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【I-040】屋根直しますよ詐欺

世の中色々な詐欺が後を絶ちません。

もう10年くらい前ですが、当時の呼び方で「オレオレ詐欺」というのがありました。息子や孫になりすまして、年老いた親、祖父母を狙って電話をかけてくるアレです。その際に名前は名乗らずに「オレだよ~、会社のお金を落としちゃったんで弁償しなくちゃいけないんだ。お金貸してくれないかな…」みたいなセリフを吐き、電話に出た相手を騙すという手口です。
実はこれが私の実家にもあったのです。
私は大学を卒業するまで、実家暮らしでした。引っ越すこともなかったので、もちろん住所や電話番号も変わりません。昭和の時代は、個人情報ダダ漏れだったので、小学校などの卒業アルバムにはもれなく住所や電話番号が記載されていました。おそらくこういった昭和の卒業アルバムが、悪知恵の働く業者に買い取られ、個人情報がデータ化され、そして販売されたのだと思います。中でも我が家のような「ずっと変わらない」家は恰好の標的になったのでしょう。
卒業アルバムから、卒業年次がわかります。つまり年齢がわかります。そこから詐欺電話のストーリーを組み立てるのでしょう。最初に思いついた人は凄いですね。
さて、「オレオレ詐欺」当日の話しに戻ります。その日私は、実家に来ていました。電話が鳴り、父親が受話器を取りました。父は「おぅ」とか「あぁ」とか曖昧なリアクションを取っており、近くにいた私も何か変だなと思ってみていました。ちょっとして、父が言いました。
「なるほど。じゃぁ、今俺の目の前にいるのは誰だ??」。
父は耳から受話器を離し、電話を切りました。正確には電話は先に切れました。父は笑いながら「オレオレ詐欺だった」と言いました。その場は笑い話で終わりましたが、私がいない時に同様の電話があったら怖いので、その場合はすぐに自分の携帯に電話をするよう、紙に書いて電話の前に貼りました。

さて、時は進んで、つい先日のことです。平日に家で仕事をしているとインターホンが鳴りました。家内は買い物に出ており不在。私が応対することになります。インターホンに出ると、「隣のアパートの工事の件でご挨拶に伺いました。玄関口までお願いします」とのこと。
何の疑いもなく、ドアを開けました。
作業ジャンパーを着た、若い感じの男性2名が立っていました。
そのうちの一人が、社名や名前を名乗ることなく「今度の火曜日から、そこのアパートの工事をすることになりました。うるさくなると思うのでご挨拶にまわっています」と爽やかに言いました。
「隣のアパート」と言っても、うちから見ると裏手になります。わざわざこちらまで挨拶にまわっているのか、と一瞬感心してしまいましたが、同時に怪しいな、とも感じました。
今まで、ガスや水道などの工事の場合は、事前に案内の紙がポストに入っていました。個人宅の工事の場合は、その家の人と工事業者が菓子折り持って一緒にまわってきました。工事業者だけで挨拶というのが、どうも不自然に思えたのです。
その彼が続けます。
「先ほど、アパートの屋根からおたくの屋根を見た時に、少し気になる個所があったので、お伝えしておきます。お付き合いのある業者がいれば、そちらに連絡された方がいいと思います。ついでなので、うちでお受けすることも出来ますが、どうしましょうか?」
このセリフで「屋根直しますよ詐欺」だと確信しました!
私は咄嗟に「では、いつもお願いしているところに電話します。ありがとうございます。」と言って、ドアを閉めました。
2人組は、それ以上粘ることもなく、去っていきました。

それから「今度の火曜日」を迎えましたが、裏のアパートで工事は始まりませんでした…。

これで、今回の件が「屋根直しますよ詐欺」であったことが確定しました。皆さんも気を付けましょう。


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