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「何聴いてるの?」 - 2022年11月

気づけば12月も中盤戦。早めに書けてよかった11月の音楽日記。そろそろ2022年のAOTYも考えたい。年末にちゃんと文章にできれば。大体リストアップしたけど、まだまだ何があるか分からない。相変わらずの音楽ばかり聴いている生活。

Spotifyの視聴経歴が分かるアプリ、Spotistatsからその月の再生ランキングの30位内の10曲を選んでいる。11月リリースの作品には(新譜)(新曲)を付けている。

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1. Alone In Lonely / syrup16g(新譜)

syrup16gが5年ぶり新譜『Les Misé blue』がリリース。大学生の時に新譜だってキャッキャしていた『delaidback』から、もう5年も経っていて震えた。個人的に新譜感凄かった『Hurt』なんてのは2014年。そりゃ自分も25才になるわけだ。ある意味、新譜は「鬱ロック」の完成形のような気もする。寂しさや虚しさは、突き詰めればとても透明で美しい感情だということを教えてくれるような新譜。相変わらず歌詞は陰鬱。「Alone In Lonely」なんて10代の時に聴いていたら、もっと擦り切れていたかもしれない(荒んだフリだが)。新譜を聴いてからというもの、代表曲「生活」が以前よりカッコよく聴こえるようになった。それはこの尖りかたを、彼らはもうできないだろうなと思ったから。それでも今のsyrupにしか出せない雰囲気があることが本当に素晴らしい。静かにそっと諦めさせる、優しい絶望の音楽。

2. Strides - Seiji Ono Remix / 小袋成彬

昨年10月、デジタルリリースされた小袋成彬「Strides」のフィジカル盤に付随したリミックス盤から。フィジカルは今年の4月リリース。リミックス盤のサブスク配信は11月から。もちろん当たり前に素晴らしいのはオリジナルだけども、Seiji Onoことエリオットのリミックスした「Strides」は原曲を超えるぐらい素晴らしくて、最初に聴いた時に思わず涙が出た。かなりマジです。本当に綺麗だったな。ロンドンなのかパリなのか、どこでリミックスしたのかは定かでないけど、パッケージされてる空気感が本当にヨーロッパの夜だった。異国で聴く「Strides」の美しさよ。どんな大都市でも大体23時を回れば街が静かになり始めるヨーロッパ。それが東京との1番の違いかもしれない。先日のMelodiesのパーティーで、このリミックスが最高だった旨をエリオットに伝えたらとても喜んでくれた。何事も口に出して伝えることは大事だ。

3. I'm Gonna Live Till I Die / 高岩遼

SANABAGUN.でフロントマンを務める高岩遼のソロアルバムからシナトラのカバー。曲のクオリティーはもちろんのこと、なんと言っても良いのが繋ぎ。1曲前に曲紹介の小噺として「Till I Die」というイントロトラックがあり、占い師に35で死ぬと告げられた高岩遼が自信満々に「死ぬまで生きてやろう」と言い切る小噺なのだが、それが本当にカッコいい。このアルバムが出たのは彼が今の自分と対して変わらない年齢の時。だからこそ俺も「あ〜、死ぬまで生きてやろう」と思える。というか負けてられないなと感じる。これは自分の中の成長。最近の自分にとって、憧れるべき理想の男性像は高岩遼だな。言動にアティチュードが伴うその姿は本当にカッコいい。後はやっぱり低くダンディーなその声が羨ましい。

4. lǔ wèi / The Mirraz(新譜)

パンデミックが始まり約2年の間、ライブをやっていないにも関わらず、コンスタントにグッズと新譜だけは出続けるバンドことThe Mirrazの新譜『Cocoa with Marshmallows』から。一体今は何をしているんですか…。2000年代のロックンロールリバイバルを目指し、オルガンサウンドと混ざり合った今作は、全体を通してなんとなくMetronomyっぽい感じ(今年の新譜を除く)。ただ個人的にミイラズの真骨頂は取り上げた「lǔ wèi」みたいなバラードにあると思う。昔からどうもハマるのは「クッキー」とか「きっと、きっとね」みたいなバラードだった。「もしも僕らがこのままでも ないもないままこのままでも」なんて歌詞がじわじわと胸に来る。最後にミイラズを観たのはパンデミックギリギリ直前のクアトロ。ゲストなのにかなりアウェイで時の流れを感じた。だからこそ、この歌詞がひたひたと。

5. うれしい! たのしい! だいすき! / Dreams Come True

11月は『LOVE GOES ON…』のジャケット撮影地に行く用事があり、それを機に聴き直していたアルバムから。もう30年近く前の作品だけども、撮影地の風景はほとんど変わってなく感動した。言わずと知れた大名曲でしょう。そもそもこの曲、「うれしはずかし朝帰り」のシングル盤カップリングだったみたい。強すぎんだろドリカム。歌詞をちゃんと見ると「運命の人を見つけてうれしい!たのしい!だいすき!」という中学生のような内容だけど、それが本当に壮大な運命の人との出会いに聴こえてくるから、ドリカムの表現力は凄まじい。そして聴いていると謎の元気が湧いてくる。でも思い込みソングだとしたらかなり怖く聴こえるかも? とりあえず俺も早く運命の人に出会いてえ〜。

6. 敏感話題/ Sweet John(新譜)

大好きな台湾バンド、Sweet Johnの新譜『In Mind』から。気持ちがいいくらいのネオシティポップ、台湾の東京事変みたいだ。どの曲もクオリティー高いけど、このM6「敏感話題」からM7「出眾」の流れがたまらない。「敏感話題」のラスサビからの畳み掛けと盛り上がり方、本当に好きです。サックスの音も気持ちいい。アウトロでテンション上がったイントロに帰ってくるの展開は王道の少年漫画みたい。ラスボスを最初の技で倒す的なヤツ。どんな歌詞なのかもわからないけど、夜をウキウキ歩けるアルバム。自分を主人公と思わせてくれる音楽って中々凄いことだと思う。今アルバム収録の「Search by a Kiss」の日本語verをリリースしたりもしているし、何かきっかけさえあれば日本でもそれなりにウケると思うんだけどな〜。

7. いちょう並木のセレナーデ / 小沢健二

まともに聴いたことなかったけど、なんて良い曲なんだろう。友人から「カラオケでオザケンばかりを歌う男があざとい」という話を聞いて、聴き始めたら自分がオザケンにイチコロでやられている。「やがて僕らが過ごした時間や 呼びかわしあった名前など いつか遠くへ飛び去る」なんて切ないな〜。その瞬間、瞬間で大切にしていたことさえ忘れてしまうなんて。でもきっとそれが真理。11月はもう2度と会わないであろう人たちを思い出す機会が多く、これを聴いてポロポロ泣いていた。縁は不思議で、切れたくない人とは自然と切れるし、切れたと思った人ほどまた出会ったりする。だからみんな意味があるんだろうね。『LIFE』自体、約30年前の作品。30年前のシティボーイ達もこの曲を聴いて涙を流していたのかと思ったら、なんて素敵なんだろうとぼんやり思っていた。

8. Pulse / MICHELLE

個人的に2022年AOTYと思っている『AFTER DINNER WE TALK DREAMS』をリリースしたNY6人組コレクティヴ、MICHELLEの10月の新曲。新譜でもアップテンポの曲が「SYNCOPATE」ぐらいしか無かったから、ライブのセットリスト的にバランスの良いダンスナンバーだと思う。間奏のダンスが見れば見るほど、飲みの場でよくやるゲーム「ほうれん草ゲーム」のアレにしか見えない。そこも含めてイカしてて良い。振り付けも全て自分達で考えているそう。ライブが良い意味で文化祭のダンス部のようでめちゃくちゃ良かった。みんながみんな友達みたいなね。土砂降りのNYで全員で踊っているMVは出ないのかな〜。ショート動画用の映像ちらほら上がっているけど中々本編が上がらず。見たい。

9. Change / Big Thief

ありがたいことに11月の来日公演に合わせて、Big Thiefにインタビューする機会がいただけたので、それに合わせて今年の新譜『Dragon New Warm Mountain I Believe in You』を聴き直し。20曲という長さを感じさせない名作だなと再実感。振り返るとロンドンに来てから初めて観に行ったライブがBig Thiefだった。「Change」を聴いて大の成人男性がヒグヒグ泣いた。そういう意味でも魔法のような曲だと思う。荒れ狂う海のような一面も見せれば、楽しいパーティーのような一面も見せるBig Thiefのライブで、アンコールに披露された「Change」だけは、何もない無の空間だった。ただただ居心地が良くて、心地の良いそよ風が吹いているような感覚に驚いたのを覚えている。

10. 海辺のレストラン / サニーデイ・サービス(新譜)

サニーデイ・サービスが2年半ぶりの新譜『DOKI DOKI』をリリース。前作『いいね!』からもう2年半も経っていたことに驚く。恋人なんていないのに恋人に会いたくなる音楽。友人を急に呼び出したくなる音楽。誰かに会いたくなる体温がそのまま入ったアルバムだった。最近はこういう曲を聴くとホロリと泣いてしまうんだけど、自分がおっちゃんになったのか、それともサニーデイ・サービスのせいか。新譜リリースの直後にあった配信ライブで「もう何枚目のアルバムかは忘れました」と話していたけど、それが本当にカッコよかった。続けていくことの美しさがそこにある。人に勧めたくなるアルバムがいつも新譜の不思議なバンド。それはそのフレッシュさからなんだろうか。聴くたびにもう戻れない過去を思い出して、聴くたびにこれからの未来に期待してしまう。

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12月、ちゃんと年内に書くんだぞ、自分!

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