第3回 投資とはどういうものか・・・

「投資とは中長期的な目線で増やすためのお金のこと」だと、金融庁は定義していると1回目に書きました。
この言葉で重要なフレーズは、「中長期的な目線」と言う部分です。
どうして短期的な目線ではダメかということです。
実は、短期的な目線の投資も、もちろん可能で、お金を増やすことができます。
が、現実的に推奨されないのは、短期的な目線による投資、つまり短期投資は完全なゼロサムゲームの世界になるからです。

ゼロサムゲームとは、参加者の得点と失点の総和が「0」になるゲームのことです。
例えば、麻雀が当て嵌まります。
勝てば点棒が参加者の間で動きますが、始まる前と終わった後では、点棒の総和は変わりません。
つまり、誰かの勝ちは、誰かの負けに等しいということです。

このことを投資で考えれば、誰かの儲けは誰かの損失になります。
そんな環境で儲けられる人は、どういう人かを考えてください。
果たして、昨日今日始めたばかりの投資の初心者が、多くの玄人が参加している短期投資の世界で、儲けられるでしょうか!?
答えは、考えなくても分かります。
当然、「No」です。

しかし、中長期投資なら、必ずしもそうなりません。
なぜなら、売買対象である株式自体の価値が上昇するからです。

よく、株式の絶対価値という言い方をされます。
株価は株式の価値を現したものという言い方をされますが、必ずしも絶対価値を現していると言い切れません。
なぜなら、日々、細かく上下運動を繰り返すからです。

そこで日々の株価の動きに左右されない考え方が必要になります。
それを株式の絶対価値と言うのです。
この絶対的価値の求め方は、必ずしも決まったものがある訳ではありません。
それぞれの投資家が、それぞれの経験に基づいて考案しているからです。

ただ、どんな考え方にしても、この株式の絶対価値は、企業価値に比例します。
詳細は後に説明しますが、そう考えると業績が拡大している企業なら、昨日より今日、今日より明日の方が、企業価値は増大していると推定できる訳です。
言い換えれば、明日より今日、今日より昨日の方が、企業価値が低い訳です。
そうなると、株価の絶対価値は同様に、明日より今日、今日より昨日の方が低い訳で、より低い価値で買うなら、株価に関係なく1日でも早く買うべきという考え方が成り立つのです。

そして、株式を購入したら、その株式の絶対価値、つまり企業価値が増大するのを待ちます。
ただ、ひたすら待ちます。
単純に考えれば、企業の売上げが2倍になれば、企業価値は2倍以上になります。
企業価値が2倍以上になれば、当然ながら、株式の絶対価値も2倍以上になります。

そこで、少し戻って考えてください。
株価は日々、上下します。
だからと言ってこの上下運動は、株式の絶対価値を無視して大きく上下することはありません。
あくまで、株式の絶対価値を無視しない範囲内で、動くだけです。

また、株式の絶対価値は、日々上昇していると言っても、それを証明するものはありません。
最短で明示される証拠は、3か月に1度発表が義務付けられている四半期決算くらいです。
ですから、株式の絶対価値の上昇を確認するには、一定の日数が必要になり、それが倍になるまで待つと考えると、数年単位が必要になってきます。
つまり、これが、「中長期的な目線」が推奨される理由です。

絶対的価値が2倍以上になったら、株価も2倍以上になっています。
そこで例え玄人たちに売り負けたとしても、元々2倍になっているのですから、損失を被ることにはなりません。
多少、儲けが減るだけです。
だから初心者でも、儲けることができる訳です。
だから、中長期投資が初心者に勧められる訳です。

ところが、初心者であればあるほど、中長期投資を嫌がる傾向が強いです。
これは、結果が出るまで、数年かかるということに不安があるからです。
自分の能力に自信が無いために、自分が選択した株式が、想定通り上昇するか分からない。
もし上昇しなければ、数年が無駄になってしまうと考えるからです。
こういう不安心理に陥らないように、株式投資を始める前に、しっかりと投資のイロハを学びましょう。

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