだ。

活動の軸が合っていないと、目標が定まらない。

重要なのは目的ではなく目標だ。

目的という抽象的なものは、企業に入社した時点で既に持っているので、横槍を入れる必要はない。目標という具体的に実現可能なタスクを納得ある粒度で提供できるかどうかは、同じ「エンジニア」という軸で働いている者だけだ。

抽象でなく、具体で会話ができる存在。そういった者との会話を重要にして欲しい。

そんな中で、自分が信じた行いを、ただ、真っ直ぐ突き進んで欲しい。20代はそれができる年代だし、思考の深みは行動からしか生まれない。

そんな彼らに提供したいコンテンツは、同じ軸で活動していた身をもって、同じレイヤーに目線を合わせた内容であるべきと思い、この発信を続けたいと思う。

まとめ

新人教育は・・・

・活動のレイヤーを合わせて教える
・活動の軸をあった人物が教える



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