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文学フリマ東京36(ほぼやらかし)の話

2019年から、文学フリマというイベントに参加しています。物書きのためのコミケのような。そんな薄くない薄い本を売りがちな同人誌即売会です。私の活動拠点は関西(大阪、京都)です。
私は基本的にインドアで三十路を過ぎても、まともな一人旅の経験がありません。メンタル的にはパニック発作を起こしたり、基礎疾患的には数分のATMを待ってただけで倒れたなど不名誉な実績を数々残しています。つまり、頼りない大人です。しかし、大阪の文学フリマを何度か経験していると、一度は行ってみたくなります。本家の「文学フリマ東京」に。

なんだか意識の高い話をしそうですが、前回のコスプレ回と同様になんの役にも立たない記録です。
実際、今回の遠征の決定打は、大手航空会社の航空券セールで新幹線より安いなあ……でした。高い志はないわ!若くもないので、夜行バスはしんどい。成人過ぎても、車酔いで吐いたことあるし…

てなことで、「抽選で行けたら行くぜ」の逃げ道を残しつつ、文学フリマ名物「抽選はなし!みんなおいでよ!」されてしまい、えいやと航空券を買いました。受かったなら、外堀から埋めていこう作戦です。逃げられない。これ、まじ大事。

そして、せっかく東京に行くなら薄くてもサムシングを出したいよな。とりあえず、趣味のパソコンを開けてみよう。あれ、電源つかないな。充電マークは光るけど、画面は何も反応しない。



2023年4月某日、ノートパソコン死す。
喪って初めて君の大事さに気づく。安い歌詞みたいな気持ちです。USBにいくらか既刊のデータを入れてるとはいえ直近のワードのデータは入れたかの記憶がない。電●大賞の短編部門ちょうどよく出せそうだったのに???PDFならクラウドにあるから、そこから文字起こしできるかな…。
……などと、イベント1ヶ月前に本気で凹んだので、創作家の方々は定期的に趣味のパソコンをチェックしよう!あと、バックアップはちゃんとUSBとかクラウドにいれよう!

そんななか、私は新刊を出しました。

なんでやねん。


人間やる気になれば、スマホで入稿できるのです。
でも、もう二度とやりたくないです。PDF作成はTATEditorさんを使ってます。縦書きで、ルビ振れて、原稿サイズも設定できます。最低限の機能は揃っているので、パソコンが死んだ創作家の方々は狂気の沙汰で取り組みましょう。
表紙はスマホのメディバンを使いました。こちらも原稿サイズでつくれて、背幅も設定可能。スマホ版は印刷所のテンプレート(psdデータ)を開いたり、psdの保存もできません。途中に使いなれたアイビスも併用してます。私の場合は絵描きでもあるので、どうにかできたというかんじです。絵描きでよかった。
入稿の際はPSDかPDFが必要になるので、PNGをPDFに変換してます。こちらはプラウザでできます。PDF結合もプラウザでできます。便利な世の中!はい、やる気のある人は色々駆使して本を作ろう!(雑なメイキング

入稿はイベントの一週間前です。駄目かもとツイッターでぼやき続けた通り、駄目かもと思いながらやっておりました。今回は初めて宅配搬入をしたので、現地で新刊とご対面です。既刊も初めて宅配搬入をしました。荷物を送り、A4の看板を作ったりと落ち着かないイベント前のあれやこれやがありました。

そして、航空券は前日にネットでチェックイン。便利です。
文学フリマ東京の会場は流通センター前というモノレールの駅が最寄りです。駅前徒歩1分の立地と書いてある。これなら迷いようがないだろうと迷子上級者の私は安心していたのです。

でも、私は失念しておりました。羽田空港はターミナルが3つくらいあることを。流通センターと羽田空港間も近いんだろうなあと勝手に勘違いしておりまして。飛行機はほぼ時間通りですが、降りる時間やモノレールの乗り換えも加味しましょう。

結果、開場5分前に流通センターにたどり着きましたね。設営間に合うわけない!
(前日に気付いていたので、社長出勤しますとアナウンス(?)していたし、まあモノレールに乗りながら笑っておりました。モノレール乗ってしまえば、いくらか遅刻してもいけるじゃろと。)

スペースを見つけ、新刊は机の下に置かれていてひとまず安心。しかし、あれ?あの?……既刊は???
既刊の箱がどこにあるかわからず、右往左往し、事務局の人にNゾーンの方に聞いてみてくださいと言われ冷や汗をかきつつ、「N-33の箱みてませんよね?すみません!すみません!」の半泣きで聞き回る羽目になりました。

困っていたところ、お隣のブースのお姉さんがここではないですかと親切に案内してくださり、既刊の箱を見つけることができました。一箱だけ、スペースの端にぽつんと置いてありました。遅刻して来ていたために、下にある箱が目に入らなかったのですね。事務局の方々、Nゾーンの方々、大変ご迷惑をおかけしました。このためにこのレポを書いてるようなかんじです。

最悪、新刊だけを売るのかなとなってたので、あってよかったです。お隣さん、本当にありがとうございました!!!!人の暖かさに泣けてくる!

その後の設営は慣れているので、早かったです。

初の新刊!
現地で見る!
ようやく会えたね!!!!

なんということでしょう!本だ!

しかし、少し違和感がある。私はもっとクラフト紙らしい段ボールみたいな黄色の表紙をイメージしていたのだ(添付画像一枚目がクラフト紙らしい茶色な理由)。これはなんていうかグリーンではないか???いや、写真では伝わらないけども!用紙の違いとしてはこうです!


はい、注文ミスりました!

これにもビビりました!料金は同じだからいいけど、誤発注なら連絡しないと……いや、開場したな。ヒェって思いました。どきどきしつつ、注文時のメールを確認したところ、私がブロンドではなくモスを選んでいただけでした。プロの最高の仕事だった!

私のミスで本当によかったです。罪深くなってしまうところでした。私が項目を選ぶときにモスにしてただけでした。皆さん、発注するとき気をつけてね!(私しかこんなことしない

用紙にこだわりのある人ならかなりの痛手だと思われますが、私は表紙がモノクロ印刷だったので、あまり表紙が変わっても困らなかったという。迷ってた用紙のひとつではあったので、これも神の思し召しです。紙だけに。
ちなみに、新刊が大人っぽい話になってるので、結果的にはモスグリーンの表紙もシックでスモーキーかつベリーキュートになっておりました。帰りの空港では最高じゃんと愛でてます。帰宅後、表紙画像をこちらに変更してます。写真でしかわからないキラキラのクラフト紙で、現物みないと良さは伝わりません。

絶賛、通販してます。

5年も同人誌を作ってきて、こんなにやらかしが多くなるなんて。

もしも、これから同人誌を作ってみたいと思う方がおられましたら、失敗してても活字になってたら全然余裕です。寧ろ、私のようなことになる人は少ないので、元気に薄い本ライフをしてください。
同人誌が商業誌ライクになってたり、プロみたいな宣伝をしていたりと萎縮することがあると思います。私も毎回駄目なんじゃないかと不安になります。同人誌制作のハードルが上がりすぎているなか、こんなやらかしをしててもどうにかなってます。どうにかなってる?たぶん。
個人でやってるので、誤字脱字もよくあることです。コピー本、折本からでも形にしてみてください。私のようにパソコンが死んでも、何年も残る紙があるのは救いです。忘れた頃に読むとテンションが上がりますし、その当時の情熱や好きが詰まっていて愛しさが増します。万が一、家が燃えたときは、クラウドが頼りです。デジタルも大事です。


さて、まだやらかしがありますのよ。
私は東京で初めて外国のお姉さんに本を売りました。
「こんにちは!よかったら、お手にとって見てみてください!読みやすい作品です!」
そんな捻りのない言葉を言っていたら、
「読みやすいのは一番ネ!」
「そこだけは自信あります!」と顔を見ると外国の方でした。なんやかんやと盛り上がり、掌編が詰まってる本を買っていただきました。さすが東京。留学生とか、旅行客の方かしらとふと見ると……サンプルごと消えてました。

新品を渡したけれども、見本も連れて帰ってしまわれたようでした。また混乱しましたね。


でも、ちゃんと新品を渡したからいいや!私は大阪の民でもうここに来るかもわからん。グローバルにいきろ、ショートストーリー。そんな諦めがツイッターにあります。

色んなやらかしがあるなと驚きつつ、もう笑うしかなくて。これが発達障害ってやつかなと遠い東京で実感し直したような。
けれど、私のおとぼけミスで、私しか困らないから、なんだか良い思い出になりました。在庫2冊なので、最後に私が自分で買い直しました。(1部でも紙を残そうのスタンス

ちなみに、後日外国のお姉さんが親切にメールをくださり、お返ししますと連絡がありました。お手数をおかけして、大変申し訳ございません。頭削れるほどの土下座ものの話です。
奥付のメールアドレスが役立つ日が来ようとは。これも初めての経験です。(あってはいけないことですが…。

本当に色んなことがあった文学フリマ東京36でした。
深く反省しており、次は気を付けます。
でも、懲りない女なので、普段より少し多く刷った新刊を抱えて2023年9月20日の文学フリマ大阪に参加予定です。来れそうな方は遊びに来てください。

ちなみに、東京はすごいぜと聞いていたのですが、大阪と頒布数はたいして変わりません。むしろ、見つけてもらうことが難しい世界でした。見てもらえないことにしんどくなる人が多いんだろうなと感じてましたし。しかし、今回の私は他の失敗が多すぎて、人や空間への不安や緊張はそこまで起こりませんでした…。なんでやねん。

複数回参加してる大阪の方が以前買いましたと優しく話しかけてくださることも多く、ホームになってしまったんだと気付かされました。それでも、関東勢のフォロワーさんにお会いできて、話せたり、お手紙をいただけて、帰宅後に感動して泣いておりました。
当スペースにお越しくださり、本当にありがとうございました。ぐだぐだでも参加できてよかったです。

もっとビッグになって次は見返してやる……なんて、そんな夢も見てしまいます。今、応援してくださってる方々へ。その薄い本が価値を持つまで、私はまだ筆を折りません。いや、折れません。楽しいもん。

長々と書きました。
お読みいただき、ありがとうございました!


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