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ボードゲームで遊びながら学ぶ〜 幼児期のものを探す力をつける〜#8

子どもたちにとって、遊びはただの楽しみではありません。それはまだ知らない世界を探求し、さらなる理解を深めてくれます。特に、ボードゲームは子どもたちにとって一見遊びに見えますが、実はもっと深い学習の場にもなります。ボードゲームはルールを理解し、戦略を練り、問題を解決する力を育てるための絶好のツールです。

本記事では、子どもたちがボードゲームを通じて"ものを探す力"について焦点を当てます。「遊びから学びへ」という視点で、ボードゲームが幼児期の教育にどのように貢献し、子どもたちの視野を広げる可能性を解き放つかを探ります。ゲームの選び方から遊び方、そしてその学習効果まで、一緒にボードゲームの可能性について考えていけたらと思います。


ボードゲームと学習〜なぜ遊びは重要なのか?〜

「ボードゲームと学習との間には密接な関連性があります。これは遊び自体が、子どもたちが世界を理解し、自分自身と他者との関係を築く重要な手段だからです。遊びを通じて、子どもたちは新しい概念を探求し、知識を関連付け、社会的なルールを学びます。ボードゲームはこれらの力をより促進してくれます。

ボードゲームはルールに基づいて遊ばれるため、子どもたちはルールの理解と適用、そしてルールを破るとどうなるかを経験的に学ぶことができます。また、多くのボードゲームは複数人で遊ばれるため、共同作業や順番待ち、競争、そして協力といった社会的なスキルも同時に学びます。

さらに、ボードゲームは論理的思考や戦略的思考を鍛えます。どの手を打つべきか、どのリスクを取るべきかを決めることは、問題解決の能力を高め、先の見通す力をを育てます。これらのすべてが、子どもたちの学習に対する深い関心と熱意を引き出すのです。
ただし、幼児期においてはまだまだ論理益思考や戦略的思考を鍛えることは難しいので、まずは先にも述べた順番を待つことや、協力するといった基本的なところを遊びを通して学ぶことができます。

ものを探す力とは〜認知発達における役割〜

"ものを探す力"とは、文字通り新しい物事を探し出す能力ですが、それは物理的な対象だけでなく、抽象的な概念やアイデアを理解し、探求する能力をも指します。これは子どもたちの認知発達における重要なスキルであり、幼児期から養われ始めます。

ものを探す力は、子どもたちが新しい情報を収集し、それを既存の知識と結びつける過程に不可欠です。これは物事の理解を深め、複雑な問題解決の基盤を築く役割を果たします。例えば、新しい言葉を理解しようとする時、子どもたちはその言葉の意味を探し、それが自分が知っている他の言葉や事象とどのように関連しているかを理解します。

さらに、ものを探す力は好奇心や探求心を維持するためにも重要です。新しい知識を探求することは、子どもたちが自分の世界を拡張し、新しい視点を開く機会を与えてくれます。このような経験が子どもたちの生涯学習の基礎を築いていくと私は考えています。

ボードゲームとものを探す力〜直接的な関連性〜

ボードゲームは子どもたちに、多くの選択肢を提示し、自分たちの行動がどのように結果に影響するのかを理解する機会を与えてくれます。ゲームのルールに従って自分の手を進めることで、物事を判断するための視野を広げ、新しい観点から物事を見る力も育つのです。

さらに、ボードゲームは新しいルールや戦略を学ぶプロセスを通じて、新しい知識や情報を吸収し、それを自分の知識と結びつける機会も与えてくれます。これは幼児期の子どもたちが、新しい情報を発見し、それを自分の既存の知識と関連付ける、すなわち"ものを探す力"を発展させる上で非常に有効な手立てとなります。

これらすべての要素を通じて、ボードゲームは幼児期の子どもたちの"ものを探す力"だけでなくさらなる成長を支える貴重なツールとなると思っています。

おすすめのボードゲーム〜レシピ〜

これらのことを踏まえて、私がおすすめするボードゲームは『レシピ』です。

レシピ

このボードゲームは2〜4人で遊べ、1プレイ所要時間は5分〜となっています。また対象年齢は4歳〜です。
【ルール】
メニューカードと具材カードがあり、メニューカードにはカレーライスやオムライス、チーズインハンバーグなどのメニューが描かれており、またそこにはそのメニューに対して必要な具材カードの6つの絵が描かれています。具材カードには牛肉、玉ねぎ、ご飯など1つの絵がカードに書かれており、さまざまな種類があります。
プレイヤーは指定のメニューカードを手に取り、そのメニューに必要な具材カードを山札から取っては捨てて、また他の人が捨てたカードをもらったりして1番早くメニューカードに必要な具材カードを6つ揃えた人が勝ちです。

私の息子は3歳ですが、このボードゲームで毎日遊んでいます。もちろん本来のルールで遊ぶにはまだ難しいので、3歳に合わせて上記のルールを簡略化して遊んでいます。

【変更ルール】
具材カードをカードが表向きになるように全て広げます。子どもが作りたいメニューカードを選び、その具材を探していくというものです。基本一人遊びのようになりますが、それを一緒に探したり、タイマーで何分以内で見つけたりなど、ルールを追加して遊んでいます。

このボードゲームをしていると3歳児がいかに視野が狭いということがわかります。目の前に集めている具材があっても、平気でスルーをします。実際に大人の視野が左右150度見えているのに対して、幼児期では左右90度しか見えていません。だから、「足元にあるよ」「もう少し先にあるよ」と具体的に指示をしてあげると、少しずつではありますが、理解して見つけてくれます。また、なかなか1度で覚えられないので、メニューカードを何度も見て、同じ絵を探していきます。この何度も見るという行為も、子どもたちの「ものを探す力」を育てることにつながります。

さらに、見つけた具材から、「これは果物だね」、「これは野菜だね」と伝えていくと、自然と子どもの頭の中の既存の知識と結びつけ、次遊んだ時にはこれは野菜と自分で言いながら探すこともしばしばあります。

また具材カードに出てきた野菜を実際に冷蔵庫から渡したときには、「大きい!!」「なんか匂いがするね」など、五感を使って学ぶことができます。
その具材から、匂いから、この感触からハンバーグができる、カレーライスができるなど、子どものまだ知らない世界をどんどん広げることで、子どもの興味、探究心は刺激され、より深く学んでいきます。

親の役割〜子どものサポート、フィードバック〜

子どものものを探す力、またその発展において、親の役割はとても重要です。

子どものやりたい、知りたい、調べたいという3つの欲求をいかに大人が刺激する環境、題材を用意するかで、子どもの学びの質は大きく変わると考えています。ゲーム選び、また、1つのゲームをとってもいろんなアレンジ、ルールの変更で子どものやる気は変わります。

また、ゲームを通じた学習をサポートするためには、親自身が子どもと一緒に遊び、必要に応じて指導や助けをすることが大切です。親が積極的に参加することで、子どもは新しい視点を得るだけでなく、困難を乗り越えるための新しい考えや気持ちを学ぶことができます。

親は子どもの努力や進歩をしっかり見取り、適切にフィードバックを与えることで、子どもの自信とものを探す力をより深めることができます。

ボードゲームを通じた教育法〜遊びの中で学ぶ〜

ボードゲームは、学習を楽しく、身近な経験に変えることができるツールとして今後大いに活用することができます。

ボードゲームをすることで、選択の結果を即時に体験できます。それにより子どもたちは自分の行動とその結果との関連性を理解します。この自己学習のプロセスは、他の教育環境では得られない重要な教訓を子どもたちに与えてくれます。

また、ボードゲームは子どもたちに協調性と競争力の両方を教えてくれます。勝つためには最善の戦略を見つける必要があり、それを達成するためには他のプレイヤーと協力することも必要となることがあります。これらのスキルは、ものを探す力だけでなく、人間関係の構築や問題解決能力にもつながります。

さらに、ボードゲームは規則性と組織性を理解する機会を与えてくれます。ゲームにはルールがあり、それを守ることでゲームは進行します。子どもたちはこれを通じて、ルールを理解し、それに従うことの重要性を学びます。

このように、ボードゲームを活用することで、子どもたちは遊びながらも自然と学びを得ることができるのです。

最後に〜ものを探す力から発展、長期的な効果について〜

ボードゲームが子どもの“ものを探す力“、発展につながることは、すでに説明してきました。しかし、これらの教育的な効果は短期的なものだけではなく、長期的な効果ももたらすと考えています。

ものを探す力は、子どもが新しい情報を探し出し、それを既存の知識と結びつける能力へとつながります。この力は幼児期以降における重要なスキルであり、小学校教育での新しい概念を学び、それらを理解し、活用する能力を形成する基盤となります。

また、ものを探す力は、子どもが新しい情報や状況に対応する能力を高めます。これは、社会的スキルの発展や問題解決能力の育成にもつながります。子どもは、自分の行動が自分自身や他人、さらには自分の周囲の環境にどのように影響を及ぼすかを理解するための基礎を形成します。

ボードゲームを通じて育まれる“ものを探す力“は、単に学問的な成功だけでなく、社会的、個人的な成長にも深くつながります。つまり、ボードゲームは子どもたちが現代社会で成功するための重要なスキルを身につけるための有効なツールなのです。

本記事を読んでくださった方に少しでもこのことが伝わってほしい。
そう願っています。


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