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【I-001】便利が不便を生み出す!?

日本では、戦後になっても、買い物は、それまでと同様に近所の商店で
済ませていた。特別な日は、少し遠出をしてデパートで買い物を楽しん
でいた。近所の商店は、それぞれ専門店なので、肉、魚、野菜等
それぞれお店を買いまわる必要があった。
今ではサザエさんでしか見ない「ご用聞き」も普通に行われていた。
そこにワンストップで買い物が可能な業態が登場する。
スーパーマーケットである。食品を中心にちょっとした日用品も買うこと
が出来るので、便利と評判になり、拡大して行く。それはやがて衣料品
や電気製品等も扱いGMS(総合スーパー)となっていく。

GMS発展の過程で、市中の個人商店が淘汰されていく。

歴史ある百貨店も常々脅かされた。
何でも揃っており、時に特売があり、百貨店のような敷居の高さもない
ので、皆GMSに集まった。
ダイエーが当時の小売り王者の三越を売上で抜いたことはそれを
象徴する出来事であった。ダイエーは、一時代を謳歌した。
まさに流通業は、GMS中心で進んでいた。
1992年に大店法が改正されてからは、ますます勢いを増し、特に地方
(それも田んぼのど真ん中に突如…といった感じ)に巨大駐車場を
擁する大型店舗を次々出店した。車での移動が基本となる地方では、
人々を一気に吸い寄せた。(ロードサイド型店舗の拡大もあるが)
改正前は共存共栄出来ていた地方の駅前の商店街はまもなく
‘シャッター化’する。その後の人口の減少も影響し、現在でも衰退
したままの状況が続いている。

地方創生と政府も声高らかに言っているが、何ら根本的な解決策はない…。

1990年代後半から衣料品のチェーン店やカメラ量販店等、専門性の
高い店が集客力を増し、GMSから次々に客を奪っていくと、それまで
の勢いに陰りが見え始める。
ちょうどインターネットが普及し始める頃で、人々の趣味嗜好が一層
多様化していった時期でもあった。
GMSを展開している企業間の統廃合が起こり、店舗も統廃合や
閉店していくと、そのエリアはポッカリと穴が空いたようになった。

特に地方では、近所にお店がないことにあらためて気が付く。
これは少子高齢化、人口減少(若者の都市部への流出)という問題
とセットで考えることではあるが、「買い物難民」という言葉も生まれる
ほどの不便な環境は、GMSの便利が生み出した不便と言っても過言
ではないだろう。
今はネット通販隆盛時代。しかし、これを支えている宅配便業界から
悲鳴が上がり始めた。この先も便利なままなのか。
もっと違う便利が生まれるのか。
それともGMSように、別の不便さを生んでしまうのか。
便利だけを追求すると必ず不便になるのだから、気が付いた時に
「何も無い」という状況にならないように良く考えたい。
企業トップが自社の利益追求のみで邁進せず、役所・役人とも
情報交換を密にし、10年先、50年先、100年先の世の中について
考えてもらいたいものだ。
名だたる大企業が傾く時代である。これからは、より小さな単位で
小回り良く行かなければいけない気がする。

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