俳優 松重豊さんとは知らずに手に取って購入。

ドラマやCMでよく見るけれど、人となりを存じ上げなかったので、先入観なく読むことができた。

前半は小説で、後半がエッセイという珍しい構成。

小説では、京都で出会った老人との会話をきっかけに、とある役者がその後の仕事で何をしているか分からなくなると言う不思議なストーリー。結末が気になるショートショートを連作とした、テンポのよい物語。

後半のエッセイでは、第一線で活躍されていた役者の背景を知れて面白い。俳優業は生活の上で縁がない世界で、煌びやかな想像をしていたが、その実にぜひ触れてみていただきたい。

松重さんによる、人の良い字体で語られる役者と言うものの概念が不思議とイメージが立つ作品。

本作が処女作とのことで、続編の執筆にも期待。是非読んでみたい。