異語り 夏瓜(かか)

大阪生まれの京都育ち。 国内放浪の後、北海道に漂着。 (陰)では怪談を嗜んで行く予定で…

異語り 夏瓜(かか)

大阪生まれの京都育ち。 国内放浪の後、北海道に漂着。 (陰)では怪談を嗜んで行く予定です。 これまで見聞きして集めた 「日常に紛れ込んだ微かな 異 の物語」を綴っていこうと思います。(現在不定期更新です)

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  • 異語り2 ~コトガタリ2~

  • 異語り〜コトガタリ〜

    【現代怪談】 日常に紛れ込んだ微かな異の物語を綴っていきます。(毎週木曜日更新)

最近の記事

先週より順番に感染し、残るはあと1人。無事に耐えきってくれることを祈ってます。 年末に向け予定が立て込みそうなので、しばらくは不定期更新にしようと思います。隙をみて投稿予定ですのでのんびりお付き合いいただけると幸いです。

    • 異語り 170 爆弾低気圧

      コトガタリ 170 バクダンテイキアツ 50代 女性 祖父から聞いた話 祖父がまだ小さかった頃、冬はとても厳しい時代だったそうです。 家のあちこちから隙間風が入ってくるし、暖房も薪か石炭でした。 かまどや七輪が一般的な調理道具で、風呂も薪で沸かしていました。 皆が集まる居間だけはどうにか暖かくしていたようですが、とにかく家中どこもかしこも寒かったと言っていました。 テレビなんて近所でも見たことはありません。 ラジオも雑音が多くあまりつけていなかったそうです。 けれど、台

      • 子どもの学校よりインフルがやってきました💦 今週は異語りおやすみします

        • 異語り 169 古狸

          コトガタリ 169 フルダヌキ 50代 男性 私の郷里は焼き物の街として有名です。 あちこちにたぬきの焼き物が置かれています。 駅前や役場には市が設置した特大のたぬき。 一般の家にも玄関先に小振りのたぬきを置いている家がたくさんありました。 私が中学生の頃の話です。 運動部に所属していたので大会が近づくと部活が遅くなることが増えました。 日も暮れて暗い中 狭い歩道を自転車で走るのが嫌でよく堤防の上を走って帰っていました。 その日も一人で薄暗くなってきた堤防の上を自転

        先週より順番に感染し、残るはあと1人。無事に耐えきってくれることを祈ってます。 年末に向け予定が立て込みそうなので、しばらくは不定期更新にしようと思います。隙をみて投稿予定ですのでのんびりお付き合いいただけると幸いです。

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        • 異語り2 ~コトガタリ2~
          67本
        • 異語り〜コトガタリ〜
          100本

        記事

          異語り 168 おっきいばあちゃん

          コトガタリ 168 オッキイバアチャン 40代 女性 私は子供の頃鍵っ子だった。 学童もあったとは思うが、小学校に入るとすぐ鍵を渡され1人でお留守番をしていた。 もちろんずっと家にいるわけではなく、帰宅と同時にランドセルを放り投げ遊びに行くことの方が多かった。 友人にも何人か同じような子がいたので、そういう時代だったんだと思う。 父はたいてい寝る時間頃に帰宅。 母は日によっては私の帰宅と入れ替わりで家を出て、翌朝帰ってくる日もあった。 夜には必ず父がいたし、起きれば

          異語り 168 おっきいばあちゃん

          異語り 167 独占欲

          コトガタリ 167 ドクセンヨク 30代 女性 もう随分と前の話になる。 当時付き合っていた彼の家にお泊まりした時のこと。 夜中に話し声がして目が覚めた。 ぼそぼそと彼の声が聞こえる。 こんな時間に電話? !!、もしかして浮気?! 一気に頭が冴え渡った。 すぐに問い正そうかと思ったが、「勘違いだ」と言い逃れされるかもと思い少し様子を伺うことにする。 「これはダメだよ、あげない」 「本当にダメだよ」 「聞こえるかなぁ? ねえ、やめた方がいいよ」 ぶつぶつと

          異語り 167 独占欲

          異語り 166 赤いセーター

          コトガタリ 166 アカイセーター 30代 女性  だいぶ寒くなってきた頃、娘が見慣れないセーターを着ていた。 真っ赤なセーターで袖口と裾に細めの白いラインが入っている。 とてもかわいいのだが、私はそのセーターを買ったことも着せたことも記憶にない。 「暖かそうだねそのセーターどうしたの?」 驚かせないように聞いて見た。 「かわいーでしょ? 冬の箱の中に入ってたよ」 普段は触らないクローゼットの奥に、家族の衣装ケースがしまってある。 そろそろ出そうかと思っていたがまさか先

          異語り 166 赤いセーター

          異語り 165 継続中

          コトガタリ 165 ケイゾクチュウ 40代 女性 昔通っていた中学校には七不思議があった。 定番のトイレの花子さんと音楽室のピアノ。 それ以外にも聞いたことがあるようなのが二つ。 そしてたぶんうちの学校独自っぽい図書室のシミと言う話。 全部で5コしかないのに七不思議なのもあるあるかな? 花子さんとピアノは噂でしか聞いたことがないし、他は怖がりたいだけのような脅かし系の怪談。 でも、その中で図書室のシミだけは体験者も多く、私も見たことがあった。 【図書室の一番奥にあると

          異語り 165 継続中

          異語り 164 ぐるぐる

          コトガタリ 164 グルグル 40代 男性 天気が悪いと頭が痛くなる。 【気象病】というらしい。 自律神経がどうにかなるらしいのだが、難しいことはよくわからない。 台風やら大型の低気圧やらが近づいてくると頭がモヤモヤし始め、時々こめかみがズキンとする。 予定のある日は頭痛薬でやり過ごすのだが、休みの日は諦めて1日ゴロゴロすることにしている。 半年ほど前もそんな日があり、布団から出ずにだらだらと過ごしていた。 ペットボトルや菓子パンを布団の周りに並べ、起きたりうとうと

          異語り 164 ぐるぐる

          異語り 163 ガラケー

          コトガタリ 163 ガラケー 30代 女性 部屋を整理していたら昔の携帯が出てきた。 まだスマホじゃないガラケーってやつ。 一緒に充電コードも入ってたの。 過去の自分を褒めたくなった (昔の携帯はその機種ごとに充電器が違っていた) せっかくだからどんなデータが残っているのか覗いてみることにした。 昔はショートメールやEメールでのやり取りばかり。 未読・既読もわからないし一覧で見直せたりもしない。 凄く面倒くさいけど、当時は画期的だったんだよなぁ などと思いつつデータ

          異語り 163 ガラケー

          異語り 162 感じの悪いご先祖さま

          コトガタリ 162 カンジノワルイゴセンゾサマ 50代 女性 昔、まだ高校生だった頃の話 私はバスで通学をしていた。 近所で同じ高校に通う子がおらず、いつも1人で音楽を聴きながらバスを待っていた。 そのバス停はあまり利用者がなく、同じバスに乗るのはまだ若いOLのお姉さんが1人くらい。 なんとなく顔なじみではあったが会話などはしたことがなく、会釈だけしてぼーっとバスが来るのを待つのが日課だった。 ある日、お姉さんの姿がなく私は1人でバスを待っていた。 いつもいる人がいな

          異語り 162 感じの悪いご先祖さま

          異語り 161 還る

          コトガタリ 161 カエル 60代 女性 昔はこの辺りもちょっと歩けばすぐに山の中だった。 鹿もクマも出るのが当たり前で、人間様のほうが山の隅っこに住まわせてもらっている感じ。 とにかく自然が身近にあった。 子どもだって簡単な罠を作って、ウサギやキツネを採ったりしていた。 いつの頃からか道路が伸びてきて家が増えた。 家の場所は変わっていないはずなのに、すぐ裏にあった山が住宅街に変わっていた。 人が増え、夜も明かりが灯り 里が村に、街になっていった。 そして山は山となり、

          異語り 160 捜し物

          コトガタリ 160 サガシモノ 30代 女性 夏休みは実家へ顔を出した。 実家の近くには大きな湖があり、場所によっては泳ぐことができる。 なので、子どもたちは大喜びだった。 連日、私や祖父母を交代で引き連れて泳ぎまくっていた。 最近の夏はとても暑いから、水道代を気にせずに水遊びできるのはとてもありがたい。 いよいよ明日には帰るという日にも、大張り切り出かけて行った。 その日はいつもの湖ではなく、小さな滝のある沢へ連れて行ってもらったらしい。 帰ってきてからもずっと「楽

          異語り 160 捜し物

          異語り 159 肖像写真

          コトガタリ 159 ショウゾウシャシン 30代 男性 「ひぃっ!」 思わず首をすくめ体を強ばらせた。 なんてことはない。 目の前に伸びる自分の影の横を鳥の影が掠めていっただけだ。 心霊スポットなんて辺鄙で寂れててただ雰囲気があるだけ。 都会の大学に入り調子に乗っていた俺は、本気でそう思っていた。 その夜も類友な仲間たちとシャッター街で廃屋になっていた写真館に不法侵入し、騒ぐだけ騒いで帰ってきた。 不法侵入は警察案件である事は理解していたから中を壊したり物を拝借する

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          異語り 158 階段

          コトガタリ 158 カイダン 40代 男性 そのホールはオフィスビルの8階にある。 ビル自体が昭和の中頃に建てられたものなので、結構年季の入ったホールだ。 ビルの2階から6階は大手の会社が入っている。 7階は貸し会議室 8階が貸ホール 9階はラウンジになっている。 街中にあり駅も近いので週末は何かしらの公演が入っているくらい人気のあるホールだ。 その日は地元の有名人を交えたトークイベントを観に行った。 日中の公演だったので、客層も老若男女様々。 いつもよりざわついて

          異語り 157 深夜ラジオ

          コトガタリ 157 ミッドナイトラジオ 40代 女性 今の子はラジオなんて聞かないと思っていたけれど、娘も中学生になった頃から時々聴いているみたい。 動画サイトと違って操作も見る必要もないから勉強中のBGMにはちょうどいいらしい 確かに自分もそんなことを考えていたなぁと懐かしくなった。 そして、深夜にこっそりと聞いていたことも思い出した。 布団の中でボリュームを絞り、バレないように聴くラジオはすごく面白かった気がする。 本人的には絶対バレてないって思っていたけれど、

          異語り 157 深夜ラジオ