見出し画像

書評:有機化学のための分子間力入門


読んだ本

西尾元宏 著、有機化学のための分子間力入門、初版第4刷、講談社サイエンティフィク、2004年、174頁

分野

有機化学、物理有機化学

対象

分子間力の概要を知りたい有機化学者

評価

難易度:易 ★★★☆☆ 難
文体:易 ★★☆☆☆ 難
内容:悪 ★★☆☆☆ 良
総合評価:★★☆☆☆

希少価値はあるが中身は薄い

内容紹介

分子集合体の理解に不可欠な分子間力を解説
分子集合体を作る分子間力を総合的に捉えられるように整理し、やさしく解説。また理解を深め実際に使えるよう、超分子、分子認識、酵素、タンパクなどの例を説明(引用:有機化学のための分子間力入門 | 書籍情報 | 株式会社 講談社サイエンティフィク (kspub.co.jp)

感想

 有機化学では分子間力が非常に重要な役割をもつケースが多い。共有結合などに比べればそのエネルギーはたかが知れているのだが、たった1 kcal/molの違いが選択制を発現させるため、弱い分子間力の制御は非常に重要である。ただ、分子間力、特に有機化学に焦点を当てた分子間力に特化した書籍というには中々存在していなかった。また、大学などの授業でも細かなことは教わらないので、重要なのは知りつつも、見て見ぬふりをしている有機化学者は多いだろう。当書はそのような有機化学者のための書籍であり、図を多用した作りとなっているので、数学嫌いな有機化学者でも読み切ることは可能である。
 ただ、この本は非常に小さくて薄い本で、それに比例して内容も薄くなっている。概要をつかむという目的であればいいのだろうが、分子間力を詳しく知りたいとしても、いざ読んでみると拍子抜けしてしまうだろう。概要をつかむというのであれば悪くはないが、私からすると期待外れであった。ただ、当書にはどうやら新版があるらしく、頁数も100頁ほど増えていたので、そちらには期待できるかもしれない。生憎、私がまだ入手できていないので、そちらの評価はできていない。

購入

 本を大量購入した際に紛れていたものだったので、何円で買ったのかは不明。一時は中古の価格が高騰していたような気もするが、現在確認してみたところ、1000円程度で買えるようだ。

参考サイト

  1. 有機化学のための分子間力入門 | 書籍情報 | 株式会社 講談社サイエンティフィク (kspub.co.jp)

  2. 『新版 有機化学のための分子間力入門』(西尾 元宏)|講談社BOOK倶楽部 (kodansha.co.jp)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?