一瞬、願ってしまいました。

ぼんやりと見えた、
そのシルエットは
まるでピントが合うようにしだいに鮮明になり
わたしは目をよく凝らした。

子供だった。
小さい小さい子供が
黄色い点字ブロックのうえで
赤い血を流して。

赤と黄。

その子の父親だろう。
叫んでいる。

駆けつけたいのに足が出ない。
ぬくぬくとしたその毛布の中で
わたしはもがいた。

現実だ、あ夢か。

今日もまた一日が始まる。
朝イチの便座に座りながら
夢占い、人が死ぬ、検索。

いいことらしい。
幸運が訪れる証拠らしい。
仕事運と金運らしい。
他人が死ぬ夢は。

そんなことがあっていいものか。
他人の小さな小さな子供を犠牲にして
わたしの幸運などあっていいものか。

なんていう嘆きを心で叫びながら
目を細めた。

電車の窓から入る朝日は
黄色い光芒としてわたしに降り注ぎ
わたしの皮膚を赤らめた。

眩しすぎるって。
赤と黄。

夢も今も、
皆に(私に)幸あれ。

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