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散文 (或いは、詩のようなもの)

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散文、或いは、詩のようなものです
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幼子(おさなご)の日々

幼子(おさなご)の日々

あの頃の僕は、といえば
土曜日の学校から帰ってきたら
お昼ご飯を食べるやいなや
一目散に遊びに出掛けたっけ

日の沈むスピードに追い越されないように
何度も坂を駆け上っては自転車で降る
ブレーキを掛けて負けだと言われないよう
気づかれないようレバーを握った

夕飯の後にはいつものクイズ番組の
人形が回答席の横で吸い込まれている
分厚いブラウン管の箱の中の
世界の謎にドキドキしていた僕がいた

ドキ

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街を歩く

街を歩く

街を歩く

ただ、歩く
というのも悪くはないが
寂れた街を眺め歩くのが好きだ

都会の賑わいに溺れながら
歩くのも良い
それ以上に好きなのが田舎を歩くこと

街を歩いていると
閉店した店を見かけることがある
割れた看板やサインが残っている

そんな店先を見ると
少しばかり目を閉じて
開店した当時に想像を飛ばす

きっと、昭和の高度成長期に
オープンした店なのだろう
看板のサインの文字が懐かしい

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dial-up lover

いつも繋がっているわけでもなく
繋がろと思ったときには混雑で
深夜にやっと繋がった
そう思えばあっという間に朝になる

いつも、そこにあるわけでもなく
いつも、繋がれるわけもなく
いつか、繋がれなくなる日がくる
いつか、それさえ忘れられる

モジュラジャックに繋がった
黒い線をゆっくりと音も立てずに
抜いたのだろうか
もう繋がることもないのか

海の月

海の月

重力と無重力の間で揺蕩う
海月のような心で

誰かさんと追いかけっこ
人差し指が触れそうになる度に

また離れる
何故だろうと思いながら空を見上げる

空にはいつの間にか月
どっちつかずの海月のようにこちらを見ていた

fallling, falling

季節が変わる
夏から秋へ

それとも、落ちる?
夏から秋へ

秋という季節が好き
雨の降る音が好き

静かに動く季節
音も立てずに

いいことがあっても
わるいことがあっても

あきばてぃっく

見慣れているカラフルな街
モノクロームな街並みも良い

クラシカルな視点で
サイケデリックに微笑んで

やさしい、とまり木

やさしい、とまり木



ダルウィニー、15年
普段は
タラモアデュー なのだけど

昨日は特別だったので
最後にダルウィニー
ストレートで

いつものバー
いつものマスター
何も変わらない

話し声とシェイカの音と
ここでこうしてグラスを傾けることは
もう、ないのだ

店が移転する
閉店ではないから
マスターの作るカクテルも

また飲めるのだ
けれど、きっと
時間がかかるだろう

新しい店に慣

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都会の雨

都会の雨

駅を出たら感じた冷たさ
加速する水滴が弾け生まれる
より小さな水滴の群れ

アスファルトを色濃く染め
黒いタイヤが弾く水溜り
四方に散らばる白い水滴

見上げる空の高さ
ビルの高さを越える空
思わず、窒息しかけて

思わず、深呼吸
酸素を取り込む
心のの深い深い場所へ

そして、吐き出す
二酸化炭素が当たる掌
そこに感じる微小な温もり

Escalation

Escalation



そうだよ
そんな時期だよね
街が静かにドレスアップ

眩しいね
キラキラ、ヒカル
illumination

ねぇ、これは
夜空の星を真似したものだよ、と
そういうと

きみは不思議そうな
顔を浮かべて
空にはこんなに星があるもの?

なんていうから、ぼくは
数え切れない星が浮かんでいるよ、と
マフラーの上の小さな耳に囁いたのです

ほんとうに?
と、呟きながらきみは
そっと夜

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magical, logical, poetical.

「ねぇ、ママ?」
「どうしたの、目が覚めた?」

「あのね。体がね。ふわぁーっ!てなって。それでね、ぶぉーーんっ!てなってね。お空を飛んでた」

「それは、きっと、小人さんの魔法だね」
「こびとさんの、まほう?」

「時々、私たちの世界に顔をだして、
ちょこちょこイタズラしていくの。
でも、悪い人ではないんだよ」

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「先輩、ここにあったわたしのチョコ、

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is this trick?

is this trick?

魔法は、あるの?
これは、トリック?
秋の夜長にみたいマボロシ

あぁ、かぼちゃのお化けと
そぅ、黒い魔女が猫を連れてね
青い夜を歩いていくの

is this magic?
is this trick?
or fantasy?

ねぇ、蝋燭に火を灯しましょうか
見惚れているとあなたも魔法で
猫にしちゃうよ

月の魔法に
かかりたいの
どうせ魔法にかかるのならば

そう、三

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