いい勉強方法などない

 私はもう教育者では無いので、正直に言います。

 「いい勉強方法ありますか?」

とか、

 「どの参考書がいいですか?」

とかよく聞かれます。

 私は、自分でも人よりは勉強してきた方だと思うのですが、はっきり言って未だに勉強方法のスタイルは確立してません。だから、人にお勧めできる勉強方法など、本当は無いです。

●大事なのは取り組むこと

 当然ですが、勉強は

しないとできるようにならない

です。スポーツの練習と同じなんです。

 もともとの身体能力の差とか、育った環境とかの影響は、当然あるでしょう。

 でも、

どんなに身体能力が高くても

どんなに環境が良くても

練習しない人が練習した人にかなう事は無いです。

 それと同じなんです。だから、まずやることです。

 そういう意味で、あえて「いい勉強法」があるとすれば、

「自分が一番取り組みやすいやり方」

が一番いいでしょう。でもそれは、人それぞれです。

●結局どう時間を確保するかの問題

 それで、勉強に悩んでいる人に一番聞かれるのが

「どうやって勉強したか」

なんですが、結局それを聞いてくる人が本当に聞きたいことは、

「どれくらいの時間を勉強に費やし方」

ではないかと思います。それで、多分

「その時間だけ勉強すればいい」

というのを知って安心したいんだと思います。

 だから、例えば資格試験の勉強について聞かれる時は、私は

「仕事と寝てる時間以外は、全部勉強をしてました」

と言っています。本当です。資格に受かるまでは、余計な事は一切考えず、飯の時間もトイレの時間も、どこでも本を開いてました。

 どれだけ勉強すればいいかというのは、はっきり言って、それまでの積み重ねてきた知識や経験で全く違います。それによっては、もしかしたらほとんど勉強する必要が無いかもしれませんし、逆に合格者の平均の2, 3倍はやる必要があるかもしれません。

 勉強する必要のある項目や内容によっても、必要となる時間は全然違います。だから、時間を目安にするというのは、私はナンセンスだと思います。

 だって、例えばゲームがうまい人は、時間など気にせず、ずっとだってやっているし、ギターがうまい人も練習を続けていられるでしょう。サッカーなどのスポーツは、さすがに疲れるから休む必要はあるでしょうけど、でも回復したらまた練習したくなるでしょう。

 勉強も同じなんです。好きならなおいいですが、「やらなきゃ」っていう焦りでも、動機は何でもいいです。

 とにかく時間は取れるだけ取って、やれるときにやる。これが勉強時間の取り方です。

●どうやって集中するか

 これも人それぞれです。

 仕事でもそうですが、

ルーティンワークを正確にこなすのが得意な人

失敗もするけど新しい事をどんどん進めていく人

それぞれです。そして、それぞれのやり方で成果を出しています。

 勉強も同じです。

 一度習ったことを、できるようになるまで繰り返し続けられる人

もいれば、

 覚える事は後回しで、新しい事をどんどん自分で学習していきたい人

それぞれいます。

ただ、こと資格対策のように、勉強しなければならないことが決まっているものに関しては、両方のスタイルを使いこなせるようにした方がいいですね。

 同じ事を勉強していて、飽きたら新しい事を学習してみる

インプットできる知識が限界だと思ったら、戻って繰り返してみる

という塩梅です。

 とにかく、集中を切らして空白の時間を作らないようにしていました。

●サンクコストバイアスを逆に利用する

 でも、勉強のアドバイスを人に求める気持ちはわかるんです。多分、取り組む切っ掛けが欲しいんですね。

 だから、取り合えず私はお勧めの本と、何から始めるべきかを伝えます。

「せっかくお勧めしてくれたから」

という理由で、始めてくれる切っ掛けにしてくれればいいと考えているからです。本当は、何でもいいと考えています。

 本も、とにかく「何か買う事」が重要です。できれば自分で買った方がいいです。理由は、

「せっかく買ったのにもったいない」

というのが、続ける理由になるからです。

 言ってみれば、

「サンクコストバイアス」を逆に利用する

という事です。サンクコストバイアスとは、最近認識が広がってきた、行動経済学の用語です。

 特に日本では、「もったいないお化け」というのがあるように、

「せっかくこれだけお金をかけたから」

とか

「せっかくここまでがんばったから」

という理由で、結果的に損になることを続けるという不合理な判断をしがちだと言われています。

 しかし、勉強に関してはそれを逆手にとって、

「せっかく始めたから続けよう」

にする手があると思います。何故なら

勉強はまず続けないと効果が出ない

からです。

●でも一生は短い

 でも、もっと大事な大前提があります。それは、

「それが本当に自分の目的のためになることなのか」

を問うた上でという事です。

 私は、別に

「人生には必ず目的が無ければならない」

とは思っていません。究極的には、動物としての目的は、種をできるだけ存続させることです。その中で、人々の生き方が多様であればあるほど、その可能性は高くなるからです。

 しかし、そもそも人間として生まれて、

「勉強をしよう」

と思ったという事は、

何かかなえたい目的や解決したい問題を見つけてしまい、それに向かって自分を高めていきたい

からだと思います。

 しかし、人生という限られた時間の中では、学べる量は限られています。だったら、学んでいる事が、目的に沿うものかどうかというのは大事になるでしょう。

 そこはやはり、サンクコストバイアスを意識して、学ぶことの取捨選択も大事になると思います。

 そもそも、人はやりたくない事には集中できません。私も、いくつか取ろうと考えた資格はありましたが、その勉強が自分の目的を果たせるかどうかわからないと、とにかく集中できないのです。

 それだったら、自分のストレングスを高めていく方向で、学んでいく方がいいと思いました。


 でも結局、何を学ぶべきか、どう学ぶべきか、いい勉強法はあるかという問いに、ベストな回答などありえない。それが私の結論です。

 これから私がもし、本当の意味で人に何かを教えることが出来たとしたら、

「夢を見せてあげる事」

だけかなと思います。

 これから新たに、学びを始めとしている人の参考になれば幸いです。

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