(創作物語) 『明日への貴方へ』 その1

 時は、紀元前1500万年前。とある惑星に一人の女性が住んでいた。名をナディアという。彼女は生まれつき体が不自由であったが、最先端の技術で体のほとんどを機械化して脳のみが人間の状態であった。

 両親は彼女が産まれた時、瀕死であったので、急いで機械に脳移植を施すことで一命をとりとめた。

 彼女は幼いながらも、自らの体に違和感を感じた。周りの人間たちは歳を経て老いていくのに自分だけは変わらないことに悔しささえも感じるようになっていった。

 そして時は流れること、200年。ある一人の男児が生まれる。名を〇〇という。この男児もまた、ナディアと同じく脳以外は全く機能しない瀕死の状態で生まれてくる。彼の両親もまた脳を機械に移植した。しかしこの時設備の停電が起こり、不完全な移植となってしまった。アムルの機械への脳移植は不完全なままとなり、両親は絶望する。

 やがて、200年が経過し、古びた設備の中に、〇〇の不完全な機械は横たわっていた。

 とある日、ナディアがこの古びた施設に肝試しと題して、友達と遊びに行った。

 そこで、ナディアは奇妙な物を見つける。

 そこには、人とも機械とも似つかない奇妙なものが座っていた。

 ナディアは、何故かそれがとても気になって仕方なかった。友達に早めに分かれを告げて再びこの古びた施設へと行き、奇妙なものに話しかける。

 ナディア「ねえ、あなたは誰?」

 奇妙なもの「あなたこそ誰?」

 ナディア「私は、ナディア。見ての通り、機械人間よ。」

 奇妙なものは、一瞬ビックリしたような顔をしたが、やがて口を開く。

 奇妙なもの「僕は生まれてから全く記憶が無いんだ。ただ両親の顔を少しだけ覚えている気がするんだ。」

その男児は近くにあったホコリまみれの紙と鉛筆で両親の似顔絵を書き出した。

 ナディア「すごく上手じゃない!ところで、あなたの名前は?」

 奇妙なもの「覚えていないんだ、、、」

 ナディア「困ったわね。じゃあ、ルシードって名はどうかしら?」

 奇妙なもの「じゃあ、そう呼んで」

 ナディア「ルシード。これからよろしくね」

 ルシード「うん。名前つけてくれてありがとう」

 こうして、機械人間のナディアと、正体不明のルシードの奇妙な冒険が幕を開ける。

 ルシードの両親を捜すという旅に。

 

 登場人物

 ナディア:体は機械、脳は人間のアンドロイド。

 ルシード:正体不明

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