第4回 株価と流動性

流動性とは、株式などにおいて市場に出回る数の多さを表すことであり、市場に多くの数が出回っていれば「流動性が高い」と表現されます。
つまり、欲しいときに欲しい数だけ買えるものは、流動性が高いと言うことができます。
反対に、欲しいときに欲しい数だけ買えないものは、流動性が低いと言うことになります。

例えば、人気ミュージシャンのライブチケット。
チケットの枚数には限りがあるため直ぐに売り切れとなり、買いたい人が欲しいときに自由に買うことはできません。
こういう状態は、流動性が低いと言うことができます。

そして、流動性が低いとどうなるか・・・・・。
多くの場合は、需要と供給のバランスが崩れ、値段が一方通行になってしまいます。
今の例で言えば、ライブチケットは、プラチナチケットと呼ばれるようになり、市販価格の数倍から数十倍で取り引きされるようになります。
これは、市販価格の数十倍の値段を支払っても、ライブに行きたいというファンがいるからです。

この現象は、逆の場合もあります。
無名ミュージシャンのライブチケットは全く売れません。
売れない結果、ライブ開催日に近づくに連れて値下げされ、最終的には無料で配布されることもあります。
これは、無料でも行きたくない、時間の無駄と多くの人たちが考えているからです。

もし、株式市場でこういうことが起これば、売りたくても売れない、買いたくても買えないという状況に投資家は陥ってしまいます。
だから東京証券取引所は、株式を発行する企業に対して、流動性を十二分に担保するだけの株式を発行するように働きかけます。
東京証券取引所は、投資家が自由に売買するのに困らないだけの流動性を担保するように指示するのです。
株式市場は、投資家が売りたいときに売り、買いたいときに買う場所を提供する存在です。
ですから、株式の流動性が高ければ高いほど、その時に投資家が判断している株式の価値が株価に正確に反映されます。

さて、ここで考えて貰いたいのは、投資家がどういう考えで株式を売買するかです。
それは、大前提として今後株価が下がると予想するから売る、今後株価が騰がると予想するから買うとなる訳です。
当然、株価が下がると予想する投資家は、株式の価値が下がると考えています。
株価が騰がると予想する投資家は、株式の価値が騰がると考えています。
だから、株式の価値が下がると予想する投資家が増えれば株価は下がるし、騰がると予想する投資家が増えれば株価は騰がる訳です。

ところが、売上げが増え続けている企業でも、株価は上下に動きます。
企業価値は拡大の一途のはずですが、株価は上下にブレます。
これは、企業価値に対する投資家の予想が環境に応じてブレるからです。

景気が良く、株価も右肩上がりで上昇していれば、多くの投資家には余裕が生まれ、強気になります。
強気になれば、どんどん株式を買おうとします。
つまり、買うから騰がる、騰がるから買うという好循環が生まれる訳です。

反対に、景気が悪くなり、株価も右肩下がりで下落すれば、多くの投資家から余裕は奪われ、弱気になります。
弱気になれば、どんどん株式を売ろうとするようになります。
つまり、売るから下がる、下がるから売るという悪循環が生まれてしまいます。

このように株価は、株式の絶対的価値を基準に、投資家の心理状態によって上下に動くことになる訳です。
この時、流動性が高ければ、急騰急落が起こる確率は低くなります。
流動性のある株式には、元々多くの投資家が売買に参加しており、売り方とか買い方一辺倒に傾くことが希だからです。
ところが流動性が低いと、売買に参加する投資家は限られてしまいます。
その結果、売り方、買い方一辺倒に傾きやすく、思いもよらない高値や安値になったりするのです。

つまり、流動性が高いと適正価格に成りやすく、流動性が低いと適正価格から逸脱しやすいと言える訳です。
このような理由から、安定した投資結果を得たいなら、流動性が高い銘柄を対象にすれば良いのです。
逆に、多少のギャンブル性を持ちたいなら、流動性が低い銘柄を対象にすれば良いのです。

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