壁山ゆかこ

(22)ショート小説、詩、自論など 「やりたいことはできるだけやりたい」 文体が統一さ…

壁山ゆかこ

(22)ショート小説、詩、自論など 「やりたいことはできるだけやりたい」 文体が統一されていないのは許してください

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【小説】お前に花は似合わねぇ!

久々に親友宅で飲んだ。互いに酔ってきた頃だったか、親友は爆弾を落とした。 「結婚しようと思うんだ。」 氷は溶けた、グラスは濡れている。リビングに飾られたドライフラワーがちょっとだけ湿り気を帯びているような気がした。 親友が結婚すると言ったら、人は「おめでとう」と祝福するだろう。だから僕は、おめでとうと言った。酒に酔って気持ち悪そうに眠る親友には聞こえていないだろう。 親友からは、よく彼女との惚気話を聞かされていた。初デート場所は、カフェ併設の花屋らしい。花屋を営んでいる僕に

    • 川端康成 「少年」を読んだ記録

      ※このnoteには川端康成の「少年」のネタバレが含まれます。 表現が美しく、大変な世の中で文学を書いていたという、「雪国」でノーベル賞を受賞した川端康成の「少年」を読みました。 前置き 日記や手紙を抜粋するスタイルで書かれています。 文学の世界、特に昔の文豪の作品だと知識がないと論じてはいけないみたいな雰囲気を感じます。 だが、私は漫画を読んだのと同じ感覚で感想を書きます。「学がない」とか「そんなことも知らないのか」といった部分はご愛嬌ってことで許してほしいところです

      • おじさんってだけで、おじさんにビビるのをやめたい

        ※ここで指すおじさんとは、抽象的なイメージです。年齢の指標はありません。若い女性がイメージするおじさん像を思い浮かべていただけると幸いです 誰もが経験するであろう、私の実体験 隣に座ってきたおじさんに対して「嫌だ」とか「気持ち悪い」とか「怖い」と言いたいのではない。 ただ1つ、「ちょっと身構えちゃうよね」って話。 例えるなら、小さい段ボールと大きい段ボールのどちらかの横に座らないといけないとき、ゆったり座りたいから小さい段ボールの横に座るというのと同じ感覚だろう。(わ

        • 生きやすい世の中なはずなのに、生きづらい矛盾

          「生きづらい世の中」  私はこの言葉↑をよく目にするし、きっとそうなんだろうなぁとうっすらと共感している。 タイトル解説 まずはタイトルの解説をしよう。 「生きやすい世の中なはずなのに、生きづらい矛盾」 と題した。 実際私が言いたいのはこれだ。 「便利で色々できるようになったはずなのに、 色々囚われてるようで息苦しいのはなぜ?」 平成初期頃からパソコンが普及し始めたり、 電話が携帯できるようになって今では1人1、2台が当たり前になっていたり、 テレビ以外にも映像娯楽の

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        【小説】お前に花は似合わねぇ!

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          【詩】抽象的に自己の損失を詩で表現してみる

          本当にやりたいことが、周りの人の価値観と違いすぎると自分のやりたいことを押し殺して周りに合わせるようになると思う。それが「建前で生きること」だと思う。 「気づかない鈍感さ」、または、「気にしない強さ」があればこんなことで悩まなくて済むのかもしれない。

          【詩】抽象的に自己の損失を詩で表現してみる

          世界が変わったのか、自分が変わったのか

          コロナ禍になり、マスクをしていない人や咳をする人がやけに気になるようになった。 マスクをしていない人を見ても何も思わなかったし、咳をしている人がいたらちょっと心配していたくらいだ。 コロナ禍になってから、咳をしている人を見ると「コロナか?」と疑うようになった。 風邪か体調不良、季節によっては花粉症かと心配するはずなのに、敵かもしれないと疑ってしまう。 コロナウイルスがもっと未知のウイルスで、まだ世間が混乱していた頃、ふと『東京喰種』を思い出した。 私は、東京喰種を初めて

          世界が変わったのか、自分が変わったのか

          【映画感想】恋は花束だが、愛は花束じゃないのかもしれない。

          ※このnoteは、映画「花束みたいな恋をした」のネタバレを含みます。 「花束みたいな恋をした」 脚本: 坂元裕二 監督: 土井裕泰 今更ですが、「花束みたいな恋をした」を観ました。 みるまでのいきさつなんとなくこの映画を避けていたが、みんなが良いというものは観ておこうと思って観ました。 誰の脚本とか、誰が監督とかあまり詳しくないので主演の2人が有名ということだけが最初の印象です。 その上、普段映画を見ない人がこぞってインスタのストーリーに「泣けた」「良かった」と映画の半

          【映画感想】恋は花束だが、愛は花束じゃないのかもしれない。

          「男女」の友情は互いが許しても、周りが許さない。

          ※タイトルでいう「男女」とは、互いに恋愛対象となりうる可能性を持った2人を表しています。 【SS】誰にもありそうな話解説男と女が対になった1組=恋愛に発展する という決めつけが行われている。 周囲の思考は異性愛者としての認識が前提にある。 友情の要は性別の差異じゃなくて下心の有無では?一方が恋愛的な感情や下心を抱いた時点で友情が成立しなくなると考える。 それは男女間だけの話ではないと思う。 性別に限らず、一方が相手に友情ではない感情を持った時に、その関係性に解釈の違いが生

          「男女」の友情は互いが許しても、周りが許さない。

          【詩】ラジオFMから流れる懐かしさを感じる洋楽を聴きながら海沿いをドライブしたい

          4月上旬、日向は夏を思わせるほど暑い。 少し前まで、エンジンをつけるとすぐにエアコンマックスで車内を暖めていたのが嘘のようだ。 冬を忘れて、窓を開ける。 サイドブレーキを解除して、アクセルを踏む。 行き先は決めずに、なんとなく車を走らせる。 平日午後3時50分、都会というほどには温かく、田舎というには寂しい場所。 最近工事で広くなった舗装された道を走る。 砂嵐混じりのFMラジオは80年代か90年代か2000年代の洋楽だろう。 当時を知らないけれど、電子音のない完全なロックはど

          【詩】ラジオFMから流れる懐かしさを感じる洋楽を聴きながら海沿いをドライブしたい

          【詩】青春はグレープフルーツとかすかなヨーグルトのような匂い

          ゴールデンウィーク後半の静かな旧校舎。 午後5時20分、部室のカーテンの隙間から茜色の光が刺す。 他に誰もいない。 窓を開けると、揚げ物の匂いがした。 聞こえるのは車が走る音と近くのバラバラの吹奏楽。おそらく近くの中学校からだ。 1秒1秒、音を立てて時を進める針。 カーテンが風に靡く。 ハウスダスト、日光の匂いがした。 ポニーテールが解けた髪。 シャンプーはシトラス系。 鳩尾よりも少し上がキュッとなった。

          【詩】青春はグレープフルーツとかすかなヨーグルトのような匂い

          【小説】スパークリング・ライチ

          田舎の夏は早くきた。プール掃除は君と僕、2人だけだ。 「先生もひどいよな。今日は土曜だってのに」 君は優等生だから先生にも信用されている。だからよく貧乏くじをひく。 「うん。今日は家でゲームしたかった」 僕はシャコシャコと、適当にブラシで擦る。 「だよな!早く終わらせて、帰ろうぜ」 君は濡れないように裾を捲る。浮き上がっているアキレス腱は、普段靴下で隠れているからだろうか白い。 シャツも第2ボタンまで外れている。君の汗が、顎から首につたう。ごくり。僕は思わず唾を飲み込んだ。

          【小説】スパークリング・ライチ

          【小説】レモンサワー

          「あの人にとっての一番は、きっと私ではなく、ユキくんなのよ」 乾杯をする間もなく、主役である私の友人はレモンサワーを一気に飲んだ。あんたの結婚祝いなんだから、せめて乾杯くらいはさせなさいよ、と婚活ガチ勢の二人はエアでグラスを掲げる。こんなだから結婚できないんじゃないかと思いながらも、私も独り身なのでお通しの白和えに箸をつける。 友人は、高校から付き合っていた彼氏と10年の交際を経てついに結婚した。「ユキくん」とはその彼氏の友人であるらしい。のろけ話を聞かされるたびに、いつも

          【小説】レモンサワー

          【小説】いちごオレ

          4限終了を知らせるチャイム、屋上への階段を登る。ここしばらくは雨が降り続いていたので、昼休みの開放感は久しぶりだ。アッシュグリーンのNW-A100で洋ロックを聞きながら、たこ焼きパンを齧る。ソースがやたらと甘い。 さっきまでは風が心地良い穏やかな青空だったのに、太陽が照りつけてきた。 「今日は、何聴いてんの?」 「レッチリ」 「あー、名前だけ知ってるわ。今日こそは知ってる曲かと思ったんだけど」 少しだけ勉強してきたんだけどなぁ、そう言いながらヤツが隣に座ってきた。 「今日は

          【小説】いちごオレ

          【小説】ラムネ

          テトラポット堤防の上。小麦色の顔、君の薄い唇に触れるプラスチック。首には汗が滲んでいる、喉仏は上下する。襟の隙間から覗く鎖骨は、白い。波が激しく打ち付けた。全部飲み切った君は、ビー玉を取り出そうと、飲み口に左手を当てて思い切り腕を上下運動させている。 「この瓶、ビー玉取れないようになってるぽいよ」 「取れるかもしれないだろ」 「子どもっぽいなぁ。取れないよ、諦めな」 「いつだって少年の心を胸に、俺の座右の銘だからな。諦めずに振り続けるんだ!」 これは長くなると思い、僕は右手

          【小説】ラムネ