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止まっていた時間を動かす一歩


 先日、放置していた部屋の片隅を掃除しました。少し前から、部屋のあちらこちらで時間が止まっているようで、気になってはいたのです。気になりながらも手を出してこなかったのは私です。


 一番出版したかった作品を完成させた後の最近の私。もう余生を過ごしているようなものだよなあと、やけに年老いた気分になっていた。
 有り余る時間の中で、やろうと思えばやることはたくさんあるのに、見えている景色に手を伸ばさず、切るべきところにメスも入れなかった。週に2回ほどまあるく掃除機をかけることで安心感を得ていた。


 そんなある日、ふと思い立って、出しっぱなしの文房具を整理してみたら、出てくる出てくる! ペンが何本も、いや何十本も! 色ペンも、絵の具も。

 「またすぐ使うから」なんて精神で置きっぱなしにされたペンの多さといったら! 収まるべきところに収まれば、綺麗に片付くはず!と1時間弱、引き出しに向き合って粘ってみたら、またひとつ、空間が広がった。
 散らかってはいるかもしれないけど、そんなに我が家は酷くはないはずと思い込んでいた私は、どうやらどこもかしこもから目を背けて、逃げていたらしい。

 ずいぶんと開けていなかった引き出しや、今年も着なかった服の棚、とりあえずで置かれていた食器類。それらの要不要に区切りをつけ、順番に片付けていく。

 どうも捨てにくく、増えていくばかりだった自筆のノートや書類。あの時あんなに頑張ったという証拠のようなプライドの塊も、後生大事にとってあっても意味は無かった。何年も手を伸ばして読み返したことがほとんどないものは、潔く捨てることにした。

 まだ非現実的な夢ではあるが、ドラマやCMに出てくるような、あるいは入居した当初のような、ソファーひとつに光が差して何もない部屋に、一度してみたくなる。
 この次は、いくらか安いからという理由だけで選んでしまった統一性のないシーツや、「余ったから(あるいは要らなくなったから)使う?」と断りきれずにもらってしまったものに決着をつけてみよう。
  

 



 


 

 甥っ子ちゃんや子どもたちに貰ったものは、きっとこれからも捨てにくいんだろうな……(増えていく一方の予感)

 

 
 

 
2023年5月3日 香月にいな

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ご縁をいただきありがとうございます。 

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