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普通じゃない人生だからこそ、他人と違う楽しみ方ができる


幼い頃に家庭の不和でお母さんが家出をして、その後を追うように兄弟たちも立て続けに家を出ていって、暴力的で無愛想な父親と二人で暮らすようになった女の子。
その後いろいろあってお父さんも出ていって、辺鄙な湿地地帯にある家に一人きりで生活するようになった女の子。
町中からも外れた湿地帯に住むその子は、普通じゃないと忌み嫌われて、誰からも相手にされなかった女の子。
それでも捨てる神あれば拾う神ありで、女の子のことを気にかけながら成長を見守ってくれた数人の大人たち。

みんなと違うところに住んでいるからということで普通じゃないと言われ、みんなと普通に暮らしてないから異端者として好奇の目で見られる。
周りと違うということで同じ人間として見られず、何か事件があったら丁度いいスケープゴートにされ、罪をなすりつけられる。
ただ住んでいる場所が変わっているだけで、中身は他の人と変わらないのに、「違う」というだけでのけ者にされ、一人孤独にひっそりと生きていく女の子。
そんなことならいっそ誰にも見つからず、一人でひっそりと暮らしていった方が幸せだったかもしれない。
彼女に寄り添う人がいなくても、彼女には湿地帯の動植物という自然が、彼女のパートナーとなっていたのだから。
でもやはり、異性との出会いはいずれ起こりうるべきイベントで、誰の人生にも一回以上は訪れるものなのだろう。

人との出会いは自分の世界を広げてくれる。
良い出会いは人生の可能性が開き、悪い出会いは自分を窮地に立たせる。
この物語は危険な雰囲気の漂う男性との出会いが、彼女を裁判の場へと引きずり込むことになったのだけど。
彼女はずっと一人で過ごしてきたからこそ、異性との出会いで今まで注がれてこなかった愛情を求めようとするのは自然なことだろうと思う。
些細な約束事だって、好きな人とのイベントは人生の華を添える。
でもその約束が反故にされたことによって、人との別れ・寂しさを思い出してしまい、誰でもいいから愛情を注いでくれる人なら、と期待してしまったんじゃなかろうか。

将来のイメージを語り合った相手を信じていたのに裏切られるという展開は誰にでも起こりうるし、変な話だいたい起こりうる。
嘘をついて付き合っていたとか、本命が他にもいたとか。
そんなことが起こったら誰でも心が痛むし怒りだって湧き起こる。
親がいて、友達がいて、一般的な家庭に育った人たちでさえ嘆き悲しむのに、親も友達もいない彼女の心情はどれほど傷ついたか、多分普通よりも桁外れだったんじゃないだろうか。
そんなところを鑑みるに、心を許した相手に裏切られたら、事故死に見せかけて殺そうとするのもあり得なくはないだろうと思う。
というかやってもおかしくない。
もしかしたらやってそうな雰囲気も出てたけど、まあその気持ちはわかる、と納得する。

人に裏切られたりうまく行かないことがいろいろあったけれど、それでも早いうちに人生の最良のパートナーと結ばれることができ、好きなことを探求し続けて幸せな人生を全うできたようだし、子供時代に辛苦を舐め続けてきたからこそ、人生の後半でマイナスを取り戻せたんだろうなとも思う。
やっぱり人生はマイナス続きじゃなくて、いつかはプラスに転ずるものなんだろう。
逆もしかりかもしれないが、そう考えるとじっと耐える時期が続いていたとしても、いつかは絶対に挽回すると信じていたい。
ついでに真実の愛にもめぐり逢いたい。


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