2:夢の入り口

その頃、私は昇進が決まり、上司と引き継ぎの為に毎日密度の高い仕事をしていた。 
これまでの仕事を評価され、上司に引き立てられて責任のある仕事を任されるのは嬉しい反面、慣れない仕事が多くストレスも凄まじい日々を過ごしていた。

当時は実家住まいだったので、帰宅後には母が用意されていたご飯を食べ、お風呂に入って寝るだけ生活が続き、遊ぶのはおろか夢を見る暇もないくらいに疲れ切っていた。
感覚的には、布団に入ってまばたきをしただけなのに、目を開けたら翌日の出勤前の時間になるといった所だ。

週に二回の休日も疲れ果てていて、ほとんど寝て終わるような日々。
二度寝、三度寝しても体の怠さは取れず、少し布団の中で携帯をいじっていると眠る気はないのに勝手に意識が落ちてしまっていた。

その日の休日もそうだった。
寝ても寝ても眠い。
たまには遊びに行ったり、買い物に行きたいのに眠すぎて体を起こす事もできない。 
5月の昼下がり。
気持ちいい陽気の中、私はまた落ちるように意識を失った。

この時に見た夢から私は自分の頭がおかしくなったと感じるようになった。

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