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書評:Bioorganic and Medicinal Chemistry of Fluorine


読んだ本

Jean-Pierre Bégué, Danièle Bonnet-Delpon、Bioorganic and Medicinal Chemistry of Fluorine、第1版、John Wiley & Sons, Inc.、2008年、384頁

分野

フッ素化学、有機フッ素化学、薬学、創薬科学

対象

含フッ素医薬品関連に携わっている人

評価

難易度:易 ★★★☆☆ 難
文体:易 ★★★★☆ 難
内容:悪 ★★★★☆ 良
総合評価:★★★★☆

内容紹介

・Provides a thorough overview of the role of fluorine in pharmaceutical science and development
・Includes chapters on fluorinated analogues of natural products, fluorinated amino acids and peptides, and derivatives of sugars
・Classifies marketed and in-development fluorinated pharmaceuticals according to their therapeutic classes
(引用:Bioorganic and Medicinal Chemistry of Fluorine | Wiley Online Books

感想

 生理活性物質や生物活性物質にフッ素を導入すると活性が向上する例は多くある。したがって、多くの医薬品にはフッ素が導入されている。ではなぜフッ素を導入すると活性が向上するかといえば、ブロック効果やゴーシュ効果、ミミック効果があるわけだが、当書ではそのような、なぜフッ素を導入すると活性が上がるのかについて丁寧に説明されている。後半では、実際の創薬の場面で、どのようにフッ素が扱われているのかを示しており、開発段階において、フッ素を導入する前と後とでどのように活性が変わるかなどが書かれている。
 含フッ素化合物の創薬に関する書物は、和書でもいくつか存在する。例えば『フッ素化学入門2010』や石川延男・小林義朗 著『フッ素の化合物』なども含フッ素医薬品のことがかかれている。しかし、こられはフッ素化学の総論的書籍であり、含フッ素医薬品に限れば薄味である。石川延男 著『フッ素系生理活性物質の開発と応用』はまさしく含フッ素医薬品に焦点を当てた素晴らしい和書ではあるものの、1990年とやや古臭さが残り、また理論部分の説明の物足りなさを感じる。また、当書は数千円で入手することが可能なので、内容、コスパの点から良書であると言える。

購入

 確か修士時代にamazonで購入した記憶がある。数千円はしたが、学術書の中では安いほうであり、コスパは良いと思われる。

参考サイト

  1. Bioorganic and Medicinal Chemistry of Fluorine | Wiley Online Books

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