とてもとても忙しい夜勤明けの朝があった。
明けは私と後輩の二人。

なんとか夜は越えたけど、
朝になってもやるべきことが終わりきらず
少し早く出勤してくれていた、日勤の先輩たちにも協力を仰いでいた。

その忙しい渦中、人数が必要かつ迅速にしなければいけない処置をしていた時
ふと先程までいた後輩の姿がなかった。
呼び寄せる間もなかったので、少ない人数で急いでその処置を終え、ナースステーションに戻ると

「優先度の高いものから終わらせてあとでやろう」と思っていた私の担当の業務を　
きっと良かれと思って、後輩はやってくれていた。

それは後輩から、私に対する思いやりだったんだろう。
マルチェさん終わってない！やらなきゃ！って思ったのかな。
でも、タイミングは今じゃなかった。
人数が必要な処置の途中で行うことではなかった。
さらに、後輩は自分のやるべき、なかなか優先度の高い仕事が終わっていない状況だった。

私は、「もうそれはいいから、今じゃなくていいからさ、自分のやることに戻って」と後輩に伝えた。

そのあと諸々のことを終え、後輩の方が先に仕事が終わったので帰宅を促し、私も少し遅れて職場を出た。

そのあと、家に帰って少し寝て、自分の態度を省みた。

キツかったと思う、あのときの私の言い方。
後輩がやるべきことが終わっていない焦りと、
自分の思い描いていたかたちで夜勤を終えられなかったこと、
あと日勤の先輩の手前っていうことと…
そういうことがぐちゃぐちゃになって
嫌な態度をとってしまったんだろうな。

余裕がなくなったとき、イライラして弱いものに当たる…
えっ、これモラハラの典型じゃないか…と、めちゃくちゃ落ち込んでしまった。

後輩からしたら、なんでわたしの態度が変わったのかわからなかっただろう。だって私の仕事を代わった、いいことをしたと思っているし。
地雷、どこにあんの？と思っているかもしれない。

ここで大事なのは、
わたしが後輩からどう見られてるかってことじゃなくて
なにかあったときに相談してもらえる信頼関係なのかっていうことなんだよな。

忙しくて余裕がなくなって語気が荒くなる人に
迷ったことを相談できなかった経験も、
前向きに声かけてくれる人に
なんでも聞けた経験も持つ自分は、
どちらになりたいのかちゃんと考えて、行動しなきゃいけないから。

今回の経験は次に活かすとして、
また後輩と会ったとき、何食わぬ顔して笑顔で働けば、それで終わるんだと思う。
でも、終わらせちゃいけないなと思った。

後輩がわたしのことを「地雷がどこにあるかわからない先輩」と思ったままでいると
何かあった時に相談できる関係性にはなれず、
お互い働きづらい環境になってしまう。
その関係性は必ず患者さんに伝わる。
今回のことがそこまで大きく響くとは思わないけど、
それほど深くない人間関係で一度できた綻びは
どんどん大きくなっていくのを
これまでの体験から知っている。

そしてなにより、間違ったことをしたり、傷つけてしまったら、謝れるひとでなくちゃいけない。
何事においても。
そういう人になれるチャンスを逃したくない！と思った。

もしかしたらわたしの態度とか語気なんて何にも気づいてなくて、全然気にしてないかもしれないんだけど。

それでも、「あなたのことを考えている」という思いが、暑苦しすぎない範囲で伝わればいいなと思った。

次に勤務が被る日、心臓がドキドキしていた。
後ろめたい気持ち、やっぱり無かったことにしちゃおうかなという気持ちを抱えながら出勤した。

わたしに余裕がなくて、あなたへの感謝を伝えられなかったこと。
こういう優先順位を取った方が、あのときは患者さんの安全が守られたのではないかということ。
諸々を、なるべくさっぱりと伝えた。

わたしの態度については、後輩は「全然気にしてませんでした」と笑顔で言ってくれた。フィードバックもしっかり受け入れてくれた。

その日の勤務でちょっとした困りごとがあった時、
後輩は真っ先に相談に来てくれた。

彼女がわたしを受け入れてくれたことを、すごく嬉しく思った。

人見知りでプライドが激高い私にとって、
ひととの関係性の構築には勇気が不可欠だ。
そういうことを結構すっ飛ばしてひとりで頑張ることばかり注力してきたわたしだけど、
ワンマンでは絶対にできない、チームでしか動けない仕事をしているのだから
働きやすい関係性を発信できる人になりたいなと思う。

本当にちょっとしたことなんだけど、
この一連のことですごく学びが多かった。

自分のダサい行動を論理的に振り返り
ダサかったと認めること。
口に出して謝ること。
勇気を出すこと。

こういうことがサラッとできる人からしたら
こんなことで大袈裟って思われるかもしれないんだけど、

わたしの心の中の
高橋優とか星野源とか
オードリー若林とか大豆田とわ子とか
あとは友達のあの子とかあの子とかに
この話をしたら
勇気出したね頑張ったねって
きっとめちゃくちゃ褒めてくれるだろうな〜と思う。
心の中にたくさん味方がいるから、今回の勇気が出せたのだろうなと思う。

間違いを認めて謝れる大人になるチャンス、これからも掴んでいきたいな〜。

今日の一曲
あの太陽が、この世界を照らし続けるように。／コブクロ