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NHK短歌 4月号より 1

NHK短歌4月号より、印象に残った部分をここにメモとして残しておきたいと思います。
まだ全体を読み切れていないので、前半部分です。
4月から選者がまた新しい布陣となりました。
選者が変わると、紹介していただける短歌がまた違ってくるので、それも新鮮です。
今回田村元さんは、サラリーマンをしながら短歌を詠む活動を続けて来られている歌人ですので、その点私は共感できるものが多いように思います。

 サラリーマン向きではないと思ひをり
  みーんな思ひをり赤い月見て 

働くためそしてわづかに眠るため
  一日に二度わたる江戸川 

(以上 歌集「北二十二条西七丁目」より)

 私も仕事の日は一日24時間でいいけれど、休みの日だけ48時間とかになって欲しいと日頃から思っています。自分の趣味や楽しみのための時間がほぼ仕事の日は取れないからですが、こうやってその思いも歌に詠む。なんでも題材にしていく貪欲さがすごいと感じました。
また、大森静佳さんは、独特の言葉の選び方をする歌人だと前から思っていましたが、今回も同じ印象を受けました。

 愛や情を分けた対象が失われた後の寂々とした空気を詠むのが特に優れていると思います。

 君の死後、われの死後にも青々とねこじゃらし見ゆ まだ揺れている  (歌集「てのひらを燃やす」より)

 冷蔵庫のひかりの洞に手をいれて
  秋というなにも壊れない日々  (歌集「カミーユ」より)


 さらに大森さんが紹介してくれている題「心」の歌も、大森さんらしいフィルターを通したものになっていました。
 特に以下の2つは、なんだか怖いくらいの激しさを感じました。千種さんの歌についての大森さんの評は、けもの道という表現に幻影の趣きを読み込んでいたのが印象的でした。

 逢えばくるうこころ逢わなければくるうこころ
  愛に友だちはいない  (雪舟えま「たんぽるぽる」より)

 紫陽花の こころにけもの道があり
  そこでいまだに君をみかける  (千種創一「砂丘律」より)


 話は変わりますが、「入選への道」の寺井龍哉さんの二月のお題「奪」についての投稿歌の添削で、投稿歌は5・9・4音の非定型の歌を、初句と二句めだけ字余りを許し、あとは定型とする形に添削されており、その添削後の歌が最初の歌と比べて格段によくなっていたのには驚きました。
 やはり定型というものは大事だということと、寺井さんとは感性がやはり合うように思うので、どこかの登壇歌の添削者をぜひ引き受けていただければ投稿したいなと思いました。

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