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リストラーズ 「涙のリクエスト」は語る

まるでお祭りのような週末が明けて、新年度が始まった。
 
新しい学校、新しい職場、それぞれが不安と期待を胸に電車に揺られている。
異動や転職で新規一転のベテラン組も新しいスタートを迎える。
 
早朝、改めて旧東工大で撮影された「涙のリクエスト」を見ていた。
楽しそうに、全力で歌い踊るリストラーズ。
幾度も重ねられたであろう撮影が想像できる、構内のさまざまな場所。
いつも以上に凝った編集にメンバーの思い入れが詰まっている。


 
この場所で、どんな会話があったのだろう。
当時も、またこの撮影の時も。

プレミア公開をリアタイで見ていたお祭り気分とは違って、自分でも不思議なくらい締め付けられるような思いが募る。
 
動画を見ながら いつしか母校の小学校が統合され、建物さえも残らないという経験を思い出していた。
 
当時、取り返しのつかない焦燥感に駆られ、自らクラス会を開こうと思い立った。
幹事を引き受け、クラスメイトや組ちがいの同級生に連絡を取った。就職や結婚、引っ越しで連絡先が分からなくなっている旧友たちを訪ね探し回った。
 
当日、すっかり大人になった懐かしい顔と一緒に、校内のあらゆる場所を
見学して回り思い出を噛みしめる。
 
教室に入って、今では小さく感じる堅い木の椅子に腰かけ、「日直」と書かれた文字を見つめていた。
○○先生と小さく声を出して、質問もないのに「ハイ!」と手をあげてみた。
 
音楽室のモーツァルトやベートーベンの絵、置かれたグランドピアノ。
こわいと感じていた理科室の模型。
長い廊下の木の匂い。
給食室にふんわり残るパンの香り。
数えきれないほど通った図書室にこもる本の匂い。
ひとりでは入るなと言われていた地下室。
緊張する手で開けた職員室の扉。
当時は入ったことすらない校長室には歴代校長の写真が掲げられていた。
 
4階の窓から見下ろす小さな運動場。
何度も駆けあがり、踏み外す心配すらせずに駆け下りた階段。
既にからっぽのウサギ小屋とニワトリ小屋。
花壇の隣に設置した卒業記念の日時計。
埋めていたタイムカプセルもみんなで開けた。
 
あらゆるものに、旧友たちの笑顔と不安顔とケンカの声と、先生たちの声が甦る。
 
東工大の建物は残り、違う名で引き継がれるにせよ、似た思いが撮影された場所にきっとあるのだろう。
 
明るく歌い踊るリストラーズメンバーの心の内に重ねて、切なく感じてしまうことは、もしかすると申し訳ないのかもしれない。
 
けれど変わりゆく母校での歌声には、学問に打ち込んだ年月、もしかしたら失くした恋、悩んだ進路、なによりもリストラーズ誕生を巡っての掛けがえのない思い出が詰まっている。
どの動画より深い愛情を感じる貴重な動画なのだ。
 
ここでの撮影を許可された寛大な大学、またそのために奔走されたであろうメンバー達、撮影やミキシングなどおもてには出てらっしゃらない方たちにも改めて感謝したい。
 
大切な大切な思い出を私たちにも共有してくださったことに。
本当にありがとうございました。


<  こんなことを実現できる かっこいいリストラーズが大好きです  >

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