更なるジャニーズ事務所に対する意見を封殺しようとする声が上がる姿は、日本社会の縮図である

ジャニーズの不祥事問題に対する批判が絶えない。
不祥事というより、もはや反社会的勢力、いわゆる、ヤクザ組織による悪質な組織的犯罪行為に他ならない事実が暴露され、それに対する批判が相次いでいると言った方が正しいだろう。
批判にさらされてしかるべきジャニーズ事務所に対して何故か、ジャニーズ事務所の体制を批判する者を批判する者が続出している。

単なる言い争いであれば、筆者はそれに対して興味もないし、関与もしないのだが、この言論の様子を見ていると、筆者にとってはまるで問題を抱えた現代の日本社会/日本の企業の縮図に見えてならないのだ。


ジャニーズ問題の本質を一言で言えば、ジャニー喜多川という唯一絶対的な支配者が様々な方面から謎の支援を受けて、何をしても許される状況でセクハラ、パワハラ、性犯罪、人身売買、不当労働、強制労働、不公正取引、脅迫、恐喝などを自由気ままに行い、芸能界やマスコミ全体で助長・隠蔽した問題である。
何十年も前から業界関係者はそのような事実を知っていたにも関わらず、BBCというイギリスの報道機関がジャニーズ事務所の性被害だけを批判報道したことを皮切りに、一気にジャニーズ事務所への風当たりが強くなり、一部の被害者が声をあげると共に、ジャニーズ事務所を批判する者たちが現れ始めた。

芸能界には大して興味も持たない筆者でさえ、今回暴露されたようなジャニーズ事務所が行っていた数々の犯罪行為は認識していた。
デビューするジャニーズ事務所の若いタレントを見るたびに、「この子たちも性被害に耐えてデビューしたのか」と思っていたが、世の中はジャニーズファンで溢れかえっており、筆者が思いのままに発言をすると、途端に空気がよどみ、周りを敵だらけにして、ありとあらゆる人たちに嫌われてしまうので、筆者は批判的な目でジャニーズ事務所の活動を見つつ、ジャニーズ問題については誰に対しても黙ってきた。

最近になって、ようやく何人かの芸能人がジャニーズ事務所の問題を指摘するようになったが、筆者の基準からすれば、遅すぎる批判であり、これまでずっとジャニーズ事務所の犯罪を黙認していた共犯者にしか見えない。
とはいえ、勇気をもってジャニーズ事務所の批判を始めた、田村淳のような一部の芸能人は、多くのジャニーズファンから集中砲火の批判を浴びているようである。
しかもそれが、真っ当な反論ではなく、「ジャニーズを攻撃するな」とか、「もう黙れ」といったもので、政治的分類でいえば、共産主義者そのものの発言がジャニーズファンから飛び出している。
ジャニーズ問題に切り込むお笑い芸人田村淳は「ジャニーズ問題を取り上げること自体を批判する者ばかりだ。批判するなら改善するための案や代替案を提示せよ。改善策や代替案を提示することなく、ただただ批判するな」とごもっともな反論をしているが、田村淳のような者を批判する者は、まるで共産主義者のようにひたすら攻撃対象者を攻撃し続けている。


このような構図を見ていると、この問題はジャニーズ問題に限った話ではないと筆者には見えるのだ。
筆者がこれまで実際に属して来た会社組織でもそうだし、直接は属することがなくとも、組織内部の者たちから事情を見聞きしていたような企業においても、今回のジャニーズ問題と同じ問題をはらんでいると断言できる。

それは、現状の問題を解決しようとしないばかりか、問題を一切直視せずに問題の隠蔽に全精力を注ぎ、現状を変えずに現状から得られる利益を得るために体制を維持するという、甘い汁を吸い続けたい寄生虫のような存在が組織の大部分を締め、多数派の寄生虫が、問題を解決しようとする善良な少数者たちを潰しにかかるのだ。

組織が腐敗すれば腐敗するほど、後処理は大変になる。
それはまるで、何年も何十年も誰も掃除をせず、便などの汚れが染みついた公衆便所を掃除するような状況と同じだ。
そのような公衆便所を掃除しようとすると、強烈な悪臭に襲われて、強烈な吐き気に襲われる。
しかも、たとえ悪臭に耐えて掃除に着手したとしても、誰も見向きもしなくなった公衆便所を苦労して苦労して苦労して苦労して掃除をして綺麗にしても、公衆便所を汚した奴らは何も感じないし、ありがたいとも思ってくれないのだ。
逆に長く汚物にまみれたために、常に悪臭がするかのように際者のように扱われて煙たがられさえするのだ。
筆者はこれまで、何度も何度も何度も何度もそのような汚れ仕事をしてきたので、田村淳のような批判を浴びる人たちの気持ちが痛いほどわかる。

ジャニーズ問題の解決策を指摘する人々は、何十年も放置されてきた公衆便所を掃除する姿に似ているように思う。
頑固にこびりついた汚物を勇気を出して綺麗にしようする者に対してさえ、侮蔑の言葉をかけるのが今日の日本社会の実態なのである。


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