一人静 二人静
どちらも花の名前。
一人静は、平安時代に遡る。
源義経が愛した静御前に由来する。
花言葉は「愛にこたえる」「隠された美」
吉野の里で、たった一人で舞った静御前のように美しいから。
二人静も静御前に由来する。
静御前の霊が取り付いた菜摘み女と霊が同じように舞うという、能の「二人静」から来ているという。
花言葉は「いつまでも一緒に」「静後前の面影」
昔読んだ漫画の中に、この花にまつわる話があった。
自分のために親も何もかも捨てて苦界に身を投じた愛する女を探すため、同じように何もかも捨てて、侍を捨て、素浪人と成って女を探して流離う男の話。
いきさつを聞いた、とある宿場の女が、そっと二人静を手渡すシーンが、とても印象深かった。
早く女が見つかって、いつまでも一緒にいられることを願ってる、との思いを込めてのことだったのだろう。
一人静も二人静も、小さな粟玉のような白い花が、楚々として可憐で美しい。
花に想いを託して相手に贈る…
今も続く、古くからの習わし、敢えて言葉を使わない、相手への思慕や心情の贈りもの。
時としてそれは、言葉以上に、相手の心に届く。
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