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棚の中身をひっくり返していく(比喩)

私は実家の棚の中身をすべてひっくり返して、壁に投げつけ、泣き叫んでいた。

そうすることが悪いことだとはわかっているけど自分で自分を止めることができなかった。

お母さん、お父さん、ごめんなさい、早く帰ってきて、と身体を丸めて床に向かって叫ぶ。
それを繰り返す。

いつまでたっても両親は家に帰ってこない。
寂しくてたまらないから早く帰ってきてほしいのに、この家の有様を見たら二人がどれほど悲しむのかということを想像するとまた涙がとまらなくなる。


っていう夢を見た。あまりにも最悪すぎない?

地獄の目覚め。心臓がバクバクしてなんか涙が出てきた。


なんか、私が見る夢って感じだな、と思った。かなりリアルだった。
夢に出てくる自分が別人のように思える時も多いけど、今回はかなり自分だった。手に取るようにその時の自分の気持ちがわかった。

目が覚めて、寝る前にちゃんと片づけた自分の部屋だったとき本当に安心して、そのあと一番に思ったのは「あの有様の部屋を見せて両親を悲しませなくてよかった」ということだった。

情緒不安定どころの騒ぎじゃない明らかに変になっちゃった夢の中の「自分」のことよりも、両親がどう思うかをいちばんに考えてしまった。私は。怖。


私にはずっとそういうところがある。自分がどういう人間であるかという本質よりも、周りの人がどう思うかという外側を、ずっとずっと気にしている。


ちなみに私は、実家の棚をひっくり返したことはない。そのような、目に見える家庭内の不和に通じるような行動をとったことは、記憶にはない。(覚えていないだけであったらごめんな、両親)

「ひっくり返さなければやっていられない」という自分がそこにいたとしても、私はできないと思う。ていうか、できずに今まで来た。
それでも、自分の中には「ひっくり返さなければばやっていられない」という想いがあるのだと思う。だから今回の夢に、ちょっと心当たりがあった。
その想いは、一体にどこにいってしまってたんだろう。

もしかしてそれがたまってたまって、いつか今日見た夢のように爆発してしまう日が訪れるのではないだろうか。怖い。今の私はそれが怖いと思う。
両親の中にある、築いてきた私が崩れることが怖い。

...そもそも「築いてきた私」とは一体なんなんだろうか。
私という存在はとても流動的で、成長もするし、落ち込んだり明るくなったり、常に変化し続けている。私という存在は、築いてるんじゃなくて、変化していると言った方がしっくりくる。



親の顔色を窺っているとかではなく、シンプルに一人の人間として両親には幸せでいてほしいといつも思っている。
親ということを抜きにしても、結構気が合って、リスペクトを持って接することができる大人だなと思っている。そしてわたしのことをとても好きでいてくれる2人。
悲しむことが少なくあってほしいなと思う。

両親が私の幸せを心から願ってくれているから、わたしも自分を大切にしようと思える。だから乗り越えられたことがたくさんある。絶対にある。

それでも、わたしの幸せが両親の幸せに直結していると思うほど、わたしの正解ではなく両親の正解を探してしまう自分が確かにいるんだ。

例えば、恋愛をする相手。
28歳のわたしがめっちゃこれ書くの憚られるし情けなくて情けなくてたまらないんだけど、言葉にしないと始まらないと思うからここに書く。

奥の奥のずっと無意識のところで、親がどう思うかを考えてしまう私がいる。確かにいる。ああ、情けない。

どうして親を通した目線で相手を見てしまうんだろう。「親との相性」なんて私はくそくらえだと思う。

私と両親の間に介在する愛は、誰にも犯す権利はない。それと同じように、私と相手に介在する愛を犯す権利は誰にもない。

「良し、悪し」ではない。ただそこにいる。それだけ。
誰にもそれをジャッジメントする権利はないんだ。
だから、自分の目で、自分の心で感じる。人を頼るな。お前の人生だ。お前の話をしてるんだよ。



いい加減思い上がりをやめよう。
私は私のためにしか生きることができなくて、誰かを幸せにすることなんてそもそもできない人間なんだよ。
自分に期待しすぎている。私だけが私に期待しているんだよ、ずっと。

私は両親を幸せにすることはできない。
できなくていい。違う人間なんだから。
自分のことは、自分でしか満たせない。 

親が幸せだと嬉しいけど、それが私の幸せというわけじゃないように、私が幸せであればそれが親の全てかと言うと、絶対にそんなことはない。

だから、私は、時には私のために棚をひっくり返さないといけない。
ひっくり返していい。自分を守るとか、やりたいことをやるために、それが必要な手立てなんだったら、やらなければならない。

あと多分だけど、もし私が棚をひっくり返しても
私の両親は咎めたり怒鳴りつけたりする前に
「どうしてひっくり返したの?」と聞いてくれると思うんだよな。運が良いことに。
そしてそれが必要な作業だったら、「ひっくり返して良かったと思うよ」と、きっと言ってくれるんだよな。

なにを背負って私は私を演じようとしてるんだろうな!


夢の話でここまで広げてしまった。
「カルテット」で家森さんが「人の夢の話聞いてもへえとしか思わない。へえからは何も生まれない」と言っていたのにな。マナー違反すみません。
しかし、何かの暗示だったのかな。
忘れたくても忘れられそうにないくらい生々しい夢の中のあの感情を、もうちょっと転がしてみようと思う。

自分本意で生きることしかできないし、
その責任を取ることができるのも自分だけ。
そこをもうちょっと、もうちょっと面白がっていきたいと思うよ。



今日の一曲

おとなの掟/Donuts Hole

https://music.apple.com/jp/album/%E3%81%8A%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%AE%E6%8E%9F/1536023860?i=1536023862

真っ新な子供時代 
教科書を暗記してれば
正解不正解どちらかを
選べると思ってた

ト書き通りに生きている自分
アドリブには慣れていない癖
云いたいこと溢れ出し姦しい
君の前だけだけれど


◎追記◎

後日談です。

https://note.com/ka6925/n/n5e79f544bf0b

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